DDC
DDCの概要とデジタル制御の優位性
DDC(Direct Digital Controller)は、マイクロプロセッサを内蔵した「直接デジタル制御装置」であり、空調機、熱源機器、ポンプなどの建築設備を自動制御するための中核デバイスである。
従来のアナログ調節計やリレー回路による制御と比較して、DDCはソフトウェアによる複雑な演算処理が可能である。温度、湿度、圧力などの計測値をデジタル信号として取り込み、PID制御(比例・積分・微分)やファジィ制御といった高度なアルゴリズムを用いて、バルブ開度やインバータ周波数を緻密に調整する。これにより、室温のハンチング(乱高下)を抑制し、快適性を維持しつつ、過剰な冷暖房を防ぐことで省エネルギー運転を実現する。
分散型制御システムとリスク分散
DDCを用いた現代の自動制御システムは、中央監視装置に全ての処理を依存せず、現場のDDCが自律的に制御を行う「分散型制御」が主流である。
空調機や電気室の近くにDDCを分散配置することで、万が一、中央監視装置や通信幹線に障害が発生した場合でも、DDC単独で空調機の運転や温度制御を継続することが可能である。これは、システム全体のダウン(全停止)という最悪の事態を回避し、建物の機能維持(BCP)を図る上で重要なリスク管理手法となっている。
PLCとの違いと使い分け
DDCとよく似た機能を持つ機器に、FA(ファクトリーオートメーション)分野で多用されるPLC(Programmable Logic Controller / シーケンサ)がある。
PLCは高速な接点処理(ON/OFF)を得意とし、工場のライン制御などに適しているのに対し、DDCは温度や流量といった緩やかに変化する「アナログ値」の処理に特化している点が異なる。また、DDCにはあらかじめ空調制御用のパッケージソフトウェア(スケジュール管理、最適起動停止、エンタルピー制御など)が実装されていることが多く、建築設備の計装工事においては、汎用性の高いPLCだけでなく、専用設計されたDDCの選定も一般的に普及している。
通信プロトコルとオープン化の潮流
DDC間の通信ネットワークには、かつてはメーカー独自のプロトコル(NC-busなど)が用いられ、同一メーカーの機器でなければ相互接続が困難であった。
近年では、BACnet(Building Automation and Control Network)やLonWorks(LonTalk)といった世界標準のオープンプロトコルを採用したDDCが普及している。これにより、空調機はA社、照明制御はB社といった「マルチベンダー」でのシステム構築が可能となった。ただし、異なるプロトコルを接続する場合には、ゲートウェイ(ICONT等)による信号変換が必要となるため、インターフェースの整合性について設計段階での十分な調整が望ましい。
中央監視設備の設計手法や、詳細技術については中央監視設備の計画を参照。












