ニップル(電線管付属品)
ニップルの基本構造と接続用途
ニップルは、カップリングが取り付けられた金属製電線管を、アウトレットボックスやプルボックスの内側から接続する際などに使用される電線管付属材料である。電線管同士の極めて短い距離での接続、デッキプレートからの引き出し、梁底への電線管の落とし込みなど、現場の納まりや配管経路の条件に応じて多様な形状を使い分ける。
金属管工事において、ボックスと電線管を機械的に強固に接続し、配線を引き込む際のケーブルの被覆損傷を防ぐためのジョイント部品として機能する。
形状と用途による分類
電線管の接続状況やボックスの形状に合わせて、専用に設計された各種のニップルが存在する。
- 総ねじニップルは、管の全長にわたって管用ねじが切られている継手である。ボックス間を隙間なく密着させて接続する場合や、電線管のねじ部分の長さが不足する箇所へ継ぎ足しを行う際に用いられる。
- 異径ニップル(径違ニップル)は、太さの異なる電線管同士を接続、あるいはサイズの異なるボックスのノックアウト穴へ接続する際に使用する。
設置環境に応じた材質の選定
ニップル本体の材質には、鋼板(電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき)、ステンレス鋼、アルミニウムなどがあり、設置される環境の腐食性に応じて選定を行う。屋内乾燥場所では一般的な電気亜鉛めっき製品が使われるが、地下ピットや屋外などの多湿環境では、耐候性の高い溶融亜鉛めっきやステンレス製品を採用する。
可燃性ガスや蒸気が存在する化学工場などの危険場所においては、専用の耐圧防爆構造(d)を持った防爆型ニップルを用いる。耐圧防爆構造のニップルは、第一類危険箇所(1種場所)および第二類危険箇所(2種場所)において、防爆機器と金属管配管を接続するために必須となる。
異種金属接触腐食の防止策
材質を選定する場合、周囲環境の耐候性だけでなく、接続する電線管やボックスとの材質の組み合わせに注意を払う。電解質となる水分が存在する環境下で、イオン化傾向の異なる金属同士を直接接触させると、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)が発生する。
一般的な鋼製電線管とステンレス製のニップルを直接接続すると、鋼管側が陽極となって急速に腐食が進行する。これを防止するため、原則として同種の金属材料で統一する配管計画とするか、やむを得ない場合は絶縁性の防食テープや絶縁継手を用いて電気的に隔離する。
管用ねじの規格と適合性
ニップルに切られているねじは、接続する金属製電線管の規格に適合していなければならない。日本国内の金属管工事においては、主に肉厚の厚鋼電線管と、肉薄の薄鋼電線管が使用されており、それぞれねじ山のピッチや寸法がJIS規格で定められている。
厚鋼電線管用のニップルは機械的強度が高く、防爆工事や屋外の露出配管で標準的に採用される。一方、薄鋼電線管用のニップルは、屋内の天井裏や間仕切り壁内など、外傷を受けるおそれのない場所で用いられる。異なる規格のねじを強制的にねじ込むと、ねじ山が破損して十分な強度が得られなくなるため、管種とニップルの規格を一致させて施工する。
金属製電線管工事において、ニップルは機械的な接続だけでなく、漏電時の地絡電流を安全に大地へ逃がすための電気的導通経路(ボンディング)としての役割も担う。接続部の接触抵抗が高いと、漏電遮断器が正常に動作しない原因となる。
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