電気設備の知識と技術 > 照明設計・電球の知識 > Hf蛍光灯の特徴と高調波の問題
2024.3.31
インバーターを内蔵することで高効率化し、消費電力を抑えた蛍光灯器具である。高出力安定器を使用することで、30%程度の光束アップも図られており、業務用の高性能蛍光灯として広く普及した。
蛍光灯に電子安定器を組込み、磁気回路を小型化しているため、照明器具からの騒音の発生がほとんどない。従来のラピッドスタータタイプと違い、磁気漏れ変圧器の内蔵もないため、器具本体の重量も小さくなり、天井材への負担が軽くなり、施工の難しさも軽減される。
蛍光灯に内蔵されている電子安定器は、ボルトフリーかつヘルツフリー製品がほとんどであり、電源電圧が単相200V回路であっても、単相100V回路しかない環境であっても、選定可能である。周波数も同様、60Hz/50Hzの制限なく選定できる。
特殊使用の蛍光灯として、さらに長寿命化して15,000~18,000時間の寿命を持たせた製品や、飛散防止加工、演色性能向上など、用途と場所に応じて、多岐にわたる製品を選定できる。
Hf蛍光灯は、ラピッドスタート式やグロースターター式の蛍光灯よりも高効率かつ高光束で、点灯の周波数を高めることによりチラツキを軽減し、ランプ径を一回り小さくした高品位な蛍光管である。
蛍光管の電極で発生する損失を小さく抑えることで、ランプの点灯効率が向上し、同じ照度であれば従来の蛍光灯器具より30%程度の節電が図ることができるとされている。
インバーター方式の蛍光灯は、安定器を小型かつ軽く製作できるため、器具本体サイズはFLR蛍光灯よりもコンパクトである。ランプサイズが小さいため、器具本体を薄く設計できている。
Hf蛍光灯は、安定器の選定により光束を選定できるという特徴がある。一般のHf蛍光灯は3,500lm程度の光束を得られるが、安定器を高出力型とすることで、5,000lm近い照度を、同じ器具で出力可能である。
初期照度補正機能や、明るさ2段階切り替え(一般型と高出力型の切り替え)による省エネが図ることができる安定器なども、ラインナップに含まれている。
Hf蛍光灯の消費電力は、一般出力の場合35W程度、高出力の場合45W程度である。同一の蛍光灯でも出力の違いによって消費電力に差があるので、電力計算を行う場合には注意が必要である。
Hf蛍光灯は、電子回路を組込みインバーターによる制御を行っているため、電路に高調波の影響を及ぼす。
電気機器の高調波対策は既に確立しており「高圧または特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」によって方針付けされている。このガイドラインに準拠していない電気機器については、高調波対策を求められる。
Hf蛍光灯は「JIS C61000-3-2 クラスC」という規格が該当しており、この仕様に基づいた品質を保っていれば、高調波に対する影響は、ほとんどないものとして考えられる。
Hf蛍光灯はどのメーカーであっても、クラスC規格に準拠しているのが通常であり、高調波の電路に及ぼす悪影響は、最小限に抑えられていると考えて良い。