CVケーブルの特徴と構造 | 架橋ポリエチレンとは。CVケーブルとCVTケーブルの違いと使い分けや、アルミ導体の特徴について解説

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電気設備の知識と技術 > 電線・ケーブルの種類 > CVケーブル・CVTケーブル

 2024.3.31

CVケーブルとは

CVケーブルは「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」の略称で、英語では「cross-linked polyethylene insulated vinyl sheath cable」と称される。CVDケーブル・CVTケーブル・CVQケーブルは、単心のCVケーブルをより合わせた電力ケーブルであり、建築設備では幹線設備用の電力ケーブルとして広く普及している。

電力用ケーブルとしての普及が大きく、民生用の構内ケーブルでは絶大な信頼性を得ている。住宅や業務施設といった建築物に限らず、商業施設や工場、研究施設、学校、病院など、どのような種類や規模の建築物に対しても採用が可能であり、高い性能と信頼性を持つ電力ケーブルのひとつである。

一般的なCVケーブルの機能や特徴、類似した性能と形状を持つ「CVDケーブル」「CVTケーブル」との違いや使い分けなど、設備設計に必要な技術を解説する。幹線計画における留意点なども網羅している。

切断されたCVケーブルの断面写真

CVケーブルの構造

CVケーブルは導体を架橋ポリエチレンで被覆し、その外周をビニルシースで被覆したケーブルである。CV-1Cを2本まとめて円形に仕上げたものはCV-2C、3本まとめたものはCV-3Cというように名称付けされており、供給先が必要としている極数に応じて使い分けがなされている。対数が多いほど径が大きくなり、熱が逃げにくくなるため許容電流が小さくなっている。

CVケーブルは、電圧に応じた絶縁性能を持つ製品を選定しなければならない。高電圧に対応するものほど絶縁性能が強化されているため、シースや絶縁体が厚くなるため施工性が悪化する。電線管の占積率も高くなり、放熱性能が低下することで許容電流に悪影響を及ぼす。

高圧電路にCVケーブルまたはCVTケーブルを使用する場合、6.6kVの電圧が印加できる高圧ケーブルを選定しなければならない。

高圧ケーブルは絶縁性能を高めるため、低圧用のケーブルと比べて外装が厚く、重量も大きく設計されている。低圧のCVケーブルやCVTケーブルと同じサイズの電線管には収容出来ないため、外径サイズから電線管の占積率を計算し、無理なく入線が出来るサイズとする。

低圧と比較して、高圧ケーブルでは仕上外径が1.3倍程度大きくなる。CVT60sqを電圧の高さで比較した場合、低圧ケーブルでは外径34mm、高圧ケーブルでは外径50mm、特別高圧ケーブルでは外径69mmとなる。耐火ケーブルではさらにサイズが大きくなるため注意を要する。

架橋ポリエチレンとは

CVケーブルに使用されている架橋ポリエチレンは、電力ケーブルの被覆材として広く使用されている。電力ケーブルの絶縁体は、絶縁性能の高さ、耐熱性能の高さが要求され、大量生産を行うために入手が容易であることが求められる。

ケーブルには架橋ポリエチレンと呼ばれる材料が使用されている。ポリエチレンは絶縁特性が良好かつ入手が容易なため、電力ケーブル用のシース材料として適しているが、ポリエチレン単体では耐熱性能がそれほど高くない。大電流を流す電力ケーブル用の材料としては異常発熱時の劣化が懸念されるなど、熱に対するリスクが大きい。

ポリエチレンの耐熱性の低さを補うため、ポリエチレン分子を架橋することで、分子を網状に補強して耐熱性能を高めている。これは架橋ポリエチレンと呼ばれ、最高許容温度が90℃まで向上し、短絡時許容温度も230℃という高温まで耐えられるという性能を付与できる。

ポリエチレンに化学的処理を施すことで、高分子の分子鎖を網目状に結合させ、耐熱性や耐薬品性能が向上させている。架橋処理が施されたポリエチレンは耐化学薬品性能や耐水性に優れた材料であり、これをもとに製作されたCVケーブルは、工場や駐車場、屋外など幅広く使用できる高い耐久性を保持している。

