エアコンの効果的な使い方

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エアコンとは

エアコンは、室内の空気温度の調整を行ったり、湿度の調整を行うための設備である。空調設備のひとつであり、室外機と室内機で熱交換をすることで、冷房時は室外機から熱気を排出し、暖房時は室外機から冷気を排出する。

室外の空気を室内に導入しているわけではなく、冷媒を液体、気体に変化させることで熱を移動させる「ヒートポンプ」の原理で動作する。住宅であれば、冷房暖房兼用型の空冷ヒートポンプパッケージがほとんどを占め、これが通称「エアコン」と呼ばれている。

エアコンに求められる機能は「温度を調整すること」「湿度を調整すること」「気流を発生させること」の3つである。室内にいる人の好みに合わせて、空気環境をエアコンによって変化させ、過ごしやすい環境を作り出すのがエアコンの役割である。住宅や業務施設といった建築物だけでなく、電車や自動車にも、エアコンが設けられている。

エアコンで使われるエネルギー源

エアコンは、非常に大きな消費電力を必要とする電気機器であり、消費電力は電気代に直結する。

住宅の場合、建物で使われるエネルギーの比率は、エアコンによる空調エネルギーが30%前後を占めている。エアコンによって発生するエネルギーを節約することで、大きな省エネを図れる。住宅におけるエアコンは、電気エネルギーで圧縮機(コンプレッサー)を動作させる「EHP方式」である。

業務用エアコンあれば、ガスの燃焼によって発生するエネルギーで動作する「GHP」や、灯油の燃焼によるエネルギーで動作する「KHP」が普及しているが、家庭用エアコンでは電気熱源以外は使われない。

大きなエネルギーを必要とする動力電源のエアコンも使われることはなく、コンセントに接続して稼働する100Vまたは200Vのルームエアコンが一般的である。

ここでは、家庭用エアコンの性能や機能、特徴に絞った解説を行う。EHPやGHPを含む、業務用パッケージエアコンの記載は少なく、電気設計に必要な基礎知識程度に留めている。

エアコンの消費電力と冷房能力の違い

エアコンの能力表示として、「冷房能力」「暖房能力」や「消費電力」があるが、これらはどれも「kW」という単位を使用しており、空調性能と消費電力のどちらを示しているのか、まぎらわしい表示となっている。

電気設備設計の分野でも、「エアコンは何ワットか」と発言すると、冷房能力か、暖房能力か、消費電力かを判別できない。ワットという表現は熱と電気の両分野で用いられるため、十分な確認が必要である。

冷房能力や暖房能力として記載されている「kW」という数値は、エアコンが必要とする消費電力ではなく、冷房や暖房を行なう際の性能表記であり、ここでは空調の能力と消費電力の関係について解説する。

成績係数(COP)による消費電力と空調能力の違い

エアコンが必要とする消費電力に対して、発揮する空調機の冷房能力、暖房能力は大きい。空調機の性能は、消費電力1kWに対して、冷暖房の能力は5kWというように、4~5倍の大きな数値を示している。

必要とする消費電力に対し、冷房能力や暖房能力がどれだけの倍率で得られるかについては、「COP」と呼ばれる基準で示される。

エアコンの仕様書には、Coefficient of Parfofmance(COP)という数値が記載されている。COPは、入力した電力の何倍の出力を得られるかを数値で示しており、数値が大きいほど高効率なエアコンと判断可能である。

消費電力1kWに対して、冷暖房能力5kWであれば「COP5.0」と表現する。一般的なルームエアコンであれば、COPは5.0を超える高い数値を示す。100Wのエネルギーで500Wの空調効果を得られるため、エアコンは総じてエネルギー効率が高い。

業務用のマルチエアコンでは、COP3.0~3.5程度、エアハンドリングユニットのセントラル空調システムでは、COP2.0~2.5といった低い数値になるのが一般的である。

電気ヒーターを使用し、1kWの熱量を発生させた場合、COPは1.0である。エアコンは、電気暖房の4~5倍もの効率を持っており、省エネルギーに貢献している。

エアコンの定格電力とインバーターによる変動

6畳用の冷房能力2.2kWのエアコンであれば、定格運転状態の消費電力は440W程度を示す。これは「定格電力」と呼ばれ、JISで定められた基準状態での消費電力と能力が示されている。

定格電力は、コンプレッサーが運転している状態で発生する電力であるが、最大能力で運転している状態ではない。外気温が高く、室内温度も高い状態で冷房をすれば、インバーターによって能力を高めて運転するため、定格電力よりも大きな消費電力が発生する。

