オイルヒーターの基礎知識 | 消費電力と電気代・効率の良い使い方

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オイルヒーターとは

オイルヒーターは、フィンの付いた密閉容器に難燃性の油が密閉されており、電気を流すことで内部の油が加熱され、温度が上昇したオイルがパイプ内を循環することで放熱する暖房器具である。電熱線を用いたヒーターと比較して速暖性は小さく、オイルが温まるまで時間を要する。

オイルヒーターは電気暖房のひとつで、電気エネルギーを熱源とした輻射暖房器具である。ガスや燃料を燃焼するという行程が存在しないため、本体の周辺空気を汚さずに暖房効果を得られるという利点がある。熱源部分は完全密閉されているため空気を汚す心配がない。

効率の良い放熱を促すため表面には多数の放熱フィンが取り付けられており、高温となった内部のオイルと接触している放熱用フィンから、輻射によって放熱させるという構造を持つ、電気ヒーター暖房器具の一種である。オイルヒーター本体から放出される輻射熱によって部屋を暖める。フィンからの熱輻射を利用した輻射暖房であるため、やわらかい暖かさを得られるという特徴がある。

熱を発生する油は容器内に密閉されているため、油の清掃や交換といったメンテナンスを行う必要がなく、本体外側に付着した汚れを拭き取るなど、簡易な清掃を行うことで良い。長期に渡る利用で本体と共にオイルが古くなったとしても、オイル交換や補充を考えることなく、メンテナンスフリーで使う事が可能である。

通電した状態で本体からの運転音はほとんどなく、静かに運用できるため寝室の暖房として人気がある。また、本体温度は他の電気ヒーターの吹き出し口のように、着火するような熱さにはならず、毛布や布団が接触したり、直接触ってしまっても火災や火傷を引き起こす心配が少ないことも利点である。空気を汚さない非常にクリーンな暖房器具である。風を発生させることがないため、室内のほこりが舞ったり、ハウスダストを拡散させる心配がない。

しかし「本体温度があまり熱くならない」ということは、暖房効果が低いということでもある。オイルヒーターの設置場所を間違えると、まったく部屋が暖かくならず、電気代だけが高いということになりかねないため、効果的な利用方法、設置場所を考える必要がある。

オイルヒーターに充填されている難燃油は、熱容量が高く、暖房器具として効果を発揮するまで加熱するにはしばらく通電を継続する必要があり、すぐに暖かさを得たい場合には適していない。電気ストーブとして代表的なハロゲンヒーターやセラミックファンヒーターといった電熱線を発熱させる方式と比べると、これら電熱線による方式では電源をオンにして数秒後には暖かさを感じられるが、オイルヒーターでは内蔵されたオイルが温まるまで20~30分必要であり、即時的な暖房効果は期待できないことにも注意が必要である。

部屋全体を暖めるに長い時間を要すことのほか、空気を暖めるための放熱フィンが大きくなりがちで、高い暖房効果を得るためには、器具が大きく重くなるという欠点もある。

ここではオイルヒーターの特徴のほか、オイルヒーターの利点や欠点、電気代の考え方、コンセント接続時の注意点など、オイルヒーターに関する基礎知識について解説する。オイルヒーターと、その他暖房との比較については、電気ヒーター暖房器具の選び方を参照。

窓際に設置されたオイルヒーターの写真

利点・メリット

駆動音がなく静か

エアコンやガスファンヒーター、石油ヒーターと比較して、回転部品が存在しないことによる静寂性で有利である。静かに運転できるため、テレビなどのAV機器の妨げにならず、寝室など静寂性が求められる空間にも適している。

タイマーや温度サーモの動作音を感じたり、オイル加熱中に若干のパチパチ音や、電子機器特有の「ジー」という振動音を感じることがあるが、総じて騒音は小さく、寝室用の暖房器具として適している。

空気が汚染されない

オイルヒーターは空気の循環がないため、ほこりやハウスダストを吸い込んだり、巻き上げる心配がない。これはオイルヒーターに限ったことではなく、電気暖房全般の利点でもある。石油ファンヒーターのように灯油の燃焼も伴わず、二酸化炭素や一酸化炭素で空気を汚染する心配もない。

エアコンのように室内の空気をかき混ぜることがないため、ほこりの排出やハウスダストの巻き上げも発生しない。エアコンは熱交換による結露が本体内部で発生するのを避けられないため、カビの発生が心配であるが、オイルヒーターは本体結露によるカビの発生はなく、室内の清浄性を保つという点では極めて有利である。

