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電気自動車の中速・急速・超急速充電技術

電気自動車(EV)の充電技術は、充電器の出力規模によって「中速充電(10~30kW)」「急速充電(50~90kW)」「超急速充電(90kW以上)」の大きく3つに分類される。これらはすべて、交流(AC)ではなく直流(DC)電源を用いて車載バッテリーへ直接電力を送り込み、短時間での充電を実現する技術である。

普通充電が長時間の駐車を前提とした基礎充電であるのに対し、これらの高出力充電は、長距離移動時の経路充電(継ぎ足し充電)や、商業施設での中時間滞在における実用性向上において重要な役割を果たしている。

中速充電(20kW程度)の特性と設備要件

中速充電は、普通充電と急速充電の中間的な位置づけとなる充電方式であり、代表的には20kW前後の出力を持つ。一般的なバッテリー容量40kWhのEVであれば、約2時間で満充電に達する。ショッピングセンター、レストラン、温浴施設など、利用者が1時間から3時間程度滞在する商業施設での運用に最も適している。

中速充電を導入する利点として、以下の要素が挙げられる。

  • 50kW級の急速充電器と比較して設備規模が小さく、導入コストおよび運用コストを大幅に削減できる。
  • 三相200V・受電容量50kVA程度の電源設備で対応できる場合が多く、設置場所の電力容量制約をクリアしやすい。
  • 充電出力が抑えられているため、バッテリーへの熱負荷が少なく劣化を防ぎやすい。
  • 複数台の充電器を並べて設置し、同時に充電電力を分散させるような一般的な設計手法に適合しやすい。

急速充電(50~90kW)の標準化と制御の仕組み

急速充電は50kWから90kWの出力を持ち、現在のEV充電インフラ(高速道路のサービスエリアや道の駅など)における主力となっている。日本のCHAdeMO規格や欧米のCCS規格などに準拠し、50kW出力の充電器を使用した場合、40kWhのバッテリーを約30分で80%まで充電(約32kWh分)することが可能である。

急速充電を安全かつ効率的に行うため、充電器と車両側のBMS(バッテリーマネジメントシステム)は常時通信を行っている。充電開始の初期段階では大電流を一気に流し込む「定電流制御(CC)」を行い、バッテリー残量が80%付近に達すると、バッテリーの保護のために徐々に電流を絞り込む「定電圧制御(CV)」へと切り替わる仕組みが採用されている。また、充電中にバッテリー温度が異常上昇した場合は、自動的に出力を制限して安全を確保する多重保護構造が組み込まれている。

超急速充電(90kW以上)と大電流に対応する構造

超急速充電は、150kW、200kW、さらには350kW以上という極めて大きな出力を誇り、大容量バッテリーを搭載した高級EVや商用EVの充電時間を劇的に短縮する技術である。350kWの超急速充電器であれば、100kWhの大容量バッテリーであってもわずか15分から20分程度で80%充電が可能となり、ガソリン車の給油時間に近い利便性を実現する。

しかし、500Aを超えるような大電流を流すため、充電ケーブルやコネクタの発熱対策が技術的な大きな課題となる。これを解決するため、超急速充電器のケーブル内部には「液冷システム」が組み込まれており、専用の冷却液を循環させることで温度上昇を強力に抑制し、安全で確実な電力供給を実現する構造となっている。

電力系統との連携と再生可能エネルギーの活用

超急速充電器が複数台同時に稼働すると、地域の電力網系統に対して瞬間的に莫大な電力需要が発生し、負荷増大を招くおそれがある。この問題への対策として、電力需給の状況に応じて充電出力を自動制御するデマンドレスポンス機能や、大型の蓄電池を併設した充電ステーションの構築が進められている。

平常時に蓄電池へ電力を貯蔵しておき、EVの充電需要が急増した際には系統電力と蓄電池からの放電を組み合わせることで、電力網へのピーク負荷を平準化する仕組みである。さらに、太陽光発電や風力発電と連動させ、再生可能エネルギーの余剰電力を充電に充てることで、真のカーボンニュートラルな運用を目指す取り組みも加速している。

車両側技術の高電圧化と次世代への展望

充電インフラの高出力化に合わせて、EV車両側の技術も進化を遂げている。特に重要なのが「高電圧化」である。日本国内では普及していないが、車載システムの電圧を従来の400V系統から800V系統へ引き上げることで、同じ電力を充電する際に流れる電流値を半分に減らすことができる。これにより、車内配線の細径化による軽量化と、電気抵抗による発熱の大幅な抑制が可能となる。

これら800V系統の制御には、電力変換効率に優れたSiC(炭化ケイ素)パワー半導体が採用されており、システムの小型化に貢献している。将来的には、全固体電池などの次世代バッテリーの実用化により、充電受入性がさらに向上し、5分から10分程度での超急速充電が一般化することが期待されている。また、ワイヤレス充電技術や、EVの電力を電力網へ送り返すV2G(Vehicle to Grid)技術の普及により、EVは単なる移動手段を超えて、社会インフラの分散型電源としての役割を担っていくことになる。

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