CVD・CVT・CVQケーブルの違い

CVケーブルを多心化する場合、複数の心線をシースで覆うことで多芯のCVケーブルである「2C」「3C」「4C」といった製品を用いるのが一般的だが、単心のCVケーブルを複数本撚り合わせた電線も販売されている。

撚り合わせをせず、一体のシースに多心収容した「CV-2C」「CV-3C」「CV-4C」といったケーブルは、単心のCVケーブルを複数本束ねて一体化し、電線同士の隙間を「介在物」という物質で充填して円形に仕上げている。介在物によって放熱性能が悪化するため、CVDやCVTケーブルといった「より線」のケーブルと比較すると許容電流が小さい。

多心のCVケーブルのような複数心線を束ねて被覆された製品は、曲がりにくく施工性が悪く、放熱が阻害されるため許容電流も低くなる。施工性や許容電流を向上させるため、単心ケーブルをより合わせた電線も生産されている。より合わせた電線は「CVDケーブル」「CVTケーブル」「CVQケーブル」が広く普及している。

複数の導体を束ねたケーブルは、325sqまでのラインナップとなっており、400sqを超える太径の電線でより線を作るのは現実的ではない。よって、400sqを超えるケーブルが必要な場合は、単心ケーブルを必要本数敷設しなければならない。

CVDケーブルはCV-1Cのデュプレックス(2本より線)、CVTはトリプレックス(3本より線)、CVQはカドラプレックス(4本より線)となっており、供給する電気方式に合わせて利用される。撚り本数が多くなるほど放熱性能が悪くなり、同一サイズであっても許容電流値は減少する。

CVQケーブルは、CVケーブルを4本より合わせた電力ケーブルで、三相4線式の電路に採用される。三相4線式の配電設備が採用される頻度は少なく、現在需要は少ない。

ケーブル外径は、CVDケーブルやCVTケーブルといった「より線」のケーブルが大きいが、ほぼ同じと考えて良い。介在物がないため、CVDケーブルやCVTケーブルの方が軽い。

CV-3CケーブルとCVTケーブルの使い分け

CVケーブルの3心と、CVTケーブルをどのように使い分けるかを解説する。CV-3CとCVTを比較すると、CVTに多くの利点があるため、CVTケーブルとCVケーブルと比較し、どのようなメリットがあるかを下記に示す。

CVTケーブルは施工性が良い

CVケーブルに比べ、CVTケーブルは3本より線となっているため、曲げやすく施工性が良い。外径寸法がわずかに大きいが、数mm程度であり大きな影響はない。端末処理を行う場合には、CVTケーブルの「より」を解くことで、CV-1Cケーブルのようにそれぞれ単心として取り扱うことができる。

放熱性能が高く許容電流が大きい

CVTケーブルは、CV-1Cをより合わせた構造であり、CVケーブルのように、放熱を阻害する介在物が存在しない。放熱性能が高く、許容電流も高く設定されている。

コストに大きな差がない

建設物価本で比較しても、CVケーブルとCVTケーブルの金額の差がほとんどない。許容電流が大きく、施工性が良好なため、幹線を計画する場合、CVDケーブルやCVTケーブルを用いると、大きな許容電流が確保できるためコストメリットが良い。

線間短絡事故に移行しにくい

CVTケーブルは、単心ケーブルごとに架橋ポリエチレンシースで保護されているため、1線地絡事故が発生した場合、共通シースで保護しているCVケーブルと比べて「線間短絡」に移行しにくいという利点がある。

ケーブルサイズ選定と施工の注意点

CVケーブル及びCVTケーブルは、キュービクルから電灯分電盤・動力制御盤までの幹線や、盤から大型電気機器への電源供給用配線として使用される。幹線設計を行う場合、幹線サイズが大き過ぎると施工性が悪化するため、ケーブルサイズは200sq~200sq程度を上限として設計するのを基本とする。

250~325sqのCVケーブルは外径が大きく重いため、曲がりづらく施工性が悪い。大容量のケーブルに多くの負荷を負担させると、幹線事故による停電範囲が広くなるためリスクが大きい。停電被害の拡大防止の観点からも、1本の幹線で供給する面積を大きくし過ぎないことが重要である。

