接地工事の種類と接地抵抗

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接地の概要と意味

接地は、その役割によって強電用と弱電用に分けられており、電路を大地と接続する工事である。大地は非常に安定した電位を持っており、大地と電路を接続することで電位が安定する。電気機器の外箱、電気回路の中性点、電子機器や通信機器類の基準電位を確保するためなど、接地は数多くの役割を持っている。

通信機器や電子機器類は、内外で発生する電磁波やノイズの影響を受けて誤動作を発生させる。電気機器では、接続するケーブル類や外箱などを遮蔽することで、電磁波やノイズから保護している。遮蔽物は、異常電圧やノイズ、電磁波の影響を、安定した電位を持つ大地と接続することで逃がし、内部の重要機器に悪影響が及ぼさないようにしている。

接地という行為には数多くの役割と意味を包含しており、その用途に応じて適切な接地を行わなければ、感電事故や機器の不具合、故障につながる。

建築電気設備に代表される強電用の接地は、感電防止などを目的とした保安接地であるが、弱電用は機器の安定的な動作を助けることを目的としている。

接地は「アース」とも呼ばれており、家電など住宅用の電気機器では、アース、アース線といった使い方がされている。ここではアースという単語は用いず「接地」及び「接地線」という名称で統一する。

系統接地と機器接地

接地には系統接地と機器接地の二種類がある。系統接地は変圧器の二次側の接地など、電路全体を大地と接続するもので、漏電した電流を変圧器に還流させるために重要な接地である。対して機器接地は、電気機器本体、架台、外箱など個別の機器類に施す接地で、ここから大地を経由して変圧器に漏電電流が戻る。

漏電とは、絶縁されている充電電路から非充電部分へ電気が漏れていることを示し、地絡とも呼ぶ。地絡状態では、人畜が接触すれば感電し、建築物が漏電により発熱・発火のおそれがある。電路は絶縁されていることが原則であり、地絡は異常状態と認識し、早急に改善しなければならない。

国内の接地方式と系統

国内の需要家内の電気回路は、一部を除いて接地系である。変圧器の二次側をB種接地線で大地と結び、その変圧器の二次側から電源を供給する形で構築されている。

変圧器の部分で接地されているため、人体が電路に触れた場合は人体から大地を通り、変圧器の接地を抜けて戻る。これだけ聞けば、変圧器の部分で接地されているため感電するのだと思えるが、変圧器の部分で接地をしなければ感電することはない。しかし、国内の電路は接地系で供給されている。

なぜ国内の電路で非接地が一般的ではないかと言うと、電路全てを非接地で維持することが困難であることに尽きる。

一つの施設内には電線、ケーブルなどが数十kmに渡って張りめぐらされ、各所に電力を供給している。非接地の場合、この電路の全ての場所で絶縁が確保されていることが前提である。

系統内のどこか末端のコンセントが地絡状態になり、大地と繋がっていたとすれば、その場所から接地が確保されてしまい、非接地系統ではない。地絡した電気配線部分が接地となり、大地を通じて帰還電流が流れ、非接地系統であっても人体への感電が起きてしまう。

非接地系統は保守管理が難しい接地方式である。非接地系統とする場所は水中照明など、漏電時の被害が大きい場所に限定されている。この程度の規模であれば管理が行き届き、絶縁状態の維持も容易である。

さらにもう一つ、非接地系統は異常電圧発生を抑制できないという点が挙げられる。接地系統では、中性線を接地することで、低圧側の電圧を150V以下に低減させることが義務付けられている(漏電遮断器を設ければ300Vまで可)。接地がなければ、高圧と低圧が混触した場合には、そのまま低圧側に高圧が入り込む。機器を破損させ、大事故につながるおそれがある。

送電における中性線接地方式の概要

中性点接地方式は、アーク発生等による地絡時の異常電圧発生防止、一線地絡事故時の健全相異常電圧の防止、地絡保護継電器の確実な動作を行うために使用される方式である。

接地抵抗値が小さくなるほど、地絡時の異常電圧は小さくなる。地絡電流が大きく確保できれば、保護継電器の動作が確実になるため、より安全な保護が可能である。

異常電圧の低減という視点から考えれば、接地抵抗値をできるだけ小さく抑えることが望まれるが、接地抵抗値が小さければ小さいほど地絡電流が大きくなるため、接地線付近に敷設している通信線に誘導障害を与えるなど悪影響を及ぼすことがある。

一般用や自家用電気工作物では、直接接地による方式が広く普及しており、大地の接地抵抗値がそのまま接地抵抗値として計算できる。地絡電流は最も大きくなる。電力会社の配電設備系統では、地絡電流を小さくするため抵抗を接地系統に付加する抵抗接地方式や、消孤リアクトル方式、非接地方式などが採用されている。

