電気設備の知識と技術 > 受変電設備の基礎知識 > キュービクルの冷却方法と換気風量の算定
2024.3.31
大風量ファンで電気室内やキュービクル内部を強制換気し、外気温と同等の温度まで冷却する方法である。コストは安価であるが、夏季は冷却のための温度差を確保しづらく、換気風量が膨大になる可能性がある。基準温度は40℃として計算するので、外気温が40℃に近ければ年どれだけ多くの外気を取り入れても冷却効果はない。
風力が大きければ、ファン、ガラリなど付帯設備も全て大きくなる。ファンの騒音対策やガラリ等の建築対応はもちろんのこと、雨水侵入対策によるコストも発生するので、コストアップにつながる。ファンによる換気量算出は、下記計算式で行う。
変圧器の発熱量が20kW、外気温度30℃を最大とした場合、20000 / 0.33 ( 40 - 30 ) = 6061[m3/h] が、外気温30℃時における冷却に必要な換気風量である。
電気室にキュービクルを設置している場合、電気室内をエアコンで冷却する方式が有効である。外気温に影響されず効率良く、冷却できる。変圧器や蓄電池、進相コンデンサなどから発生する熱量を冷房に必要な負荷として、それ以上の能力を持つ空調機を設置する。
冷房による冷却では、エアコン室内機からのドレン水の処理方法が重要である。電気室内にドレン水の流れる配管を敷設するため、配管ルートは電気機器の上部を通さないようにルート設計する。もし配管ルートが電気機器の上部になる場合、漏水検知装置付きのドレンパンを設ける。
ドレンパンが埃や汚れで詰まったり、漏水検知装置の故障のおそれがあるため、ドレンパンによる防水は完全ではない。電気機器の上部に水配管をそもそも通さないことが望まれる。
冷房方式と換気方式とを比較すると、冷房方式の方がコストアップ傾向である。能力的な観点から見れば、冷房方式による冷却が確実である。