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凍結深度

凍結深度は、冬期間の気温低下により、地中の水分が凍結する最大深さのことであり、土壌内の凍結により埋設配管への悪影響を及ぼすことが知られている。寒冷地における設備工事にあっては、凍結深度内への設備配管敷設は重大な不具合につながるため、凍結深度以下への埋設工事が不可欠となる。

寒冷地設計における地盤凍結の重要性

日本列島は南北に長く、地域により気候条件が大きく異なる。沖縄や九州、関東以南では凍結深度について考慮する必要がほぼない一方で、北海道や東北地方、標高の高い山間部では、凍結深度への対策が設備寿命や機能維持に大きく影響する。

特に、地中温度が氷点下になることで発生する「凍上現象」は、構造物にとって深刻な脅威となる。

凍上現象が引き起こす構造リスク

地盤に含まれる水分は、0℃以下になると氷に変化する。水は凍結することで体積が約9%増加するという特性を持ち、凍結深度より浅い位置にある土壌が凍りつくと、この体積膨張によって地面全体が持ち上げられる。これが凍上現象である。

凍上現象は地盤を不均一に膨張・収縮させるため、その上に立つ構造物や、埋設されている配管などが沈下したり、浮き上がるなどして大きな被害をもたらすおそれがある。

例えば、建築物の基礎は凍上によって基礎の一部が持ち上げられ、建物全体の傾きを誘発したり、基礎コンクリートにひび割れを生じさせるといった不具合を発生させるおそれがある。給水管や排水管、電線管といった地中埋設管路は内部凍結の懸念があり、沈下や浮き上がりの影響で勾配異常をひきおこすことや、管路が外れてしまうといった不具合にもつながる。

路面や舗装はアスファルト株の路盤材が凍上と融解を繰り返すことで、路面が波打ったり、ひび割れたりすることになる。特に北海道や東北部では、アスファルト表面に細かなひび割れに対して車両等が通過すると、ポットホールと呼ばれる大きな陥没が発生することがある。

凍結深度の決定要因と地域ごとの基準

凍結深度は、特定の数値で一律に定められているわけではなく、その地域の気象条件、過去の最低気温のデータ等に基づいて算出されている。

外気温が最も基本的な要素であり、寒冷な地域ほど深くなる傾向がある。北海道では札幌近郊等で60~80cm、釧路近郊では100cm~120cmのように、地域差があるため北海道の凍結深度ホームページなどから情報を収集し、設計に反映させなければならない。

日本の各自治体は建築基準法や条例に基づき、地域ごとの「設計凍結深度」を定めている。例えば、北海道では60cm~130cmなど幅広い地域性が確認される。宮城県など寒冷地でも比較的温暖な地域では、30~60cm程度の凍結深度を、地域と標高から早見表で計算するように指導されるなど、地域によって凍結深度の定めは違いがある。

設計者は凍結深度を具体的な数値として設定し、設計条件として計画することが求められる。寒冷地の設計にあっては、「凍結深度内は土壌が容易に凍結する」と考え、特に設備工事については凍結深度内に配管を埋設することは避けなければならない。

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