十分に空調が行われ、設定温度まで調整された後であれば、インバーターによって能力を低下させ、送風運転や弱運転に切り替わるため定格電力よりも消費電力は小さくなる。

エアコンの消費電力は外気温、室内温度、室外機の温度、フィルターの汚れ、冷媒配管の距離など多くの要素で変動するため、空調の消費電力算出は極めて困難である。

部屋の大きさに応じたエアコン能力の目安は、下記の通りである。

  • 6畳 → 冷房能力2.2kW(消費電力 約440W)
  • 8畳 → 冷房能力2.5kW(消費電力 約500W)
  • 10畳 → 冷房能力2.8kW(消費電力 約560W)
  • 12畳 → 冷房能力3.6kW(消費電力 約720W)
  • 14畳 → 冷房能力4.0kW(消費電力 約800W)
  • 16畳 → 冷房能力5.2kW(消費電力 約1,040W)

震災以降、需要家の節電によって電力供給を安定化する施策が各地で行われている。電力会社が必要とする節電目的は、瞬間的に最大となる消費電力を低減させ、発電設備や変電設備、送配電線に過剰な負荷が掛からない。

夏場の暑い時間帯には、多くの需要家で空調機が運転される。エアコン消費電力のピークは、室内温度が高い状態や、外気温が高い状態で発生しやすい。冷房による最大の消費電力は、外気温が上昇する夏場の12時~15時頃に発生しやすい。

日本国内では、北海道や東北の一部を除き、電力ピークは「冷房を使用する夏場」に発生する。この瞬間的に流れる大電力が処理できるように、電力会社は発電や送配電設備を計画しているため、中間期や冬季は設備利用率が小さくなる。この時期に、一部の機器を停止してメンテナンスなどが行われている。

エアコン電気料金算出の困難性

外気温が低下した状態での冷房や、室温が設定温度まで調整された状態であれば、エアコンは送風運転に近い運転となり消費電力は低く抑えられる。

エアコンの電源を投入した瞬間など、室温の差が非常に大きい場合、コンプレッサーの稼働率は100%となり、大きな電流が流れる。室温の調整が完了すれば、コンプレッサーの運転が停止し、ファンの回転速度も遅くなるため、消費電力は小さくなる。

照明や電熱機器と違い、エアコンの消費電力は外気温や室内温度といった空気環境に大きく左右され、運転状態が常に変化するという特徴がある。「運転時間 × カタログ消費電力」といった単純な計算式が成立しないため、エアコンの消費電力や電気代を算出するのは非常に難しい。

エアコンの消費電力と電気代の関係

エアコンは「圧縮機(コンプレッサー)の動作」「ファンの回転駆動」に電力が使われる。室内機、室外機の両方に搭載されているファンは、エアコンが運転している間、どちらも回転駆動し続けるため、これを停止させることはできない。

エアコンの使用に対して省エネルギーを図るためには「コンプレッサーをどれだけ停止できるか」というのが基本となる。

エアコンを自動運転モードとすれば、室内の温度や湿度をセンサーが検出し、コンプレッサーの運転時間が自動的に調整されるため、省エネルギーとなる。

エアコンは、照明器具のような単純な熱負荷と違い、外気温・室温・温度設定・カーテンやブラインドの有無・在室人数・照明の数など、エアコンを設置している部屋の使い方、外気温度によって運転状態が激しく変化するため、消費電力を算出するのが非常に難しい。

定格電力500Wのエアコンで、最小100W、最大800Wの機種を想定し、下記にそれぞれの消費電力における電気代を示す。通常の電力契約は「従量料金」の方式であるため、フラット単価を27円として算出する。電気料金はkWを基準としているので、1000で除して単位を整合させている。

  • 最小電力100W → 100 / 1000 × 27円 = 2.7円
  • 定格電力500W → 500 / 1000 × 27円 = 13.5円
  • 最大電力800W → 800 / 1000 × 27円 = 21.6円

最小運転であれば1時間あたり2.7円、最大運転であれば21.6円と、8倍もの差がある。24時間連続運転状態を考えると、最小64.8円、最大518.4円である。

熱の出入りがないように断熱された部屋で、室内に発熱体(人、動物、電気機器等)がまったくない状態であれば、ほとんどの時間が最小電力となり、1日あたり100円以下の電気代でエアコンが使用できる可能性がある。

対して、多くの人が使用している部屋、電気機器が多数稼働しているサーバールームのような部屋では、最大電力か長時間に渡って発生する可能性があり、1日あたりの電気代が500円に近くなる可能性がある。直射日光が入り続ける部屋などは、極めて条件が悪い。

室温が設定温度と同じになった瞬間から、コンプレッサーは運転停止し送風運転のみが行われる。部屋が狭かったり、温度設定が室温と大差なければ、すぐに設定温度まで温度が調整され、以降は送風運転になり消費電力は格段に小さくなる。

断熱が十分に行われている住宅等であれば、外部からの熱の移動が少ないため、空調された空気は外部へ伝わりにくく、長期間に渡って空調温度が維持できるため、省エネルギーとなる。

電圧や能力によって電気代は変わらない

100Vのコンセントに接続するエアコンと、200Vのエアコンは、どちらを選択しても電気代が変化することはない。大型の機種ほど大きな電力を使うと思われがちだが、エアコンの電力は「空調するためにどれだけコンプレッサーとファンが動いたか」に左右されるため、大型のエアコンで短時間に一気に空調し、長時間に渡って停止状態にすれば、電気代は少なく抑えられる。