空気を汚さない非常にクリーンな暖房器具であり、高齢者や乳幼児が過ごす部屋や寝室での利用に適している。風を発生させることがなく、空気の乾燥やハウスダストを拡散させる心配がないのが大きな利点である。

外気導入による換気量の低減

ガスヒーターなど燃焼を伴う暖房器具では、一酸化炭素や二酸化炭素を排出するために換気を必要とする。換気は、新鮮な空気を取り入れる重要な設備であるが、同時に冷たい外気を取り入れてしまうため、暖房効果を失う原因でもある。

オイルヒーターは空気を汚さないため、換気量は「暖房がない状態」と同じく最小限に抑えられる。室内で灯油を燃焼させるような暖房器具は、常時大きな換気を必要とするため暖房効果は高いものの、外気の侵入も多いため室温の変化が激しくなる。

輻射熱による優しい暖房が可能

オイルヒーターは輻射熱を利用しており、空気を汚さず身体に優しい暖房機器である。電気ストーブと比べて表面温度が低いため、柔らかい暖房効果を得られる。ハロゲンヒーターやセラミックファンヒーターは表面温度が大変熱いため、長時間の暖房は身体への負担が大きく火傷の心配もある。

オイルヒーターは表面温度が60度程度であり他の暖房器具よりも低いため、刺激の少ない柔らかな暖房効果を期待できる。新生児や乳児、高齢者の使用する部屋に適した暖房器具である。

表面温度が低く柔らかい暖房であるため、頻繁に部屋を出入りしたり、窓を大きく開けて換気すると暖房効果をすぐに失ってしまう。再度、部屋を暖房するのに長い時間が必要となるため「出入りが少ない」「長時間利用する」という部屋に用いるのが理想的である。

メンテナンスフリーで長期間利用可能

容器内の難燃油は、完全に密閉されているため、利用者がメンテナンスする必要がない。普段の手入れは本体表面の清掃だけで済むので、日常手入れの負担が少ないという利点がある。

充填されているオイルはメンテナンスフリーであり、ユーザーが交換や補充を考える必要がなく、機器の耐用年数までそのまま使える。表面はほこりなどで汚れていくので定期的な清掃が必要であるが、清掃を除いてメンテナンスの負担が小さい。

やけどの可能性が他のヒーターより低い

オイルヒーターは比較的低い温度で、輻射熱によって暖める電気ヒーターであるため、ガスや灯油を燃焼させるストーブ、電気ヒーターやハロゲンヒーターなど高温電熱線を用いる暖房と比べて安全性が高いのが利点である。

直接触ってすぐにやけどを起こすような温度ではないが、部分的には60℃以上になることも考えられるので、寒いからと言って触り続けることは避けるべきである。長時間接触していると、低い温度といっても低温やけどの原因になり、絶対に安全ということはないため注意が必要である。

乳幼児がいる家庭では、オイルヒーターに触り続けたり、寄りかかって転倒されるという危険をさけるため、外付け可能な「オイルヒーターガード」といった製品を設けることも考えると良い。

欠点・デメリット

静寂性やクリーン性に利点があるオイルヒーターであるが、ガスファンヒーターや灯油ヒーター、エアコンと比較してなかなか暖かくならないという欠点がある。

表面温度が低いため安全性は高いが、暖房効率はエアコンなどと比べて低い。設置場所や使用方法を誤ると消費電力が非常に大きくなり、高い電気代を支払っているのにもかかわらず、暖房効果が得られないという事態につながる。

すぐに暖かくならない

オイルヒーターは、比較的低い表面温度で運転する暖房器具であり、輻射熱を利用した暖房方式である。輻射熱を用いた暖房器具は、本体から放出されるじんわりとした暖かさを得ることが可能であるが、すぐに部屋を暖めたいという場合には適していない。通常、電源スイッチをオンにしてから、20~30分経過しないと本体が暖かくならない。

本体が暖かくならなければ暖房効果は一切ないため、部屋を暖めるためには30分以上を必要とする。速暖性という点ではマイナスポイントである。ハロゲンヒーターやカーボンヒーターといった電熱線による電気暖房は、電源をオンにした瞬間に暖房効果を発揮するが、オイルヒーターはオイルが加熱されるまでは時間を要する。

冷気の流入や換気によって暖房効果が失われる

オイルヒーターは表面温度が他の電気ヒーターと比べて低く、直接さわっても火傷をしないという本体温度のため、扉や窓の開閉や換気に冷たい外気や、暖房されていない部屋の寒気が流入すると、オイルヒーターに頼って暖房している部屋の空気はすぐに冷やされる。

