オープンBA
メーカーフリーな監視制御環境
オープンBAは、ビルディングオートメーション(BA)システムにおいて、特定のメーカー独自の通信規格ではなく、国際標準や業界標準の通信プロトコルを採用することで、異なるメーカーの機器同士を相互接続可能にしたシステム構築手法である。
従来のBAシステムは、空調機、照明制御盤、受変電設備、監視モニターといった構成要素すべてを単一メーカーの製品で統一する必要があった。オープンBAを採用することで、空調はA社、照明はB社、監視装置はC社といったマルチベンダー構成が可能となり、施主の要望や予算に合わせて最適な機器を選定できる柔軟性が生まれる。
独自規格による囲い込み(ベンダーロックイン)
かつての自動制御業界では、パナソニックの伝送方式、三菱電機のMELシーケンサ、アズビルのNC-busなど、各社が独自の通信プロトコルを使用しており、他社製品との互換性が全くなかった。これを「クローズドシステム」と呼ぶ。
この方式では、システムの一部を改修・増設する際にも、既存システムと同じメーカーの製品しか選択肢がなく、競争原理が働かないため改修費用が高止まりするという「ベンダーロックイン」が長年の課題であった。オープンBAはこの障壁を取り除き、改修時の入札競争を可能にするための技術的基盤となっている。
代表的なオープンプロトコル
現在、ビル管理システムで広く採用されている主なオープン規格には以下のものがある。
- BACnet(バックネット):米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)が策定した通信規格。中央監視装置と各サブシステム(空調・照明・電力など)をつなぐ基幹ネットワークとして世界標準となっている。
- LONWORKS(ロンワークス):各センサーや端末機器(ノード)同士が自律分散して通信する方式。配線が省力化できるため、照明制御や空調の末端制御に適している。
- Modbus(モドバス):産業用電子機器向けのシリアル通信プロトコル。汎用性が高く、電力メーターやインバータとの接続に多用される。
ゲートウェイコストと責任分界点
オープンBAは「機器単体のコストダウン」には寄与するが、システム全体の構築費用が必ずしも安くなるとは限らない。異なるメーカーの機器をBACnetなどに接続するためには、それぞれの機器に通信変換器(ゲートウェイ/インターフェースユニット)を追加する必要があり、このイニシャルコストが割高になるケースが多い。
また、最大のリスクは「不具合発生時の責任の所在」である。A社の空調機とB社の監視装置がつながらない、あるいは誤動作するといったトラブルが発生した場合、メーカー同士で「相手の信号がおかしい」という責任の押し付け合いが発生しやすい。そのため、オープンBAを採用する場合は、システム全体を統括するシステムインテグレーター(SIer)の能力と、明確な責任分界点の設定が不可欠となる。
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