能力が不足したエアコンを選定し、適した室温に調整できずにいつまでも最大運転をしていれば、小型のエアコンでも電気代は高くなる。

エアコンの電気代は、暖房や冷房を行なう部屋の断熱性能や、空調を行なう部屋にある熱に左右される。消費電力が同じであれば、電圧や能力がどれだけ違っていても、電気料金は変わらない。

24時間連続運転は省エネルギーか

24時間エアコンを連続運転し続けたとしても、外部から熱の出入りが少なく、室温が設定温度と同じで維持できるのであれば、コンプレッサーの運転は行われず、電気代が高くなることはない。

風通しが良く、外部温度影響を受けやすい建物で24時間連続運転をすると、コンプレッサーが停止する時間がほとんどなく、大きな電力を長時間必要とするため、電気代が大きく上昇するのが予測できる。

「24時間連続運転すると省エネルギーになる」と単純に考えることはできない。断熱が十分に行われている建物で、かつ出入りや換気がなく、直射日光が入らない部屋であれば、24時間連続運転であっても電気代が高くなることはない。

頻繁に出入りする部屋、直射日光が入り、カーテンやブラインドで遮光していない部屋など、熱条件が悪い空間を24時間空調すると、驚くほど電気代が高くなるため注意が必要である。

エアコンの省エネルギー運転

省エネルギーにつながるエアコンの運転方法や、節電の手法を紹介する。エアコンの消費電力を低減させるためには、コンプレッサーの運転時間が最小になるように制御することが重要であるが、コンプレッサーを頻繁に運転させない方策として、一工夫するだけで大きな省エネルギーにつなげられる。

温度設定を返るだけで数%の省エネになるというのは有名であるが、温度設定以外にも多くの省エネルギー手法があるため、その手法と効果を紹介する。

エアコンの温度設定を変更する

エアコンの温度設定は、消費電力に大きな影響を及ぼす。冬場の暖房は22℃~23℃、夏場の冷房は26℃~27℃に設定することでコンプレッサーの運転時間を短くし、エアコンの消費電力を大きく抑えられる。

エアコンの温度設定による消費電力の変動は、室内・室外の空気温度環境によるが、温度設定を1℃調節することで5~10%程度変動する。行政機関や電力会社では、夏は冷房を28℃設定、冬は暖房を20℃設定にして業務を行うという節電努力を行い、省エネルギー対策を励行している。

節電につながる運転方法(冷暖房共通)

エアコンの消費電力を少しでも小さく抑える方法として、6種類の手法を紹介する。エアコンを最新機種に買い換えるのは最後の手段として、日常的に行える簡易な手法を中心に記載した。

エアコンの風量を自動運転にする

ファン風量を自動設定にすることで、エアコン室内機に内蔵されているセンサー室温検知が有効活用され、室温が設定値に近づけば微風運転に切り替え、コンプレッサーを止めるといったきめ細かな制御が可能である。

外部から取り入れる空気が室温と同一であれば、コンプレッサーの停止時間が長くなり、消費電力が低減されて大幅な省エネとなる。

エアコンの自動運転機能は高性能である。手動風量調整では、設定により段階的にファンを強制運転するため、室温や外気温が快適温度になっても運転を弱めない。

手動で大風量設定にしていた場合、室温が適温まで調整されたとしても、常に大風量でファンを回し続ける。快適温度になってもコンプレッサーが運転してしまい、エネルギーを無駄にしてしまうこともある。できる限り、風量を自動設定とするのが推奨される。

フィルターの清掃をこまめに行う

エアコンは、室内空気を室内機で給気し、熱交換の原理で放出温度を調整している。室内機の給気部分に設置されているフィルタを清掃せず、ほこりが蓄積している状態で運転させていると、目詰まりによって風量が減少する。ファンの圧力損失を引き起こすので、結果として冷暖房効率が低下する。

圧力損失によってファンの運転に負担が発生すると、エアコンは回転数や効率を維持しようと高出力運転が行われる。エアコンに多くの電流が流れ、消費電力が大きくなり、電気の無駄につながる。

フィルタの汚れでエアコン能力が15%~20%も減少するとされ、定期的な清掃が欠かせない。エアコンの能力を低下させるだけでなく、ファンやフィルタに付いたほこりを部屋中にまき散らしてしまい、ハウスダストによるアレルギーの原因にもなる。最低でも2週間に1回程度は、掃除機等によってフィルターのほこりを取るのが良い。

室外機の前面を開放する

エアコンの冷暖房運転は、エアコン室外機によって外気を取り入れ、内蔵されている冷媒配管を通じて熱を交換する。冷房運転では、室外機前面から熱い排気を放出し、室内機からは冷たい風を室内に吹き出す。

室外機の前面にフェンスや壁があり、排気が跳ね返って室外機に戻るような構造では、自ら排出した熱い排気を再度吸い込んでしまい、エアコンの熱交換能力が非常に悪くなる。

給気と排気が近接し、お互いが影響してしまう状態を「ショートサーキット」と呼ぶ。ショートサーキットはエアコンの能力を大きく落とす原因になるため避けなければならない。