オイルヒーターを設置している部屋は、できるだけ換気を最小限にし、人の出入りも少なく抑え、冷気を侵入させないことが重要である。気密性の高い部屋で使用するのが原則であり、すきま風などが吹き込む環境では暖房効果が非常に悪くなる。

断熱された鉄筋コンクリート造のマンションでは、気密性が非常に高く、必要以上の換気がされないためオイルヒーターの性能を十分発揮できる。通気性の良い木造の戸建住宅は、すきま風によってオイルヒーターの暖気がすぐに失われてしまい、十分な暖房効果が発揮されない。

業務施設では、全熱交換器と呼ばれる「外気を室温で温めてから室内に取り込む」という設備が普及しているが、住宅用の全熱交換器は高価な設備であり、ダクト工事などを伴うため後付けするのは困難である。

電気代が高くなる

オイルヒーターは600~1,200Wの大電力を長時間に渡って使用する暖房器具である。直接的な暖かさを感じる暖房器具ではなく、部屋全体を輻射で暖めるには長い時間を必要とするので、電源をオンにしている時間が長く消費電力は非常に大きくなる。

一般的に使用されているエアコンは、ヒートポンプの原理により、消費電力に対して4~5倍の高い暖房効果を得られる。オイルヒーターの電気暖房は、消費電力 = 暖房能力となるため、室全体を温めるためには大きな電力が必要である。エアコンの暖房効果と消費電力の関係性は、エアコンの効果的な使い方を参照。

サーモスタットなど、所定の温度まで本体内部の油が加熱されたことを検出して自動的にオンオフを行う省エネ機能などがある機種であれば、より小さな消費電力となるが、ここでは単純計算にて解説する。

1,200Wのオイルヒーターを1時間連続運転すると、約30円の電気代が掛かる。スイッチをオン状態とし、オイルヒーターを1時間連続運転した状態で、オイルヒーター本体は十分に加熱されていても、部屋全体が暖かくなっていないことも十分有り得る。エアコンであれば1時間も運転すれば、暖房が完了して送風運転となっている時間である。

部屋の広さにもよるが、輻射効果によって部屋全体が暖まり、過ごしやすい環境とするにはさらに1~2時間程度が必要である。消費電力はさらに大きくなり、電気代は70~100円まで高くなることが予想される。

基本的に、電気ヒーターはヒートポンプなどの機構を持っていないため、消費電力と暖房能力は同一である。ヒートポンプを搭載しているエアコンであれば、500Wの消費電力で2,000W~2,500Wといった高い暖房能力を得られるが、オイルヒーターなどの電気熱源では、500Wの消費電力で得られる暖房能力は500Wである。部屋全体を温めるといった使い方をすると、消費電力が著しく大きくなる。

パチパチ音が発生する

オイルヒーターに電源を入れ、オイルが温まるまでの間は「パチパチ」という弾けたような音が聞こえる。これはオイルヒーターの内部において、温度差による結露を原因とした気泡が加熱したオイルに接触して弾ける音であり、しばらくすると消える。

気泡音は故障や不具合ではなく、やむを得ないオイルヒーターの特性でもあるので、しばらく様子を見ることで通常問題ない。長時間に渡って気泡が弾ける音が消えなかったり、本体が異常に加熱されて熱くなっているようであれば故障の可能性があるため、オイルヒーターの使用を中止してメーカーサポートに連絡すべきである。

本体が大きく重い

オイルヒーターは、内蔵されているオイルのほか、鉄板など、重量のある素材で構成されており、小型機種でも10kgを超える「大きく重い」暖房器具である。足元はキャスターなど運搬しやすく配慮されているが、不安定な場所に設置するのは厳禁であり、毛足の長い絨毯の上などに設置すると不安定になり危険を伴う。使用したい場所へ運ぶ場合、キャスターで運搬できる範囲での移動では良いが、床の段差がある場合や、上下階への移動が必要となると、一人での作業は危険を伴う。

つかまり立ちの乳児などがいる部屋で、かつ足元が安定しない場所で使用すると、オイルヒーターをつかんで立とうとして、転倒によって怪我をする事故につながることもあるため、ガードを設けるなどの配慮が必要である。

地震などで転倒した場合も同様で、安全装置により自動的に電源が切れるよう配慮されてはいるが、重量があるため、足などを挟むと怪我をするおそれがある。安定した場所で使用することが重要である。

破棄・回収には専門業者への依頼が必要

オイルヒーターを破棄・処分する場合、各自治体に依頼して粗大ごみとして処分するか、購入メーカーに回収を依頼するのが一般的であるが、オイルを含んでいるため粗大ごみとして破棄できない自治体もある。

