調光器
明るさを制御する演出・省エネ装置
調光器は、照明器具への供給電力や信号を制御することで、光源の光束を0%~100%の範囲で任意に調整する装置である。リビングや寝室、ホテルの客室などで、時間帯や用途に合わせて照度を落とし、落ち着いた雰囲気を演出するために用いられる。
また、過剰な明るさを抑えることは消費電力の削減に直結するため、オフィスビルにおいても昼光利用制御と組み合わせた省エネルギー手法として標準的に採用されている。
位相制御方式(2線式)
位相制御方式は、交流電源の正弦波の一部をトライアックなどの半導体スイッチでカットし、実効電圧を下げることで明るさを調整する方式である。主に白熱電球、ハロゲン電球、および一部の「位相制御対応LED電球」で採用される。
メリットは、電源線のみで調光が可能であり、別途信号線を敷設する必要がない点である。そのため、既設のスイッチを調光スイッチに交換するだけで導入できるケースが多く、リフォームやリノベーションに適している。ただし、精密な制御は苦手であり、深く絞り込むとチラツキが発生したり、調光器本体から「ジー」という唸り音が生じることがある。
PWM調光方式(4線式)
PWM調光方式(Pulse Width Modulation)は、人間の目には感知できない高速なパルス信号を送り、そのON時間とOFF時間の比率を変えることで明るさを制御する方式である。LED照明における標準的な調光方式となっている。
1%〜100%までスムーズでチラツキのない高品位な調光が可能であり、色温度の変化も少ない。しかし、導入には電源線(2線)とは別に「調光信号線(2線)」を器具まで配線する必要がある(計4線)。したがって、壁スイッチから照明器具までの間に信号線用の配管・配線ルートが確保できない既設建物では、後付けが極めて困難である。
非対応器具接続のリスク
調光器を設置する際、最も注意すべきは器具との適合性である。特に「調光非対応」のLED電球や電球形蛍光灯を、位相制御調光器に接続してはならない。
非対応器具は内部の電源回路が定電圧入力を前提に設計されているため、位相制御によって欠けた波形が入力されると、回路が誤動作して激しく点滅したり、コンデンサが過熱して発煙・焼損事故に至るおそれがある。必ず照明器具の仕様書を確認し、適合する調光器を選定する必要がある。
光源寿命への影響
白熱電球の場合、調光して電圧を下げることは、フィラメントの温度低下による昇華抑制につながり、寿命が定格の数倍〜数十倍まで延びるという副次効果がある。LED照明の場合、もともと長寿命(40,000時間など)であり、調光による寿命延長効果は期待できず、電圧が上下することで寿命が悪化するおそれがあるため注意を要する。
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