OCR
高圧遮断機との連動とCTによる電流検出
OCR(Over Current Relay)は、高圧受変電設備において、電路の短絡や過負荷による異常電流を検出し、真空遮断器(VCB)等の開閉器に遮断指令(トリップ信号)を送るための保護継電器である。
低圧回路に用いられる配線用遮断器(MCCB)は、電流検出部と遮断部が一体化されているが、高圧回路では絶縁性能や遮断アークの制御が困難であるため、検出部(OCR)と遮断部(VCB)を別々の機器として構成する。OCRは、主回路に設置された計器用変流器(CT)によって、1/40や1/100などに変成された二次電流(定格5A)を常時監視し、この電流値が整定値を超えた瞬間に接点を閉じ、遮断器のトリップコイルを励磁させることで回路を開放する。
反限時特性と整定(タップ・レバー)
OCRの動作特性において最も重要なのが、「反限時特性」である。これは、流れる電流が定格に近いわずかな過電流であれば時間をかけて動作し、短絡のような大電流が流れた場合には瞬時に動作するという特性を指す。
この特性により、電動機の始動電流など、一時的な過大電流での不要動作(誤遮断)を防ぐことができる。実務上の整定では、動作電流値を決める「タップ(Tap)」と、動作時間を決める「レバー(Time Lever)」を調整し、電力会社側の配電用変電所や、下位の遮断器との動作時間を協調させ、事故範囲を局限化するよう設計しなければならない。
誘導円盤形からデジタルリレーへの変遷
かつて主流であった「誘導円盤形」は、アラゴの円盤の原理を応用し、電流が生じる磁束によってアルミニウム円盤を回転させ、その回転量で接点を閉じる構造であった。視覚的に動作状況が把握しやすい利点がある反面、振動や衝撃に弱く、回転軸の摩耗やオイルの劣化など、経年変化による特性ずれが生じやすいため、定期的な精密点検が不可欠であった。
現在主流の「静止形(アナログ電子式)」や「デジタルリレー」は、可動部分がなく耐震性・耐環境性に優れる。特にデジタル型は自己診断機能や、地絡継電器(DGR)や電圧継電器(UVR)との複合機能を持ち、事故時の電流波形を記録できる製品も普及しており、事故解析の精度向上に寄与している。
瞬時要素と限時要素の使い分け
OCRの保護要素には、過負荷保護を目的とした「限時要素」と、短絡保護を目的とした「瞬時要素(INST)」の2つが含まれている。
瞬時要素は、整定値(通常は定格の10倍~20倍)を超える大電流が流れた際、時限タイマーを介さずに即座(0.05秒以内など)に遮断指令を出す機能である。変圧器の二次側直近での短絡事故など、設備全体に甚大な被害を及ぼす事故に対し、熱的・機械的ストレスが限界に達する前に高速で切り離す役割を担っている。
過電流継電器(OCR)の詳細については過電流継電器・地絡継電器・地絡方向継電器の保護協調を参照。












