電気設備の知識と技術 > 受変電設備の基礎知識 > タキゲン200番・ハンドルキーの種類と特徴
キュービクルや分電盤の内部には充電部が露出しており、充電部に接触すれば人体を通した漏電、感電事故が発生し、死亡事故につながるため大変危険である。動力分電盤では三相200Vや400Vの充電部が内部にあり、100Vの単相電源よりも高い電圧の電源が供給されている。
電気室に設置されるキュービクル受変電設備の内部には、6,600Vの高電圧充電部があり、これに接触すると、重篤な被害となるおそれがある。危険な部分に接触することを避けるため、キュービクルや分電盤を設置する場所は不特定多数がアクセスできない場所に設けることが求められる。
EPSや専用電気室、屋外ではフェンスに囲われた場所に設置するなど、安全対策を施す必要がある。さらに、電気技術者以外がキュービクルや分電盤の扉を開けないように施錠するなど、容易に電気管理者以外が操作できないような措置を施す必要がある。
ここで、電気盤の本体にも施錠することが可能であるが、電気技術者がどこでも点検を行うことができるよう、同じ番号のキーを使用することが一般的であった。どの盤であっても「200」というキーが用いられており、鍵を開けることができた。現在ではセキュリティの向上を測るため、同一キーを用いずに専用キーとすることも多くなっており、設備グレードに応じて「TAKシリーズ」から選択することが一般的となっている。
タキゲン製造のNo200キーは、極めて広く普及しており、国内のに普及している分電盤キーのほとんどが「200」で開くといわれるほどに普及している。電気管理者にとっては、同じキーで管理できるのは非常に便利であり、緊急時でも持参したキーで盤を開け、内部機器の点検や修理が可能となっていた。
しかし、分電盤のハンドルキーは国外への輸出も行われており、国内の多くの分電盤を開閉できるキーが、世界中に広まってしまうという点についてセキュリティの危険性が指摘されるようになり、新たな規格の鍵を使用する事業主が増えている。
キュービクルや分電盤の鍵は、電気技術者が容易に開けられるように、統一のハンドルキーにすることが一般的であり今でもその風習が続いている。主要なハンドルキーのメーカーとしてタキゲン製造がある。盤のハンドルキーといえばタキゲンの200番と呼ばれる程に、広い普及率を誇っている。
タキゲンは、分電盤やキュービクルの蝶番や金具類を製造しているメーカーであるが、電気設備業界ではハンドルキーの製造が有名である。電灯分電盤・動力制御盤・端子盤・キュービクルまで、盤類では極めて多く使用されているキーを製造している。タキゲン200番の鍵は、分電盤やキュービクルを製作納入した際に付属品として納められるが、鍵本体では700円~800円程度で販売されている。
現状このように、数多くの電気盤のキーがNo200となっている状況であるが、稼働中の分電盤や、依頼を受けた客先の分電盤・キュービクルの解錠を行う場合、同じ鍵を持っていたとしても電気管理者から鍵を借用するのが原則である。キーを持っているからといって電気管理者の許可無く盤を開け、電気事故などを発生させると、事故の責任を問われ損害賠償を支払うことになるおそれがあり、大変危険である。
蝶番は「ちょうばん」「ちょうつがい」と呼ぶ。英語読みでは「ヒンジ」と呼ばれ、鋼製建具などでも使用されている。扉や窓などを開閉する場合、固定された軸側を支柱にし、もう片方の扉部を一方向へ回転させられる機構を備えている。扉に限らず、分電盤やキュービクルの扉など、開き蓋などを開閉させるために使用されている。
蝶番を多軸にすることにより、扉を締め込む機構を持たせるなど、単純な開閉機構に留まらず多くの機能を持たせた蝶番・ヒンジが開発されており、用途に応じて選定がなされている。
ハンドルキーは、分電盤やキュービクルを開閉するための取手の部分のことで、回転させることでラッチを外す機構を持っている。ハンドルキーはタキゲン社に限らず多くのメーカーから販売されており、扉を開けるための機構に合わせて数多くの形状があり、表面デザインも違っている。
