電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 突入電流
電気機器に電源を投入した瞬間に、定格電流よりも大きな電流が流れる現象。突入電流は、電流が瞬時に増大して、時間とともに定常状態に戻る過渡現象のひとつであり、突入電流の最大値は「定格電流の数倍から十数倍」もの大電流にまで達することがある。配線用遮断器や漏電遮断器が設けられている系統では、突入電流が過負荷や短絡と誤認識し、トリップしてしまうことがあり注意を要する。
突入電流の発生はコンデンサやフィラメントなどが組み込まれている系統で発生する。突入電流は大きな電圧降下を引き起こしたり、サージやノイズとなって電路に悪影響を及ぼすことがある。電動機の始動時に大電流が流れる現象は「始動電流」として、区分して考えるのが良い。
コンデンサを多数組み込んでいる電気機器は、通電した瞬間にコンデンサへの充電が行われるため、充電が完了するのまでの間に大きな電流が流れる。
通電する電気機器が十分に加熱するまでの間、抵抗値の変動による電流のふらつきも、突入電流に該当する。白熱電球の「フィラメント」は、電源投入直後の電流が大きく、投入時にフィラメントが切れるという現象が多発する。
電力用の変圧器でも、突入電流による大電流を検討しなければならない。変圧器を投入した瞬間、変圧器の鉄心を励磁するための大電流が流れ、これは「励磁突入電流」と呼ばれる。
励磁突入電流は変圧器の特性にもよるが「定格電流の10倍の電流が0.1秒間継続する」という特性があり、過電流継電器が動作する原因となるため、保護協調を十分検討しなければならない。
高圧受変電設備の保護協調については過電流継電器・地絡継電器・地絡方向継電器の保護協調を参照。
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