A種接地工事

高圧や特別高圧など、高い電圧で使用している電気機器に対して行う接地工事は、A種接地工事が該当する。高圧の電気設備で感電した場合、そのほとんどが致命傷になり、わずかな漏電による感電でも大きな損傷を受けるので、接地抵抗値は10Ω以下を確保するように接地極を埋設する。

接地線の接地抵抗が小さければ、人体側に分流する電流を小さくできるため、接地抵抗値を低く抑えることで被害を小さくできる。接地線の太さや接地極のサイズなど、接地関連の設備には高い性能が要求される。表面積の大きな接地極と、容易に切れることがない太い接地線を敷設する。

人体が感電した場合、接地線が無ければ人体に全ての漏電電流が通過するが、接地線があれば人体と接地線に電流が按分されるため、損傷をより小さくできる。A種接地工事では10Ω以下の接地抵抗値を確保しなければならない。接地極の埋設方法として、地上より75cm以下の深さに埋設すること、鉄柱の金属体が近くにある場合はその底部より30cm以下の深さに埋設することに注意する。

A種接地工事に使用する電線は、直径2.6mm以上の軟動線または、同等以上の強さと太さを有するものを使用することと規定されている。避雷器用のA種接地工事では、断面積14mm2以上の電線を使用すべきである。

B種接地工事

低圧の電路と高圧の電路を接触させたとき、低圧側の電圧を上昇させないための接地である。B種接地線がないと、変圧器の故障で低圧と高圧が接触(混触と呼ぶ)した場合、低圧の200Vや100Vの電路に高圧の6,600Vが流れる事故が発生する。100Vや200Vで使用する機器に高圧を印加すれば、間違いなく焼損・故障する。

B種接地工事で確保しなければならない抵抗値は、電力会社の送電線や電柱から来る配電用の電線距離・サイズによって変動する。接地抵抗値は100Ω近い場合もあり、20Ω前後の場合もある。電力会社に問い合わせて数値を確認する。

変圧器二次側に接続するB種接地線のサイズは、電線の温度上昇式を展開した「0.052In」で求める。Inは変圧器二次側の定格電流として算出する。

6600V/200・100V、500kVA単相変圧器のB種接地線サイズ算出

  • 500 / 0.2 = 2500A
  • 0.052 × 2,500 = 130[sq]

接地線サイズは、130sqの直近上位である150sqとなる。

6600V/200V・500kVA三相変圧器のB種接地線サイズ算出

  • 500 / (3×0.2) = 833A
  • 0.052 × 833 = 43[sq]

接地線サイズは、43sqの直近上位である60sqとなる。埋設するB種接地線の太さは計算した接地線サイズの内、最大のものとすべきである。

一線地絡電流値とB種接地抵抗値の算出

高圧受電の需要家の場合、B種接地抵抗値は電力会社から数値を受領しなければわからない。変電所から敷設されている電線の総延長がわからないため、需要家側では計算が不可能である。

特別高圧で受電する需要家の場合、構内のケーブルや電線は全て施設所有のものなので、構内電線長の把握ができるため計算が可能である。

一線地絡電流値の計算

受電点に設置した特別高圧の変圧器二次側から、フィーダを経由して末端までのケーブル長さを合算する。特高変圧器二次側に高圧送出遮断器が5台設けられ、それぞれA・B・C・D・E変電所に供給されていた場合、A・B・C・D・Eまでの全ケーブル長さを合算する。

  • ケーブル以外の線路の一線地絡電流 I1 = 1 + ( VL / 3 - 100 ) / 150 A
  • ケーブル線路の一線地絡電流 I1 = 1 + ( VL' / 3 - 1 / 2 )A
  • V = 電路の公称電圧 / 1.1 [kV]
  • L = 同一母線に接続される高圧電路(ケーブルを除く)の電線延長 [km]
  • L' = 同一母線に接続される高圧電路(ケーブル)の電線延長 [km]

構内に敷設された架空電線またはケーブルの長さを上記計算式に代入すると、一線地絡電流値が算出できる。

B種接地抵抗値の計算

先に求めた一線地絡電流からB種接地抵抗値を求めるため EB = 150 / I1 [Ω] を算出する。この数値以下のB種接地抵抗値を確保できるように接地極を埋設する。電気設備技術基準において「B種接地工事の接地抵抗値は(中略)5Ω未満の値であることを要しない。」と規定されているため、計算上5Ω以下の接地抵抗値が必要であっても、5Ωを確保すれば良い。

C種接地工事

300Vを超える低圧の電路に接続される機器は、100Vや200Vの機器による感電事故よりも危険性が高いため、A種と同様に10Ωの接地抵抗値を確保する。多くは400Vで使用している電動機やファン類に接続する。

