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電気設備の知識と技術 > 照明設計・電球の知識 > 水銀含有蛍光灯の生産・販売に関する規制

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 2024.3.31

水銀含有蛍光灯の生産・販売に関する規制

蛍光灯に含まれる水銀は、環境に与える悪影響が大きな化学物質である。ランプの破棄時や、破損時に飛散する水銀が与える環境負荷は深刻である。

国策として「水銀に関する水俣条約」が策定され、2020年から「基準を満たさない水銀添加製品の製造、輸出、輸入が禁止」されている。下記の通り、水銀を多く含む蛍光灯の生産が禁止となった。

国内で販売されている一般的な蛍光灯は、水銀量を微量に抑える企業努力がなされている。この新しい条例の基準に蛍光灯が即時生産禁止となることはないが、すでに照明メーカーは蛍光灯の生産を制限し、LED照明への移行を推し進めており、新規の蛍光灯器具の販売とほぼ停止となった。

蛍光灯の製造禁止・輸出入の規制

2027年より、スイス・ジュネーブで開催された「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議(COP5)」にて、水銀を使用する蛍光ランプの製造、輸出入に対する規制が決定した。この条約の影響により、蛍光ランプの入手ができなくなることで、既存照明としてHf蛍光灯やFL蛍光灯を使用している事務所、住宅などで蛍光ランプを購入できなくなり、LED光源への交換が避けられない状況となる。

廃止対象の蛍光ランプについては、2027年以降であっても利用することは可能であるが、交換ランプが入手できなくなることから、LED化を図らなければ光源としての利用ができなくなってしまう。実験器具などでやむを得ず蛍光灯を必要とする場合は、在庫が残っているうちに確保する必要があり、時間が経過するにつれて入手困難になることが予想される。

蛍光灯器具及びランプが購入できなくなることで、ユーザーは蛍光灯のソケットにそのまま接続可能なLEDランプに交換するか、照明器具そのものを交換しなければならなくなる。蛍光灯形状のLEDランプは、ランプ交換だけでLED化を図ることができるという利点があるが、グローランプやラピッドスタート型による回路の違いで不点灯を引き起こしたり、LED用のダミー点灯管を取り付けたり、回路をバイパスするといった加工が必要になることもあり、ユーザーの混乱を引き起こすおそれがある。

近年では材料価格の高騰などにより製品価格が高くなっており、LEDの消費電力低減といった性能向上も頭打ちになりつつあるため、早期に器具交換を進めるのが望ましい。蛍光灯からLEDに交換することによりランプ交換の頻度が少なくなり、消費電力も小さくなるため電気代の低減も期待できる。長期的な目線でコストメリットが期待できるため、LED化を随時進めていくと良い。

 
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