シーリングフィッチング
シーリングフィッチングとは、電線管路を通じて可燃性ガスや火炎が他の設備へ伝播するのを防ぐために、管路の要所を密閉(シーリング)するための配管付属品である。
電気工事における防爆処理において、ボックスと電線管の隙間を塞ぎ、空気の流入を遮断するための電気材料のひとつで、防爆対応が必要な場所に対する電線敷設では、電線管路内部を伝わっての爆発性ガスの流出や粉じん侵入のおそれがあるため、シーリングフィッチングを隔壁の片方側に設け、爆発性ガスの侵入を食い止めるのが主用途となる。
万が一、電気機器の内部で爆発が発生した場合、その火炎が電線管を伝わって外部や他の機器へ広がるのを防ぐ「爆発火災の遮断」を行う電気部材で、危険箇所から非危険箇所、あるいは異なる爆発等級の区域間へ、可燃性ガスや粉じんが移動することを抑制する。外部からの浸水や湿気の侵入を防ぎ、電気絶縁性の低下を防止するという効果も期待できる。
シーリングフィッチングの設置は、法令で定められた防爆構造電気機械器具の設置基準に基づき、化学プラント、製油所、塗装工場、ガソリンスタンドといった危険箇所において義務付けられている。
シーリングフィッチングの施工方法
シーリングフィッチングは、金属製のハウジング内部に「シーリングコンパウンド」と呼ばれる特殊な充填剤を流し込んで使用する。電線をフィッチング内に通した後、コンパウンドが漏れないよう「ダム」と呼ばれる詰め物(クレイや繊維状の材料)で仕切りを作り、そこへ液状のコンパウンドを注入して硬化させることで完全な密閉状態を作り出す。
シーリングコンパウンドは水を加えて撹拌すると流動性を持つため、簡易に配管への充填が可能となる。常温で30分程度放置することで、硬化が始まる。
注入口の位置が固定されている「縦形」や、注入口に位置を変えられる「自在形」が一般的に用いられる。電線管のサイズに合わせて、呼び径16mm~104mmまでのラインナップがあり、接続する電線管の径に応じたサイズを選定する。
防爆機能のほか、水分侵入と排出を兼ねた性能をもつ「ドレンフィッチング」と呼ばれる製品もある。フィッチング部分に下向きのドレンコックが設けられており、ここから浸入水を排出できる。
呼び径54mm以上の電線管の場合、隔壁の貫通部だけでなく、電線管の管路長が15mを超える場合は15m以下ごとに1箇所、分電盤やプルボックスなどは45cm以内の近接場所にシーリングフィッチングを設けると良い。
照明器具をはじめとした防爆設計の詳細については照明設備の防爆設計を参照。