オイルヒーターの回収を行わない自治体では、購入したメーカーにオイルヒーター本体を引き取ってもらう必要がある。自治体で回収できず、購入メーカーも回収ができない、または中古品で購入したため購入メーカーの回収が不能といった場合、不要品の回収業者に依頼するという廃棄方法も考えられる。

メーカでは、オイルヒーター本体の部品を分解し、オイルや鉄板部分、基盤、樹脂をそれぞれリサイクルし再生材として活用しており、破棄されたオイルヒーターの材料を、新たな部材として活用している。内部に充填されているオイルは、路盤材やコンクリート剥離剤へ転用したり、本体を構成しているフィンやエレメントは、溶解して鉄として再生されている。

効果的な使用方法

オイルヒーターの持つ利点である「高い静寂性」や「空気を汚さない」という性質、さらに「換気によって大きく暖房効果を失う」ということから判断して、オイルヒーターの用途は「寝室用の暖房器具」として使用するのが合理的である。

寝室での使用であれば、就寝中に冷気が大きく入ってくるような換気をすることも考えられず、リビングのように頻繁な人の出入りや窓の開放もない。寝室の室面積が6~10帖程度であれば、オイルヒーターの性能を必要以上に大きくすることもない。狭い部屋であれば、オイルヒーターの運転によって室温が保たれ、サーモスタットやタイマーで自動オフとすることで、電気代の増加もある程度抑えられる。

オイルヒーターを使用する場合、設置場所や使用時間によって効率が大きく変化する。効果的に節電となり、快適な室空間を維持するためのオイルヒーター利用方法を紹介する。

寝室での活用

寝室の暖房方式にはエアコンが多く使われている。エアコンの暖房を就寝時にオンにしていると、空気の乾燥で喉を痛めることがあり「エアコンを付けたまま寝るのは身体に悪い」と考えられている。

暖房や冷房の送風を身体に当て続けると、人体の体温調整機能がうまく働かず、体調不良になるともいわれている。オイルヒーターであれば、ファンなどの駆動部がないため気流が発生することがなく、大きな寒暖を感じることなく、肌の乾燥なども最小限に抑えられる。

ハロゲンヒーターやカーボンヒーターといった電気暖房は、寝返りを打った際にタオルケットや毛布が接触し、着火するという事故が後を絶たないため、就寝時に使用することが禁止されている。オイルヒーターは着火するような高温部分は存在せず、就寝中でも安心して使用できるという利点がある。

オイルヒーターが比較的低い温度とはいっても、60℃以上まで本体表面が加熱されている部分もあるので、布団の寝具が長時間接触していたり、肌が触れていると火傷につながるおそれがある。十分な距離を確保して使用するのが安心である。

すきま風を温めてエアカーテン化する

オイルヒーターは、外気が激しく入れ替わるような場所には向いておらず、外気によって室温が低くなると、オイルヒーターで再度部屋を暖めなければならず、消費電力が余分に掛かり、電気代に跳ね返ることになる。

オイルヒーターを使用している部屋で積極的に換気をすると、暖気が外に逃げてしまい、再び室温が上がるまで長い時間を要する。消費電力もそれだけ大きくなり、電気代がさらに高くなってしまう。

オイルヒーターは、すきま風として冷気が侵入する窓の下に設置すると効果的である。冷気が常に侵入するような場所に設置すれば、オイルヒーター本体の暖気がエアカーテンの役割となり、室内への冷気侵入を防げる。

すきま風といった微小な冷気の流入には効果的であるが、出入口ドアの近くにオイルヒーターを設置すると、開閉のたびに本体周辺の暖気が外部に逃げてしまい、暖房効果が薄れてしまう。出入口の近くに設置するのは避けると良い。

窓の付近に設置する場合、カーテンがヒーター本体に重なることがないように、30cm以上の離隔を確保するよう配置すると良い。カーテンに長時間覆われる状態が続くと、オイルヒーター本体の放熱が阻害され、発火するおそれがある。

消費電力と電気代の低減方法

オイルヒーターは速暖性に乏しく、長期に渡って大きな消費電力を必要とする暖房器具である。オイルヒーターを使用する際に問題視されるのが、消費電力の大きさによる電気代の増加である。

オイルヒーターの消費電力は、一般的に1,000W以上であり、エアコンのように「室温が設定温度まで上昇したので送風運転にする」といった省エネルギー機能がほとんどなく、搭載している機種であっても、オイルヒーターの電源を弱めると暖房効果が低くなる。本体内部のオイルを電気エネルギーで温め、温度が下がってきたら再度温めるという手順を繰り返すのが基本であるため、常に大きな電気エネルギーを消費している。

