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HIDランプ

HIDランプの分類と発光原理

HIDランプ(High Intensity Discharge Lamp)は、金属蒸気中のアーク放電によって発光する「高輝度放電灯」の総称である。ガラス管内に封入された発光物質の違いにより、以下の3種類に大別される。

  • 水銀ランプ:青白い光(Ra40程度)で、演色性は低いが安価で寿命が長い。道路灯や工場照明として広く普及した。
  • メタルハライドランプ:ハロゲン化合物を添加し、演色性(Ra65~95)と効率を高めたもの。商業施設やスタジアム照明に用いられる。
  • 高圧ナトリウムランプ:ナトリウム特有のオレンジ色の単色光(Ra25程度)を発する。演色性は極めて低いが、発光効率が高く、霧の中でも透視性に優れるため、道路やトンネル照明に特化して採用された。

始動特性と瞬時再点灯の制約

HIDランプは、スイッチを入れてから全光束(明るさが安定する)になるまで、数分から10分程度の時間を要する特性がある。さらに、一度点灯して高温になったランプを消灯すると、管内の蒸気圧が下がるまで再始動ができないため、再点灯には10分~20分程度の冷却時間を待つ必要がある。

この「瞬時再点灯が困難」という性質は、体育館や工場などの避難安全上、大きなリスク要因であった。そのため、HID照明を採用する空間では、停電からの復電時に即座に点灯する「保安用ハロゲン電球」を併設するか、高価な「瞬時再点灯型」の器具を選定するなどの設計的配慮が不可欠であった。

投光器に取り付けられた水銀ランプ

水銀に関する水俣条約と生産終了

環境汚染防止を目的とした「水銀に関する水俣条約」の発効に伴い、2021年以降、一般照明用の高圧水銀ランプの製造および輸出入が禁止された。メタルハライドランプや高圧ナトリウムランプは一部規制対象外のものもあるが、主要メーカーはHIDランプ全体の生産縮小・終了を進めている。

現在、新築物件でHIDランプが採用されることは皆無に等しく、既存施設のLED化(リニューアル)が急務となっている。LED光源は、HIDランプと同等以上の光束を確保しつつ、瞬時点灯が可能であり、消費電力も約1/2~1/3に削減できるため、交換によるメリットは大きい。

ただし、既存のHID器具の安定器(バラスト)をそのまま流用してLEDランプを装着することは、電気的整合性が取れず発火事故の原因となるおそれがある。改修にあたっては、器具ごとの交換(バイパス工事含む)を行うことが推奨される。

HIDランプの代表である水銀灯については水銀灯・バラストレス水銀灯を、HIDランプについてはHIDランプの基礎知識を参照。

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