ショートサーキットを防止するためには、室外機の前面を十分に開放するのが原則であるが、狭い室外機スペースでは格子状フェンスの前に設置したり、風向調整を行うといった対策が必要である。

2台以上のエアコン室外機をバルコニーに設置している場合も、お互いの室外機同士が放出する排気を吸い込む原因となるため、注意が必要である。

換気扇やレンジフードを過剰に運転しない

換気扇やレンジフードは、部屋の空気を新鮮空気に置き換える重要な設備であるが、外気を強く室内に誘引するため、空調している室温が外気に近くなる。

24時間換気、トイレの換気、レンジフードなど、生活に必要な最低限の換気設備を使用し、過剰に換気を行わないことが省エネルギーにつながる。

扇風機やシーリングファンで室内空気をミキシングする

エアコンから放出される暖気は上部に、冷気は下部にたまりやすい性質がある。エアコンの自動風向調整を用いて空気をミキシングさせると、空調効率が向上する。扇風機やシーリングファンを併用して運転すれば、冷気と暖気が混合され、より快適な温度空間を実現できる。

暖房運転の場合は風向板を下向きに、冷房の場合は風向板を水平に向けることで、暖気と冷気の混合が効率良く行われる。

シーリングファンはスイッチによって回転方向を変更できる。冷房時・暖房時に合わせて設定を変えると良い。夏季は、下方向に風を送ることで直接冷気を身体に当て、清涼感を高められる。

冬季は上方向に風を送ることで、冷気を上部に、暖気を下部に誘引して部屋全体の温度分布を均一にする。シーリングファンは5~15W程度の消費電力であり、長時間運転しても電気代の大きな増加にはつながらない。

シーリングファンの回転方向を変える場合、ファン運転中に強制的にスイッチを切り替えると、モーター故障につながる。回転方向を変える場合は停止状態で切り替えるようにすべきである。

旧式のエアコンを買い替える

エアコンは技術開発により省エネルギー化が進んでおり、エネルギーの消費効率は年々高くなっている。

経済産業省 資源エネルギー庁の報告によると、2.8kWクラスのルームエアコンでは、2004年型(13年前)の製品の期間消費電力量は945[kWh]であるが、2014年型(3年前)は837[kWh]となり、約10%の省エネルギーが図られている。

数十年前の古いエアコンを使用しているのであれば、最新機種に更新することで極めて高い省エネルギー効果を得られる。15年前のエアコンでは1,000[kWh]を超える期間消費電力量であるが、最新型の高級機種であれば700[kWh]を下回るため、古いエアコンからの買い替えにより300[kWh]ものエネルギーが削減できる。

日本国内の一般的な家庭において、月に消費する電力量は300[kWh]程度とされている。旧型のエアコンの更新により、1ヶ月分の消費電力が削減できる可能性があり、安価なエアコンであれば10年以内で電気代の削減による減価償却が可能とも考えられる。

冷房、暖房の違いや、小型、大型の違いなく、新型のエアコンは省エネルギーが図られており、エネルギー消費効率を示す「APF」は5.0~6.0という高い数値となっている。COPは瞬間的に発生する電力、APFは年間を通じた消費電力量の効率と考えれば良い。

節電につながる運転方法(夏期:冷房時)

カーテンやブラインドを使用する

直射日光など外部からの熱負荷は、カーテンやブラインドで遮ることで低減可能である。最も効率が良いのは、室内に日射を導入しないことであり、外部に日除けやブラインドを設置する方法である。

学校の公共建築物では、窓の外に横向きルーバーなどを設けて日射量を制限するなど工夫されている。住宅も同様、ベランダやバルコニーに日除けスクリーンを設ければ熱負荷の低減が可能である。室内のカーテンやブラインドよりも遮蔽効率が高いのが特徴である。

室内に熱の侵入がなければ、設定温度に室温を維持できるため、コンプレッサーの運転を少なくでき省エネルギーである。

マンションでは防災上の問題から、建物管理者に対して日除けスクリーンを設けても良いか確認をしなければならない。避難通路を兼ねているバルコニーやベランダでは、日よけによって避難障害になるおそれがあり危険である。

強風にあおられて日除けが吹き飛び、車や人に接触するという懸念もあり、損害賠償の問題に発展することもある。設置方法や設置場所には十分注意を要する。

エアコン室外機への直射日光を遮蔽する

エアコン室外機は熱交換を行っているため、冷房時は室外機から熱を放出する。室外機が熱くなっていると熱交換の効率が悪くなり、消費電力が大きくなり、室内の冷房能力が低下する。

室外機への直射日光を遮蔽することで、熱交換効率が向上する。遮蔽によって室外機の排気を遮ることは、排気方向が変わりショートサーキット状態とならないよう、遮蔽の設置場所に注意が必要である。