オイルヒーターの長時間の利用は、月々の電気料金に大きく影響する。オイルヒーターの導入によって「電気代が高くなった」という意見は大変多く、使い方の難しい暖房器具のひとつである。

消費電力1,000Wのオイルヒーターは、家庭の電気料金の単価を27円/kWhで計算した場合、1時間あたり27円の電気代となる。毎日10時間オイルヒーターを運転すると想定すれば、1日あたり270円の電気代が発生する。消費電力1,000Wのオイルヒーターを30日間、毎日10時間運転すると仮定し、電気料金を計算する。

30日間、毎日10時間オイルヒーターを運転すると、8,000円もの電気代の増加となる試算となった。この数値は省エネ機構をまったく考慮していないため、より小さな数値が実際の電気代となる。しかしオイルヒーターの導入に関する口コミなどでは、オイルヒーターを購入したら電気代が4,000~5,000円ほど高くなったという意見も多く、使った分だけ電気代が高くなることは避けられない。

省エネルギー機構の採用

サーモスタットなど、温度を検出する装置が搭載されている高機能オイルヒーターであれば「室温が上昇したら能力を下げる」といった機能が備わっており、自動で消費電力をある程度低減できる可能性があるが、オンオフタイマーのみのオイルヒーターでは、高い電気代に悩まされる。

オイルヒーターはその特性上、オイルへの加熱に必要な消費電力がそのまま電気代になる。オイルヒーターは室温を大きく変化させられる暖房器具ではないので、室温が安定している状態でも継続して加熱する必要があり、大きな消費電力が継続的に発生する。

タイマーによって不要な時間帯の電源をオフにし、温度上昇が十分であることをサーモスタットで検知し、能力を調整するという利用方法であれば節電効果が高いが、通電を切ると暖房効果が弱くなり、寒さを感じることにつながるため頻繁なオンオフは難しい。

サーモスタットによる自動温度制御が可能な製品であれば「電源を入れてから30分~1時間は、積極的に部屋を暖めるため大きな消費電力で運転」し「室温が高くなった時点で、50~60%まで出力を落とす」といった動作を自動で行うため、利用者の負担はそれほど大きくない。大きな消費電力でオイルヒーターに通電し続けるよりも省エネルギーである。

各種センサー類を搭載しているオイルヒーターは本体価格が高価である。省エネ効果による電気代の低減が、センサーの搭載による本体価格の上昇と見合っているか、十分な検討が必要である。

電源供給するコンセントの制限

オイルヒーターは大電流が流れる電気機器なので、コンセントの接続方法を間違えると、ブレーカーが落ちたり、発煙・発火といった事故につながる。オイルヒーターを接続するコンセントは壁面のコンセントから直接とし、テーブルタップを用いてはならない。テーブルタップ単体では15Aの電流に耐えられる製品がほとんどだが、オイルヒーター1台で12Aもの電流を使ってしまうため、他の電気機器を接続するのは危険となる。多数のコンセント差込口を残した状態では危険が残るため、壁コンセントを用いるべきである

単独回路のコンセントを使い、たこ足配線をしない

オイルヒーターは消費電力が大きく、最大出力では1,000W以上の消費電力を必要とする。分電盤のコンセント回路を、オイルヒーターだけで専有してしまうほど、大きな電流が流れる。

オイルヒーターに限らず、電気暖房器具は大きな消費電力を必要とする電気機器である。そのため、オイルヒーターを接続するコンセントは、他に電気機器を接続せず、単独で使用しなければならないと、本体の取扱説明書に記載されている。

オイルヒーターを接続するコンセントは単独とし、他の電気機器を接続してはならない。オイルヒーターをテーブルタップに接続して利用している場合、すぐにコンセントプラグを抜き、オイルヒーター単独で使用するよう見直すべきである。オイルヒーターが接続されているコンセントに、それ以外の電気機器が接続されていると、ブレーカーが落ちたり、タップが異常発熱によって発火する危険性が高くなる。

1,200~1,500Wの消費電力を必要とする大容量なオイルヒーターは、ほかの電気機器が接続されていないコンセントを使用するのが原則である。他の複数の電気機器を接続することを前提としたテーブルタップを使用して、オイルヒーターに電源供給するのは厳禁である。

テーブルタップの本体にも記載されているが、タップのコンセントに接続できる電気機器の合計電流は15Aまでである。1,200Wや1,500Wのオイルヒーターは、電圧100Vの場合12~15Aの電流が流れるので、テーブルタップの上限となる電流値まで使い切ってしまう。複数接続できるテーブルタップにオイルヒーターを接続した場合、空いた差込口には何も接続してはならない。

 
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