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等電位接地

等電位接地の基本概念と単独接地からの移行

等電位接地は、導体間の電位差をなくすことで電流の発生を物理的に抑制する接地手法である。電気は電位の高いところから低いところへ流れる性質を持つため、すべての機器の金属製外箱や建物の構造体を電気的に接続して同電位に保てば、外部から異常電圧が侵入しても機器間や人体との間に電流は流れない。

従来の接地設計では、電力用、通信用、避雷用などの用途別に独立した接地極を設ける単独接地が一般的であった。しかし、単独接地では落雷時などに各接地極間で数万Vの電位差が生じ、機器の絶縁破壊を引き起こすリスクがある。これを解消するため、国際規格(IEC)に準拠し、すべての接地極と金属部材を一つに統合して電位を一定に保つ等電位ボンディングの考え方が現代の建築設備では主流となっている。

医療分野におけるミクロショックの防止

医療分野における等電位接地の主な目的は、患者の心臓部に対する電位差の発生防止である。体表面に電極を接触させる心電図検査や、心臓内に直接アプローチするカテーテル検査などにおいて、微小な漏れ電流が直接心臓に流れると、心室細動などの重大な事故につながる。この微小電流による電撃をミクロショックと呼び、一般的な感電であるマクロショックとは明確に区別して対策される。

ミクロショックを防止するため、患者が触れる可能性のある範囲にあるベッド、点滴スタンド、医療機器の金属外箱、および金属製配管などをすべて接地線で接続し、医用接地センターボードに集約する。これにより、機器間に生じる電位差を安全な基準値に抑え、患者への漏れ電流の流入を遮断する設計となっている。

多くの機材が接続された病室のベッド

誘導雷サージに対する等電位ボンディングとSPD

等電位接地は、落雷に伴う誘導雷の被害軽減にも用いられる。誘導雷によって発生する高電圧の雷サージは、電源線や通信線、金属配管などを伝って建物内部に侵入する。この際、機器ごとに接地が独立していると、接地点間で大きな電位差が生じ、機器内部の電子回路が焼損する原因となる。

これを防ぐため、建築物を構成する鉄骨、金属製の配管、通信ケーブルのシールド、電気機器の接地端子などをすべて等電位本母線(EBB)に接続する。また、電源線や信号線のように直接接地できない活線部分には、サージ防護デバイス(SPD)を設置する。雷サージが侵入した瞬間にSPDが動作して等電位母線と短絡状態になり、建物全体の電位が同時に一様へ上昇するため、機器間に電位差が発生せず放電による故障を防止できる。

情報通信設備におけるノイズ対策と電磁両立性

データセンターやサーバールームなどの高度な情報通信設備においても、等電位接地はシステム保護の役割を担う。多数のサーバーやネットワーク機器が密集する環境では、機器同士のわずかな電位差がグラウンドループを形成し、ノイズの原因となって通信エラーや機器の誤動作を引き起こすおそれがある。

フロア全体に銅帯を用いたメッシュ状の接地網を敷設し、各機器のラックやフリーアクセスフロアの金属支柱などを短く接続するメッシュ接地方式を採用する。これにより、高周波帯域におけるインピーダンスを低く保ち、機器から発生するノイズを速やかに大地へ逃がす。この等電位化により、電磁両立性が確保され、安定したシステム稼働を維持する。

敷設時のインピーダンス低減と施工上の留意点

雷電流や高周波ノイズは、通常の商用周波数とは異なり著しく大きな変化率を持つため、接地線自身が持つインダクタンスによるインピーダンスの影響を強く受ける。等電位を図るための接地線が長い場合、配線の両端で大きな電圧降下が発生し、等電位を施しても機器間に若干の電位差が生じてしまう。

この問題を解決するため、等電位接地の配線はできるだけ太く、かつ最短距離で敷設する構成とする。接地線の敷設ルートはループ状にならないよう直線的なルートを選定し、高周波電流の表皮効果による抵抗増大を考慮して、平編み銅線や表面積の広い銅帯が用いられる。また、接続部の接触抵抗を最小限に抑えるため、圧着端子による確実な締結や溶接が施される。これらの施工条件を遵守することで、等電位接地の効果を発揮させる。

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