室外機本体を冷却する

室外機に水を掛けて冷却すると熱交換効率が向上する。外気温度が30℃を超えるような猛暑の場合、空調機周辺の温度は40℃近い高温となり、熱交換の効率が悪化する。室外機に放水して冷却することで熱交換効率が10~15%ほど向上し、消費電力を5%程度低減できる。

室外機本体に水をかけることで、フィンに水垢が付着したり室外機本体のサビを誘発するなど、エアコンの故障原因となることが考えられ、注意が必要である。

エアコンによる除湿運転の仕組み

エアコンは室内温度の調整とともに、湿度を大きく変化させる性質がある。エアコンを冷房運転すると室内が除湿される。

室内機の内部には、熱交換を行うためのフィンが取り付けられている。エアコンを冷房運転すると、室内機に吸い込んだ湿気を含む空気が、冷やされたフィンの部分に結露として水滴に変化する。結露水はドレン配管を通して外部に排出され、室内の空気中に含まれる水分が室外に排出され、湿度が低下する。

長期間冷房運転し、十分に室内温度が低くなれば、空気中に含むことが出来る水分量が少なくなり、空気は乾燥していく。

エアコンには「除湿運転」というモードがある。冷房運転によって空気中の水分が排出され除湿されるが、多くのエアコンには「除湿」または「ドライ」という名称の機能が備わっており、冷房運転と区別されている。除湿モードと冷房運転の違いについて解説する。

除湿(ドライ)運転と冷房運転の違い

「除湿(ドライ)運転」と「冷房運転」は、どちらも冷気を放出して湿度を下げるエアコンの機能であるが、その機能には明確な違いがある。

冷房運転は、部屋の温度を下げるということが目的である。冷房の結果、湿度が低下するため除湿と同じ効果を得られるが、そもそもの目的は「温度を下げる」ということであり、除湿のために利用する機能ではない。

室温が下がると、空気中に含める水分量が少なくなるため、室温を大きく低下させれば、湿度も同様に大きく低下する。

除湿運転は「室温をできるだけ変化させず、湿度だけを低下させる」のが目的である。湿度のみを調整することで、温度を低下させることなく快適な環境を作り出せる。

除湿を行うためのエアコンの機能として「除湿冷房方式」と「再熱除湿方式」があるので、ここで解説する。

除湿冷房方式

除湿冷房方式は、冷房運転による除湿機能をそのまま利用した除湿方式で、できるだけ室温が変わらないよう弱冷房運転で除湿する機能である。エアコンの吹出口からは若干の冷気が放出されるため、風速の小さな冷房運転として捉えられる。

冷房運転よりも温度変化を小さく抑えつつ除湿する機能だが、室温の変化を伴うため、エアコンの付近では室温変化が発生する。

冷房運転では室温が大きく低下するので、風量を小さく抑えて弱冷房運転とすることで、室温変化を抑制しているが、エアコンから一定量の冷気を放出しつつ湿度を下げる手法のため、若干の温度変化は避けられない。

一般的な冷房運転よりも冷気の発生量が少ないため、消費電力は冷房運転よりも小さい。

再熱除湿方式

再熱除湿方式は、室温を低下させないよう「冷房」と「加熱」を組み合わせることで、室温をまったく変化させず、湿度のみを調整する機能である。除湿冷房方式では、吹出口からの冷たい空気によって室温が低下するが、再熱除湿方式は冷房運転によって発生した冷気を、室温に近い温度まで加熱してから放出することで、室温の低下を防止する。

湿度が高くても室温を下げたくない、就寝時の湿度調整を行うといったシーンで活用される。除湿冷房方式では室温が下がってしまい快適性を損なうため、温度変化を伴わない、再熱除湿方式による除湿が推奨される。

再熱除湿方式は「冷房と加熱を同時に行う」ことで、室温の変化を防止するシステムであり、エネルギー損失が非常に大きい。除湿冷房よりも消費電力が大きくなるため、電気代が高くなる傾向にある。

電気代と消費電力の関係を、除湿機能の観点で比較すると「除湿冷房(弱運転) < 冷房 < 再熱除湿」となる。室温が高い昼間などは、冷房によって室温と湿度を大きく下げ、就寝時や雨季など、室温を下げたくない場合は再熱除湿を利用するなど、環境に応じた使い方をするのが良い。

エアコンと換気の関係

エアコン室外機とエアコン室内機は、空気の入れ替えをしているわけではなく、冷媒ガスを通じた熱交換が行われている。室内外の空気の行き来はまったくない。

冷媒ガスを用いた熱の移動のみ行われているため、換気機能のないエアコンをどれだけ運転しても、室内と外部の空気の入れ替えは発生しない。窓を開けるか、換気ファンを運転して外気を取り入れなければならない。

外気の取り入れは、空調されていない外の空気を室内に取り込むことであり、冷房時は「熱い空気」、暖房時は「冷たい空気」を室内に取り込むことになるので、消費電力の増加につながる。最低限の換気に留めると省エネルギーにつながる。

