三相電源
三相電源の概要と特性
三相電源とは、電圧と周波数が等しく、波形の位相が互いに120度ずつずれている3つの正弦波交流を組み合わせた電源方式のことである。日本国内における低圧受電では、主に工場やビルなどの動力設備用として三相3線式200Vが、大規模施設やデータセンターなどでは三相4線式400Vが採用されている。
三相電源を構成する3本の電線のうち、任意の2本を取り出すことで単相電源を得ることが可能である。例えば、三相3線式200Vの電源から2本の線を接続すれば、単相200Vの機器を使用することができる。
回転磁界の生成と電動機への応用
三相電源が産業用の動力源として広く普及している理由は、回転磁界を容易に生成できる点にある。位相がずれた3つの電流をコイルに流すと、物理的な回転機構を持たなくても、固定子の内部で磁界が回転する現象が発生する。
この回転磁界を利用することで、構造が単純で堅牢な三相誘導電動機を駆動させることができる。単相電源では始動のためにコンデンサや始動巻線などの補助機構を必要とするが、三相電源を用いる電動機は自己始動が可能であり、大型のポンプやファン、コンプレッサーなどの駆動に適している。
送電効率と瞬時電力の安定性
三相電源は、単相電源と比較して送電効率に優れている。同じ電力を送る場合、単相2線式に比べて少ない電線量で送電できるため、設備コストの低減が可能となる。
また、単相交流は電圧がゼロになる瞬間があり、瞬時電力が大きく変動するのに対し、三相交流は3つの相の瞬時電力の和が常に一定になるという特性を持つ。これにより、発電機や電動機にかかるトルク変動が小さくなり、振動や騒音の少ない安定した運転が可能となる。
結線方式:スター結線とデルタ結線
三相電源の変圧器や負荷の接続方法には、主にスター結線(Y結線)とデルタ結線(Δ結線)の2種類が存在する。
スター結線は、3つのコイルの一端を中性点で結合する方式であり、中性点接地が可能であることから、400V配電などの高電圧系統や、地絡保護を必要とする回路で多用される。一方、デルタ結線は3つのコイルを環状に接続する方式であり、第三高調波を環流させて打ち消すことができるため、波形の歪みを抑制したい場合や、200V動力回路などで広く採用される。
照明設備におけるストロボスコープ効果対策
体育館や工場などで、水銀灯などのHIDランプを単相電源で点灯させると、電源周波数の2倍の周期で明滅を繰り返す。この環境下で高速回転する物体や高速移動するボールなどを見ると、明滅のタイミングと物体の動きが同期してしまい、物体が静止して見えたり、逆回転して見えたりするストロボスコープ効果が発生する。これは作業の安全性や競技の質を低下させる要因となる。
この対策として、照明器具を3つのグループに分け、それぞれを三相電源の異なる相(R相、S相、T相)に接続して点灯させる手法が採られる。位相のずれた光を混合させることで、空間全体の明滅の谷間を埋め合わせ、ちらつきを感じさせない照明環境を構築することが可能となる。なお、LED照明を採用する場合や、インバーター安定器を使用して高周波点灯させる場合は、相を分けなくともちらつきは発生しない。
電圧の種類や、単相電源と三相電源の違いについては電圧の種類・単相電源と動力電源とはを参照。