電灯負荷や動力負荷は、1幹線あたり50kVA~60kVAを上限にして幹線計画すれば、150sq~200sqのケーブルを多く採用でき、かつ停電時の被害も分散できる。電線サイズは比較的小さく済み、経済的な設計が可能となる。

曲げ半径の十分な確保

ケーブルは可とう性があり、自由に屈曲するため施工性が良いが、極端な屈曲を行うとその部分が電気的な弱点となり、性能劣化につながるおそれがある。CVケーブルはシースの内側に銅テープが巻かれており、極端な屈曲を行うと、銅テープが剥がれてしまいシールド性能が失われるおそれがある。

ケーブルを曲げる場合、固定された状態で6D(D:ケーブル外径)以上、施工中は10D以上を確保する。曲げ半径を小さくし過ぎ、急激な曲げを伴う施工を行うとケーブルの劣化につながる。コルゲートケーブルなどの特殊がい装が施されたケーブルでは、一般のCVケーブルと比べても、さらに大きな曲げ半径を必要とする。

許容張力の検証

CVケーブルを敷設する場合、ケーブルラックへの通線や電柱間の架空配線など、ケーブルに対して強い張力を与えてしまう施工が行われる。ケーブルを過度な力で引っ張ると、シースに物理的損傷を与え、劣化による絶縁不良の原因となる。

施工時・運搬時などを含め、どのような場合であってもケーブルに対してできるだけ張力を与えないのが理想的だが、全く張力を掛けずに施工するのは不可能である。許容張力は下記の計算式で求められるため、損傷を受けない範囲で引くよう計画すると良い。

アルミ導体のCVケーブル

銅導体をアルミに置換えたCVケーブルが生産され、普及が進んでいる。鉄塔間を架空敷設している特別高圧用の送電線にはアルミ電線がすでに使われているが、高圧や低圧分野ではあまり利用されていなかった。アルミ地金は相場が安定しており、価格変動に強いとされているため、近年の銅価格の高騰や、価格の不安定さを回避すべく、低圧ケーブルにもアルミが用いられるようになってきている。

銅とアルミを同じケーブルサイズで比較した場合、「アルミケーブルは許容電流が小さくなるが、軽量化できる」というのが利点となる。軽量なため運搬や敷設時の労務が軽減する代わりに、ケーブル自体のサイズアップが必要になるため、ケーブルラックや電線管のスペースが限られている場合の置換えは困難である。

アルミは腐食しやすい金属であり、銅と接触すると著しく腐食が進行する卑金属である。アルミ導体に銅導体用の接続材料を用いたり、アルミ導体と銅導体を直接接続するといった施工は腐食の原因となるため禁止されている。

盗難防止となる

電線は、純度の高い銅が大量に用いられていることから、盗難の対象となりやすいという特徴がある。電線を保管する場合、容易にトラックやユニックが近寄れず、施錠できる場所に保管する必要がある。

アルミは銅と比較して単価が安いため、電線スクラップ回収や販売の対象としての価値が低い。そのため、電線の盗難対象となりにくく、防犯対策の一つとして「盗難されても売却ができない」ということが、防犯対策のひとつになるとされている。

銅導体と比較して軽量である

アルミ導体は、同一サイズの銅導体と比較して半分の重量であり、同一許容電流で比較した場合でも30%の軽量化が図ることができるとされている。そのため、施工性が向上し、運搬や敷設時の労務費の削減が見込める。

サイズが大きくなる

基本的に、同一サイズの銅ケーブルをアルミケーブルに変更する場合、ワンサイズアップになることに留意する。銅導体のCVケーブルと比較して、許容電流が60%程度まで低減するので、同等の許容電流が必要な場合、外径が大きくなることを考慮しなければならない。

異種金属接続による電食が発生する

アルミと銅を不用意に接触させた状態にすると、電食によりアルミニウムが腐食していくことになる。メッキを施した専用のアルミ端子台を用いて接続しなければならない。既存の分電盤や配電盤から、ケーブルのみを更新するといった用途の場合、ケーブルサイズや材質が変わることから、端子台ごと交換を行う必要性などを含め、利用可能か検討を必要とする。

 
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