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🏠 電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 中性線
中性線とは、単相2線式または単相3線式において「白線」で接続される、N相(ニュートラル)を指すものである。
単相2線式では黒線100V、白線(中性線)0Vとして電位差100Vを得ることができ、照明やコンセントに対して100Vの電圧を印加することができる。対して単相3線式の場合、黒線及び赤線は中性線(白線)に対してそれぞれ100Vの電圧を持つため、2系統の100Vを得ることができる。さらに黒線と赤線で200Vを得ることも可能となる。
200Vの単相電源は大電力を必要とする電気機器への供給に広く用いられており、例えばルームエアコンやIHヒーターといった電気機器に対して大きな電力を供給しつつ、高い電圧によって電流値を小さく抑えることができ、電線サイズを小さく計画できる。
中性線は接地を施すのが通常であり、理論上の対地電圧は0Vとなる。そのため、単相3線式電路において負荷が完全に平衡している場合、中性線にはほとんど電流が流れず、理論上は0アンペアに近づく。
単相3線式の電路において中性線が断線すると、赤線及び黒線に接続されていた100V負荷は直列接続となり、不平衡な負荷条件(インピーダンス比)によって電圧分布が乱れ、電気事故に至る可能性がある。
この状態では、中性線を0Vとしていた100V回路は、インピーダンス比に応じた直列接続に置き換わり、過電圧または不足電圧が100V機器に生じて機器故障につながる。これは「中性線欠相」と呼ばれ、電気事故のひとつであり大変危険である。
特に、100Vを定格とする負荷に150V前後の過電圧が印加されると、絶縁破壊や発熱を引き起こし、焼損や火災に繋がるおそれがある。配線用遮断器には中性線欠相保護機能を持たせて、中性線が失われた場合に発生する過電圧を検出し速やかに電路を遮断するよう設計することが望ましい。
なお、配線用遮断器の機能を持つ漏電遮断器にあっても、同様の機能を持つ製品があるため、中性線欠相保護については十分な検討をすることが望ましい。