漏電火災警報器の設置基準 | ラスモルタル造における設置義務

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漏電火災警報器の概要

漏電火災警報器は、屋内配線などが損傷することで漏電が発生した場合に、音響装置を鳴動させて防火対象物の関係者に報知する防災設備である。漏電によって火災が発生しやすい、ラスモルタル造の建築物を計画する場合、漏電火災警報器の設置義務が発生する。

分電盤や配電盤に設置する漏電保護リレー(通称ELR)と違い、漏電火災警報器は消防法によって規定された防災設備のひとつであり、設置工事は電気工事士が行い、点検や整備は消防設備士の乙種7類免状取得者が実施しなければならないことが定められている。

漏電火災警報器は、国家検定合格品を使用しなければならず、設置届の提出、定期点検報告、有効期限などが消防法で規定されている。漏電保護リレーを漏電火災警報器の代替として使用することは禁じられており、認定品を使用しなければならない。

漏電火災警報器の漏電検出の仕組み

屋内電線路の被覆が損傷するなどし、接地されている金属部と充電電路が接触すると、漏洩電流が大地を通じて変圧器に戻っていく「漏電状態」となる。大地を流れる電流は、変圧器に接続されているB種接地線を通じ、大地から変圧器に戻っていく。

健全な回路では、変圧器から負荷に供給される回路の行きと帰りの電流値は同一となるはずである。漏電が発生している場合、電路ではなく大地を通じて変圧器に電流が戻るため、本来の電路では、行きと帰りの電流に「差」が発生する。

この差分の電流を捕捉し、一定以上の電流の差が発生した場合に、大きな漏電が発生しているとして、漏電火災警報器から警報を発信する。

漏電検出の機構は、漏電遮断器や漏電保護リレーと同様である。しかし漏電火災警報器は、この一連の動作や検出機構を消防法で厳しく規制し、かつ警報機の定期点検義務などを明確に規定することで、緊急時に動作しないという事故を未然に防ぐよう配慮されている。

ラスモルタル造とは

ラスモルタル造とは、左官工事において塗壁や塗天井用の下地にメタルラス、ワイヤーラス、ラスボード等(通称ラス)を使用し、ラスの上にモルタルを塗って仕上げる建築工法である。ラスとモルタルが一体化することで、丈夫な壁を構築できるため、住宅や業務施設で広く使用されている。

木造住宅の外壁を構成する構造用合板と、ラスモルタル層の間に空気層が構築されるため、断熱性能の向上、湿気の侵入防止などが図られ、外壁材として多くの利点がある。

ラスモルタル造の建築物では、建物全体がラスという金属によって覆われた状態になる。建物への電源供給のための電力線を収容した電線管を貫通させた場合、電線管に漏電が発生すると、その漏洩電流が壁下地のラスを発熱させてしまう。

漏洩電流値が大きいほど大きな発熱につながり、長時間に渡る発熱により、壁内のラスに接触している構造用合板が発火するおそれがある。漏洩電流を早期に検出し、漏電が発生した電路を遮断しなければ、火災につながる。

すべてのラスモルタル構造に設置義務があるわけではなく、「間柱、根太、天井野縁又は下地を不燃材・準不燃材」とすれば、警報機の設置義務はない。間柱、根太、天井野縁又は下地に不燃・準不燃以外の構造を採用しており、かつラスモルタルを使用した壁、床、天井がある場合、面積や契約電流の値によって、漏電火災警報器を設置する義務が発生する。

鉄筋コンクリートや鉄骨を用いた耐火建築物であっても、壁や床・天井にラスモルタルを使用していれば、漏電火災警報器を設置しなければならない。

モルタル壁のイメージ写真

漏電火災警報器の設置基準

漏電火災警報器の設置基準には、延べ面積による一般基準と、契約電流による容量基準がある。消防法施行令別表一「(1)~(6)、(14)~(16)の内、契約電流が50Aを超える防火対象物で、ラスモルタル造」の場合は契約電流基準により、面積に関係なく漏電火災警報器の設置が必要である。

「(1)~(12)、(16-2)、(17)の防火対象物で、一定の面積以上、かつラスモルタル造」の場合にも、漏電火災警報器の設置が必要である。面積による一般基準、契約電流基準のどちらの場合も、建築物の耐火構造・準耐火構造の違いや、普通階・無窓階の違いはない。

漏電火災警報器で警戒する電路の定格電流が、60Aを超える場合は1級漏電火災警報器、60A以下の場合は2級漏電火災警報器を設置する。警戒電路が分岐しており、分岐回路が60A以下であれば、1級漏電火災警報器を使用せず2級漏電火災警報器を分岐回路ごとに設置すれば良い。

漏電火災警報器の構成機器

漏電火災警報器を構成する機器として、警報機本体、漏洩電流を検出する変流器、音響装置がある。

漏電火災警報器本体

警戒する電路の定格電流により、1級と2級に分類される。漏電を検出し、警報を発信する漏洩電流の設定値は、一般的に100mA~400mAとする。設定値が小さ過ぎると、頻繁な誤報の発生につながり、設定値が大きすぎると適正な保護ができない。

変流器

変流器は、漏洩電流による不平衡電流を捕捉するために設置する。警戒する電路の定格電流値以上をカバーできる性能とし、かつ点検が容易な場所に設置する。

音響装置

変流器が検出した不平衡電流は火災警報器に送信され、所定の数値を超過した時点で音響装置を鳴動させる。音響装置から発信される警報により、防火対象物の関係者に漏電の発生が伝達される。

音響装置は、火災受信機と同様、常時人がいる部屋に設置しなければならず、倉庫や機械室などに設置してはならない。

操作用電源

漏電火災警報器の電源は、主開閉器の一次側から専用回路で分岐し、定格20Aの配線用遮断器を設け、漏電火災警報器電源であることを表示した回路から供給しなければならない。容易に遮断できないよう、赤色のロックキャップを取り付けておくと、より安全である。

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