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レジリエンス

レジリエンスとは、一般的にシステムが破壊された際の復元力や強靭さを意味する言葉である。電気設備や電力インフラにおけるレジリエンスは、台風や地震などの大規模な自然災害によって甚大な被害を受けた場合でも、発電から送配電に至るネットワークの機能を完全に喪失することなく、需要家に対して継続的に電力を供給し続ける能力を指している。

近年、気候変動に伴う自然災害の激甚化が顕著であり、長期間にわたる大規模停電が社会機能に与える影響が深刻化している。この事態を受けて、電力供給網の強靭化を促進するための法整備が進められており、災害時における各事業者間の連携強化や、送配電網の構造的な強化が推進されている。

レジリエンスを向上させることは、単に設備を頑丈に作るという物理的な対策にとどまらず、被害を受けた後の迅速な復旧体制の構築や、分散型電源を活用した電力の融通など、システム全体としての柔軟性を高めることと同義である。社会基盤としての電力インフラを維持するために、多角的な視点から強靭な供給網の構築が求められている。

エネルギー供給強靭化と法整備

電力系統のレジリエンス向上を目的として、エネルギー供給強靭化に関する法律が施行され、送配電網の計画的な更新や災害時の連携体制が規定されている。これまでは設備を低コストで維持することが重視される傾向にあったが、災害による長期間の供給停止がもたらす経済的損失の大きさが浮き彫りとなった。

このため、送電用の鉄塔や電柱などのインフラ設備について、想定される風速や地震の揺れに対する基準を見直し、倒壊を防ぐための補強工事や老朽化設備の計画的な更新が進められている。また、強風時に倒木が電線に接触して断線事故を引き起こすのを防ぐため、送配電線の周辺にある樹木の事前伐採を計画的に実施する体制も強化されている。

分散型電源とマイクログリッドの活用

巨大な発電所から遠方の消費地へ長距離送電を行う従来の集中型システムは、途中の送電網が寸断されると広範囲で停電が発生するという弱点を持っている。このリスクを分散させる手法として、地域ごとに独立して電力を賄うマイクログリッドの構築が有効な手段として導入されている。

太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーと、大型の蓄電池設備を地域内に分散して配置することで、外部からの電力供給が途絶えた場合でも、地域内の限られた範囲内で電気の供給を維持できる。このような自立分散型のシステムを複数構築し、平時は電力網全体で連携しつつ、非常時にはネットワークを切り離して独立稼働させる仕組みが、システム全体の復元力を高める重要な要素として位置づけられている。

広域的な電力融通と送電網の増強

大規模な発電所が被災して供給力が急減した場合、単一の電力エリア内だけでは需要をまかないきれず、広範囲の停電につながる恐れがある。これを防ぐためには、隣接する他の電力エリアから不足する電力を融通し合う広域的な連携が不可欠である。

地域間を結ぶ連系線の容量を拡大したり、異なる周波数の電力を変換して送受信するための周波数変換設備の能力を増強したりする工事が進められている。これにより、一部の地域で深刻な電力不足が発生しても、全国の送配電網を通じて支援を行うことが可能となり、局所的な災害に対する耐性が飛躍的に向上する。

需要家側における自衛的な電力確保

電力インフラのレジリエンス向上は、電気を供給する事業者側だけの取り組みで完結するものではない。電気を利用する需要家側においても、非常時に備えた自衛的な設備投資が行われている。

  • 非常用発電設備の導入:病院や公共施設において、数日間にわたって電力を維持できる大型の自家発電装置と十分な燃料を確保する。
  • 蓄電池システムの活用:工場や一般家庭において、平時に貯めた電力を停電時に放電して必要な機器を稼働させる。
  • 電気自動車の給電利用:電気自動車の大容量バッテリーに蓄えられた電力を、専用の機器を通じて建物内へ供給するシステムを構築する。

供給側のインフラ強化と、需要家側の自立した電力確保の仕組みを両立させることで、災害に対する社会全体の復元力がより強固なものとして確立される。

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