空気清浄機としての機能は存在する

エアコン室内機にはエアフィルタが内蔵されており、室内の空気をエアフィルタに通すことで、空気中のほこりが除去される。

家庭用ルームエアコンでは空気清浄機のような高性能なフィルターは搭載していないが、プレフィルターと呼ばれる簡易フィルターであっても空気中のほこりは除去されており、これは空気清浄機と同じ仕組みである。

室内の空気を取り入れて室内に戻しているのであって、換気されてはいない。空気清浄機をいくら運転しても、二酸化炭素やホルムアルデヒドなどの有害物質は除去されないため、換気が不可欠である。

換気可能エアコンの仕組み

多機能ルームエアコンのひとつに、換気用ホースを冷媒管に沿わせて屋外まで通し、外気を取り入れる機能がある。細いホース程度のものであり、導入できる換気量は10[m3/h]~20[m3/h]程度と最小限の換気量でしかないが、エアコンの付加価値として「換気機能」を搭載した製品である。

近年のマンションは断熱性能が高く、高気密かつ高断熱として造られるため、機械を用いた強制換気が欠かせない。通常、法規制により換気ファンを用いた「24時間換気システム」の設置が義務付けられており、エアコンによる換気を付加せずとも、建物としての換気設備が運転していれば、新たに換気設備を設ける必要はない。

エアコンが外壁に面していなければ、換気機能を活かすのが困難である。マンションでは外壁に面していない部屋も多く、換気ホースを外部に突き出すのが困難な間取りも多々ある。

エアコンで本格的な換気を行うことは考えず、専用の換気設備で外気との入れ替えを考えるのが合理的である。

エアコンコンセントの仕様と形状

小型のルームエアコンであれば、通常使用している100Vコンセントでの送電が可能だが、大型機種になると100Vでは電源容量が不足するため、200Vコンセントが必要となる。

一般的に、コンセントで供給できる負荷容量は1,200~1,500W程度であり、100Vの系統であれば12~15Aの電流が流れる。配線器具やケーブルは15A付近の電流に十分耐えるが、長期に渡って大きな電流を流すと劣化が進行するため、これ以上の電流を必要とする場合は、コンセントを200Vとし、電流値を半分に抑える必要がある。

エアコン用のコンセントは、床面に近い部分に設置されている通常の並行コンセント(125V15A)だけでなく、125V20A、250V20Aといった特殊コンセントも多く使われている。

住宅用ルームエアコンは単相電源

住宅用のルームエアコンの室内機コンセントは、200Vであっても単相電源に限られている。住宅内では「対地電圧150V以下とする」というルールがあるため、動力電源を必要とする業務用の三相200Vルームエアコンを設置できない。

空調機メーカーも、住宅用のルームエアコンは全て単相仕様としている。

125V15A 平行コンセント

並行コンセント

壁付けの一般用コンセントと同じ製品である。使用電圧と電流は「125V 15A」仕様であり、冷蔵庫や洗濯機といった家電のコンセントと同一である。200Vの電源を不要とする小型ルームエアコンでは、一般的な平行コンセントを使用する。

感電防止として、接地線(アース)は必ず取り付けなければならない。住宅用のルームエアコンは、室内機に電源を送り、室外機には渡り線で電気が送られるようになっている。アースを接続せずに使用すると、室外機が故障や損傷で漏電した場合に、人が触れると感電事故につながる。

アースは漏電遮断器を正常動作させるために用いられ、アースが不良であれば漏電遮断器が動作せず、人体に大きなダメージを与えることになるため、100Vコンセントは必ず接地極または接地端子付きとする。

平行コンセントに電源を送る分電盤の遮断器は、100V用の20Aトリップ仕様とする。接続する電力ケーブルは、VVF2.0-2C以上のサイズとして計画すべきである。

アースは通常、分電盤に主端子がある。コンセントやケーブルを新規に敷設、取付する場合には、電源線だけでなくアースを一緒に分電盤から送ると良い。

125V20A アイティー(IT)コンセント

アイティー(IT)コンセント

100Vコンセントのひとつであるが、15Aではなく20Aの電流を供給できる中型エアコン用のコンセントである。「125V 15A」と「125V 20A」の兼用コンセントであり、小型から中型のルームエアコンで使用可能である。

分電盤の遮断器は100V用の20Aトリップとし、電源ケーブルはVVF2.0-2C以上とするのは100Vコンセントと同様である。アースを分電盤からコンセントまで敷設するのも同様で、漏電遮断器の正常動作のため、アース線を省略してはならない。

250V20A エルバー(LB)コンセント

エルバー(LB)コンセント

200Vコンセントのひとつで、200Vで20Aの電流を供給できるコンセントである。電圧を2倍にすると、電流値は半分になるため、発熱の点で有利になる。「250V 20A」の電流に耐える仕様となっており、中型から大型のルームエアコンで使用するコンセントである。

建物に電気を引き込んでいる分電盤が「単相3線式」でなければ、200Vのコンセントを使用できない。単相2線式であれば、100Vコンセントで供給できるエアコンを選定することになるため注意を要する。