同一メーカーで選定することを基本とすれば、並んで設置する盤のハンドルキーを全て統一することも可能で、基本的に列盤で構成するキュービクルなどであれば問題にならないが、EPSや防災センターなどで数多くのメーカーの自立盤を複数並べる計画の場合、ハンドルキーがバラバラとなっているとデザイン上のほか、扉の開け方もすべて違ってしまうことになりメンテナンス性が割るため、すべて統一することを検討すると良い。
分電盤や制御盤、配電盤などのうち、セキュリティを高めたい場合はNo200を採用せず、TAKシリーズを採用するという選択肢を検討すると良い。従来のNo200に代わるTAK50や、マスターキーシステムに対応したTAK80など、現在は選択の幅が広く設定されている。
海外へのキュービクルや分電盤の輸出により、タキゲン製造の200番ハンドルキーが国外にも広まり、セキュリティに不安が感じられるようになった。電気設備の重要性は年々高まっており、悪意を持った者が電気設備の盤を開けて内部機器を操作し、電気の供給を途絶えさせてしまうと、計り知れない損害を被るおそれがある。
24時間稼働のサーバーシステムなど、電気設備の重要性は年々高くなり、被害の大きさも格段に大きくなる。電気設備へのセキュリティ対策の重要度は、年々高くなっている。
セキュリティ不安を解消するために、タキゲン製造では従来の200番ハンドルキーに替わり、TAKというキーのシリーズを標準化している。TAKシリーズのハンドルキーは、セキュリティ強度が高められており、従来の200では会場することができない。逆に、TAK50キー本体では200を開場できるため、メンテナンスにも配慮されている。
TAK50は、従来のNo200キーと互換性を保ちつつ、No200キーでは扉を開けられないという特徴がある。TAK50はNo200の上位として位置付けられ、TAK50キがあれば従来のNo200キーを開錠できるので、一本の鍵で、TAK50とNo200の両方の錠前を管理できる。
TAK60はTAK50よりもセキュリティ性を高めた上で、多数の電気工事業者や盤メーカーが作業するような、汎用性を求める場所に適用できる鍵である。従来のNo200にもっとも近い性質がある。
TAK60キーはリバーシブルになっており、上下反対に差し込んでも錠前を開けられる。従来のNo200キーは、逆さに差しても回らないため、操作性に少々の難があったが、TAK60ではリバーシブルディンプルキーとすることで改善している。防塵シャッターが内蔵されているため、内部に塵が入り込み、鍵が回らなくなることを防止するなど高性能となっている。
TAK70は、セキュリティを高めるために「鍵違い管理」を行いたい場合に適用できる特殊なキーのひとつである。1,000通りの鍵種類があり、ひとつのビルや施設であれば、全ての盤の鍵種別を変えることも可能である。
TAK70シリーズは、TAK7***という表記で1,000通りのキー種別を表現するので、TAK7000と呼ぶことがある。1,000通りのキー番号のうち、いくつかは予約番号となっているため指定できない可能性があるが、ユーザーより指定した番号にてキーを製作することが可能である。
TAK80は、TAKシリーズで最もセキュリティが高いシリーズで、118,000通りのキー種別がある。リバーシブルキーとなっており操作性は良好である。個別の扉を別鍵で強固に管理し、施設管理者などは一本のキーで全てを管理するなど、盤類にも高度なセキュリティシステムを構築できる。
TAK80はマスターキーに対応しているため、全ての分電盤や制御盤を開けるキーの用意も可能である。テナントビルなどでも、フロア毎にキーを変えたり、店舗分電盤毎にキーを変えるなどし、セキュリティの向上を図るといった計画が可能である。
令和5年1月より、新企画として「TAK55」のキーが発表された。従来のNo.200、TAK50に上位互換性があり、さらにセキュリティ性を高めたものとされており、新たなスタンダードとして広まるものと思われる。錠前側にディスク部を追加することで、こじあけしにくい構造であり、現在販売されているTAK50シリーズは廃番となりTAK55に置き換えされていく予定である。
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