直列ユニット
直列ユニットの基本構造と用途
直列ユニットは、テレビジョン受信設備の共聴システムにおいて、同軸ケーブルを直列(送り配線方式)に接続し、各部屋へテレビ電波を供給・取り出すための壁面端子である。入力されたテレビ信号の一部をテレビ受像機側へ分岐させ、残りの信号を次のユニットへ通過させる機能を持つ。
施設内のアンテナや増幅器(ブースター)から送られてきた信号を、各フロアや各部屋へ数珠つなぎに伝送していく配線計画において、信号を適切に分配しつつ、系統全体のインピーダンス整合を保つための重要な役割を担う。
中間型と端末型の機能的な違い
直列ユニットには、設置される経路の位置に応じて「中間型」と「端末型」の2種類が存在し、配線計画において明確に使い分けられる。
- 中間型直列ユニットは、入力端子、送り出し出力端子(次のユニットへ向かう配線)、およびテレビ接続端子の3つのポートを持つ。幹線を分岐させながら次のコンセントへ信号を送る中継点として機能する。
- 端末型直列ユニットは、入力端子とテレビ接続端子の2つのポートのみを持ち、送り出し出力端子を持たない。直列配線の最終端(末端)に設置される。内部には信号の反射を防ぐための75Ωの終端抵抗(ダミー抵抗)が組み込まれている。
末端のユニットで同軸ケーブルの特性インピーダンスと整合を取らないと、信号が反射して幹線を逆流し、特定チャンネルの受信不良やデジタル信号のビットエラーレート悪化によるブロックノイズを引き起こす。そのため、送り配線の末端には端末型を使用する。
挿入損失と結合損失の特性
中間型の直列ユニットは、内部回路として分岐器と同じ仕組みを採用している。入力した信号が幹線側の送り出し出力へ通過する際に生じる減衰を「挿入損失」と呼び、一般的に2〜3[dB]程度と小さく抑えられている。
一方、テレビ接続端子側へ信号を取り出す際に生じる減衰を「結合損失」と呼び、10[dB]を超える大きな損失が発生する。また、テレビ受像機側から発生したノイズが幹線側に逆流することを防ぐため、テレビ接続端子から入力側への信号の伝わりりにくさを示す「逆結合損失(アイソレーション)」という特性も確保されている。これにより、ある部屋の機器から出たノイズが、他の部屋のテレビ受信に悪影響を及ぼすことを防ぐ。
分配方式との比較と現代の配線計画
テレビ配線方式には、直列ユニットを用いる「送り配線方式」と、分配器を用いて各部屋へ個別に単独配線する「分配方式(スター配線)」がある。送り配線方式は同軸ケーブルの使用量を削減できるため、過去の集合住宅やホテルなどで広く採用されていた。しかし、直列ユニットを多数連結すると末端のユニットほど挿入損失が累積し、テレビの写りが悪くなる。また、配線の途中で断線や接触不良が発生すると、それ以降のすべての端末で視聴が不可能になるという欠点がある。
障害の局所化と各端子への均等な信号供給を目的として、情報分電盤などに設置した分配器から各テレビコンセントへ直接配線するスター配線方式を採用する場合は、壁面の端子には直列ユニットではなく、単なる中継接栓である「テレビ端子」が用いられる。
高周波帯域への対応と改修時の注意点
BSやCS、および4K・8K衛星放送などの高い周波数帯域(最大3224MHz)を伝送する場合、同軸ケーブル自体の高周波減衰に加えて、直列ユニットの挿入損失も周波数に比例して大きくなる。中間型ユニットを複数通過する構成では、高い周波数の信号レベルのみが著しく低下し、特定の衛星チャンネルが受信できなくなる現象が発生する。
既存の集合住宅などでアナログ放送時代の古い直列ユニットが残存している場合、内部の回路が高周波帯域に対応していない、あるいはシールド性能が不足してWi-Fiや携帯電話の電波と干渉(電波漏洩および飛び込み)を引き起こすおそれがある。衛星放送を導入する改修工事においては、広帯域・高シールド仕様(SHマーク認定品など)の直列ユニットへの全数交換、またはスター配線への全面的な改修が必要となる。












