サイリスタ整流装置
交流から直流への電力変換と位相制御
サイリスタ整流装置は、商用交流電源(AC)を直流(DC)に変換し、据置蓄電池への充電や直流負荷への電力供給を行う変換装置である。受変電設備における遮断器の操作電源や、非常用照明の点灯電源として広く採用されている。
主要部品である「サイリスタ」は、ゲート端子に信号を送るタイミング(位相)を調整することで、出力電圧や電流を無段階に制御できる特性を持つ。これにより、バッテリーの状態に応じた精密な充電制御が可能となり、過充電を防ぎ、安定した直流電力を供給することができる。
浮動充電と均等充電の電圧変動
蓄電池設備は通常、自己放電分を補う微弱な電流を流し続ける浮動充電(トリクル充電)で運用され、定格電圧付近で維持されている。しかし、停電後の回復時や、各セルの電圧バラつきを是正するために行う均等充電の際は、通常よりも高い電圧(例えば鉛蓄電池なら2.3V/セル以上)で充電を行う必要がある。
この際、充電電圧の上昇がそのまま負荷側に印加されると、接続されている制御機器やランプの定格電圧を超過し、寿命短縮や焼損を引き起こすおそれがある。
シリコンドロッパによる電圧補償
充電中の電圧上昇による機器トラブルを防ぐため、整流器の出力側(負荷側)にはシリコンドロッパ(SID:Silicon Dropper)と呼ばれる電圧補償装置を設けると良い。
これは、ダイオードの順方向電圧降下(約0.7V/個)を利用した減圧回路である。均等充電などで蓄電池電圧が上昇した際、自動的に回路へダイオードを直列に挿入することで、負荷への供給電圧を定格範囲内に抑制する機能を持つ。これにより、蓄電池には十分な充電電圧を与えつつ、負荷機器には安全な電圧を供給するという両立が可能となる。
なお整流装置の寿命は15~20年程度であり、直流電源装置を構成する内部機器の中では比較的長寿命である。
蓄電池設備の設計手法や設置基準については蓄電池設備の設置基準と容量計算を参照。












