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VtoH

電気自動車から建物(住宅)に電力を供給するシステムは「Vehicle to Home : ビークル to ホーム」と呼ばれており、この頭文字からVtoHという名称が普及している。電気自動車から取り出す電力は、300~400Vという高い電圧の「直流」である。

日本国内で用いられる電気設備は交流の単相100Vであり、電気自動車から直流を取り出しても、そのままでは利用できない。これを、パワーコンディショナーと呼ばれる電力変換装置を用いることで、直流と交流を相互に変換し、利用可能な電圧に変換する。

電気自動車はエンジンとタイヤが取り付けられた蓄電池であり、停車中は大容量の据置型蓄電池と同義である。日産リーフでは24~30kWhの蓄電池が搭載されており、2018年の車種では40kWhもの大容量蓄電池が搭載された。

純粋な電気自動車ではないが、三菱自動車のアウトランダーPHEVも比較的大きな蓄電池を搭載しており、VtoHに対応している。エンジンを併設しているため蓄電池容量は比較的小さいがその容量は12kWhであり、エンジンによる発電を併用すれば、10日間もの長期間に渡って建物に電力供給が可能としている。

このように、車両に搭載されている蓄電池を、自動車の駆動だけでなく、建物の電力として利用するというのがVtoHの目的である。

住宅利用におけるVtoHのメリット

一般的な住宅で使用する消費電力は、一日あたり10kWh程度である。40kWhの蓄電池を搭載しているリーフであれば、停電中であっても、普段と同じ電気利用が数日に渡って可能である。災害等による停電時であれば、節約した使い方をすることで、さらに長い期間に渡り電力を使い続けられる。

電気自動車は、深夜の安い電力を使って充電し、日中に放電するという使い方が最もコストメリットが大きい。オール電化など、深夜電力を活用した電力プランを契約していれば、充電による電気代を低く抑えられる。

VtoHの系統連系

VtoHを実現するためのインターフェースは、電気自動車の充電設備と電圧変換装置を兼用している。電気系統への接続には「系統連系」と「非系統連系」の2種類があり、それぞれ大きく特性が異なっている。

系統連系可能な仕様であれば、平常時・停電時を問わずの充放電が可能で、太陽光発電設備など他の発電設備から電気自動車を充電するなど、システムの柔軟性が極めて高い。

電力会社からの電力が途絶え、電気自動車の電力が失われても、太陽光発電設備からの電力で充電すれば、翌日には再び電気自動車を走らせることも可能である。ただし、EVの放電下限以下まで電力を喪失している場合は、再起動ができない可能性があるので注意が必要である。

系統連系ができない仕様では、電力会社からの電力が送られている間は、電気自動車からの送電は不可能であり、充電しかできない。かつ、太陽光発電設備など、系統連系している設備からの電力を、電気自動車に送ることもできない。

 
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