分電盤の引込線が2本で導入されている場合、単相2線式である。分電盤から供給できる電圧はすべて100Vとなる。

分電盤の遮断器は200V仕様を選定し、20Aトリップとする。電源ケーブルはVVF2.0-2C以上とする。アースは分電盤からコンセントまで敷設すること。

エアコンの故障事例

エアコンの故障として「冷風(温風)が出ない」「異音がする」「異臭がする」「水が漏れる」「ルーバーが動かない」といった内容が挙げられる。

エアコンの故障は専門メーカーへの修理依頼が基本だが、清掃など日常メンテナンスを行うことで、故障頻度を大きく低減できる。ここでは、エアコンに頻繁に発生する故障について、その前兆や対策を解説する。

冷風(温風)が出ない

エアコンから冷風や温風が出ない場合、まったく出ないのか、効きが悪いのかによって対策が異なる。設定温度まで十分に空調された状態であれば、コンプレッサーは停止状態になるため、冷風や温風がでなくても支障はない。

運転開始してすぐや、室内温度と設定温度が大きく違う状態で、冷風も温風も出ないのであれば、冷媒配管からガスが抜けており、熱交換できない状態ということが多い。

ガスが抜けてしまった状態ではユーザー側での対応は不可能のため、専門の技術サービスを依頼しガスを再充填すると良い。コンプレッサーやファン本体が故障している状態では、多額の交換コストが発生する。

エアコンから異音がする

エアコンを運転している際、本体付近からポコポコという異音が発生する。冷房運転を行う場合に発生しやすい現象である。

エアコンは冷房運転をする際に、室内機の内部にあるフィンが低温になり、結露による水滴付着が発生する。この水滴はドレン水と呼ばれ、室内機内に一時的に溜め、ドレンホースを通して屋外に排出している。

このドレン水がドレンホースを通じて流れる際、強風などで外圧が高かったり、室内でレンジフードや換気扇などを運転させることにより、負圧となっていたりすると、排水不良を起こす。この時、ドレンホースからポコポコという異音が発生する。

異音がドレンホースから発生している場合、ドレンホース内にほこりやゴミが詰まっていることが多く、ドレンホースの洗浄・清掃をすると改善する。ドレンホースが完全に閉塞されてしまうと、ドレンホースやドレンパンが満水状態となり、エアコン室内機から水漏れが発生する。

エアコンから水が漏れる

冷房運転をしている状態では、冷房時に発生する結露を室外に排出するため、室内機から結露水が流れる。通常、結露水は窓や外壁のエアコン開口からドレンホースを出して外部に排出するが、このホースが詰まっていると、水を排出できずに室内機から漏水する。

重力を用いて排出する方式であれば事例は少ないが、結露水の排出を「ポンプ」で行う機種の場合、ポンプが故障すると漏水が発生する。ポンプ搭載型の室内機は業務用がほとんどなので、住宅用のルームエアコンではポンプ故障による漏水は事例が少ない。ドレンホースの目詰まりが多くの原因となる。

ホースの内部に枯れ葉や虫の死骸、泥などが詰まっていると、結露水の排出が間に合わずに室内機から溢れる。定期的に清掃するのが良い。

ホースの汚れだけでなく、室内機のフィンから直列漏水することも考えられる。フィルターを長期間清掃せずに汚れた状態では、風が循環せず結露を誘発する。この状態でエアコンの温度設定を低くすると、室内機のフィンから結露水が落ちることがある。

室外機の周辺が濡れているのは、故障ではない。冷房時は室外機内部配管の結露水が流れ、暖房時は霜取り運転によって溶けた水を排出している。

エアコンから臭いがする

長期間使用したエアコンは、熱交換するためのコイルに付着したカビにより、臭気を発生させる。冷房運転などを開始してまもなくであれば、コイルが十分に冷却されていないため、臭気が強い状態となる。熱交換器はほこりやカビが付着しやすく、より強い臭気の原因となる。

冷房運転を停止し、コイル部分に結露した状態で温度が室温に近くなると、カビや微生物が繁殖しやすい環境となる。運転と停止を繰り返すほど、カビ・微生物が繁殖し、臭気の原因となるため、定期的にフィンを洗浄し汚れを落とすと良い。

エアコンの寿命

エアコンの寿命・耐用年数は、一般的に10年~13年程度とされている。上記に記載した故障が頻繁に発生するのであれば、寿命と判断できる。

経済産業省が制定した「長期使用製品安全表示制度」において、長期間使用する家電の5品目(扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機、ブラウン管テレビ)にあっては「設計上の標準使用期間」を設定し表示することが定められたため、エアコンを製造するメーカーは、標準使用期間を記載しなければならない。シールては「10年」といった表示がなされている。

設計上の標準使用期間は「表示期間を過ぎては使用してはならない」という表示ではなく「設計上の標準使用期間を過ぎて使用した場合に、発火や焼損・怪我が発生するおそれがある」ことを示すものである。火災のおそれがあるので、古い機種を長期に渡って使わないことを警告している。

長期間使用している電気機器は、各種部品が経年劣化によるはそんのおそれが高いため、異常の有無を確認しながらの慎重な利用が求められる。

経年劣化は、設計や製造上の不良が原因ではなく機器そのものの使用限界であり、買い替えをする対応策以外ないことも考えられる。メーカーが修理部品を保有していない可能性もあるため、長期間の使用はリスクを伴う。

エアコン冷房運転時の冷媒サイクル

エアコンの基本的な運転サイクルは「圧縮機」「凝縮器」「蒸発器」「膨張弁」の4つにより、冷媒ガスの温度と圧力を変換するサイクルを構築することで、冷暖房が行われている。

一般的な住宅用ルームエアコンでは、室外機に圧縮機・凝縮器が、室内機に蒸発器が内蔵されている。この3種類の機器を組み合わせ、冷媒配管に充填されている冷媒をガスから液体に変換しつつ温度を変え、熱の放出と吸収によって冷暖房が行われる。

寒冷地など、過酷な外気の環境に設置されるエアコンは、圧縮機の運転を電気熱源で行うとパワー不足となることもあり、ガスを用いたヒートポンプや灯油の燃焼で動作するヒートポンプに、冷暖房のサイクルを構築する方法も普及している。

圧縮機の運転を行う熱源として「電気」「ガス」「灯油」のいずれか、という違いのみであり、基本的なサイクルの違いはない。

ガスや灯油を熱源として圧縮機を運転させる場合、電気熱源よりも部品類の劣化や損耗が大きいとされている。2万時間程度の運転で、オーバーホールを含む大規模メンテナンスが必要とされ、4万時間の運転で圧縮機本体の更新が必要となる。

電気式の圧縮機であれば、燃焼を伴う機関を搭載していないため、圧縮機の劣化速度は遅い。ガスヒートポンプエアコンや石油ヒートポンプエアコンよりも長期間の運転に耐えるとされ、長期に渡っての利用が可能である。

連続運転が求められる用途では、燃料によるコストメリットが高くても、更新に関わるコストが大きくなるおそれがある。慎重な比較検討が求められる。

空調機の冷房に伴うサイクル

空調機を使用して冷房を行うサイクルを説明する。圧縮機に電力を供給して、冷媒の圧力や温度を変化され、冷媒を循環させることで冷房効果を得るのがエアコンの原理であり、業務用の大型空調機から、家庭用ルームエアコンまで、基本的な熱サイクルは同じである。

圧縮機により高温高圧ガスに変換

エアコン室外機に内蔵されている「圧縮機」を運転し、低圧ガス冷媒を機械的に圧縮し、高温高圧ガスに変換する。最もエネルギーを大きく使用する工程である。

電気熱源であれば、圧縮機を駆動させるために電気エネルギーが用いられるが、ガス熱源や灯油熱源でも駆動可能である。電気熱源は「EHP」、ガス熱源は「GHP」、灯油熱源は「KHP」と呼ばれ、熱源によって区分されている。

ガスや灯油を用いた圧縮機は寒冷地でも高い暖房効率を発揮するのが特徴で、都市ガスやプロパンガスが普及している地域ではGHPが広く使われる。北海道など一部寒冷地では、灯油を熱源としたKHPも普及している。

凝縮器により、ガスを液化させる

高温高圧ガス冷媒を、室外機に内蔵されている「凝縮器」で放熱する。熱交換器を通過し熱を失った高温高圧ガスは、高圧の液体に変化する。熱交換器によって熱を奪い、奪われた熱は室外機で外部に放出する。この原理により、冷房運転している室外機からは熱風が放出される。

冷房運転時に室外機から熱い排風が発生するのは、室外機に搭載されている凝縮器によって熱が奪われ、その奪われた熱をファンによって放出するためである。熱エネルギーを持つ排風を自ら吸い込むと、熱交換に悪影響を及ぼす「ショートサーキット」の状態となり、効率の悪化を引き起こすため注意を要する。

膨張弁により、液化冷媒を低温低圧に変換

高圧の液化冷媒は膨張弁に流れ込む。膨張弁は、液化した高圧冷媒の圧力を下げる機能があり、高圧の液化冷媒は圧力を失って低圧の液化冷媒に変化する。圧力が急激に変化し冷媒の沸点が低くなり、蒸発しやすい状態が作られる。

蒸発器により、液化した低温低圧冷媒を気化

蒸発しやすい状態となっている低温の液化冷媒を、室内機に搭載されている蒸発器に通して気化し、低圧ガスに変換する。液体が気体に変換される瞬間、気化熱の効果により周囲から熱を奪う性質があるので、ここに冷気が発生する。

室内機側で発生した冷気を、ファンの運転によって放出するのが、室内機から冷風が出る原理である。

気化した冷媒を圧縮機に戻す

蒸発器を通過して低圧ガスとなった冷媒は圧縮機に戻り、再び熱源によって高温高圧のガスに圧縮される。このサイクルは空調を停止するまで繰り返される。

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