300Vを超える低圧用の機器の鉄台、金属製外箱、金属管など、比較的高い電圧を扱う金属体に対して接地を行う。感電時に重篤な被害が発生する「水中照」明に対する接地工事としても、C種接地工事が求められる。

緩和規定として「低圧電路において、電路に地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設する場合は500Ω以下でよい」という定めがある。C種接地工事を行う場合、引張強さ0.39kN以上の金属線、または直径1.6mm以上の軟銅線で接地を行う。

従来では水道管の金属体を利用して接地することもあったが、現在給水管はポリエチレン化も進んでおり、大地から絶縁されている可能性がある。所定の接地抵抗値が確保できない可能性があるので、単独で接地極を埋設することが望まれる。

D種接地工事

住宅や業務用施設の照明、コンセント、換気扇や冷蔵庫に使用されている接地工事である。接地抵抗値は100Ω以下を確保すると規定されている。冷蔵庫や電子レンジに付属される接地線は、このD種接地に接続することで感電被害の防止を図っている。

各種接地工事の要求で最も低い10Ω以下が確保できるようであれば、A種・C種・D種を共用できる。A・C・D種接地を共用、B種接地を単独、ELB動作用D種接地を単独という形とすれば、接地系統は3つで完結する。

D種接地工事では、漏電遮断器で保護されている回路と、保護されていない回路を同一系統にしてはならない。漏電遮断器で保護されていない回路で漏電が発生した場合、漏洩電流が接地線を伝わり、漏電遮断器で保護されていない回路とともに電位上昇を引き起こす。事故電流は漏電遮断器を経由しないため、漏洩状態が継続したまま遮断されることがない。

結果的に、各種電灯盤や動力盤へは2本の接地線をつなぐ。接地抵抗値を2Ω以下に抑えられれば、全ての接地系統を共用できるが、構造体接地をせずに2Ω以下の接地抵抗値を確保するのは困難である。

接地線サイズの算出

D種接地工事のサイズは、B種接地工事と同様、接地線の太さは 0.052In で算出する。Inは系統を保護する遮断器の遮断電流値を使用する。100ATの遮断器で保護された系統の負荷であれば、100 × 0.052 = 5.2[sq]以上の接地線が必要となるため、5.5[sq]のIV線を接地線として採用する。400ATの遮断器で保護された系統であれば、400 × 0.052 = 20.8[sq]以上となるため、22[sq]以上のIV線を使用する。

D種接地工事の省略

次に該当する場合、接地工事を省略できる。

  • 交流で対地電圧150V以下の機械器具を乾燥した場所で使用する場合
  • 直流で対地電圧300V以下の機械器具を乾燥した場所で使用する場合
  • 低圧の機械器具を乾燥した木製床または同等仕様の床で取扱う場合
  • 鉄台や外箱の周囲に絶縁台を設ける場合
  • ゴムや合成樹脂でモールドした計器用変成器
  • 電気用品取締法における二重絶縁構造の機械器具
  • 二次電圧300V以下の絶縁変圧器から供給を受ける3kVA以下の機械器具
  • 水気のある場所以外に設置する低圧機械器具で、15mA以下0.1秒動作の漏電遮断器で保護する場合

接地工事に関する規定・材料

接地埋設の規定

接地極の性能を十分確保するため、75cm以下の深度まで埋設する。埋設部分の近くに金属体がある場合、地絡電流が金属体に影響するため、1m以上離隔して敷設する。

接地極の構造と仕様

接地極は、銅板・銅棒など、接地工事専用に販売されている製品を使用することが原則であるが、金属製の材料であれば代替できる。亜鉛めっき鋼管や圧鋼電線管など、給排水工事で使用されている配管材や電線管も、接地極として認められる。内線規程によれば、これらの配管材の場合、外径25mm・長さ0.9mを最小寸法として規定しており、どれだけ接地抵抗を低く確保できる地域でも、この数値以上の材料を使用する。

接地抵抗値を長期確保できる施工方法

接地極はなるべく水気のある場所を選び、腐食を防止することを目的に、ガスや酸の発生のおそれがない場所を選定し、埋設しなければならない。地中の接地抵抗は天候や既設に左右され、夏季は低い接地抵抗値を示し、冬季は接地抵抗値が高くなる傾向にある。通年を通して規定の接地抵抗値が確保できるような場所を選ぶことが重要である。

大地抵抗率は湿潤な地域ほど低いため、良好な接地抵抗値を確保できる。粘土質の湿地、粘土質の畑地などは抵抗率が低いが、岩盤地帯の山地や、砂利の河岸は極めて高い大地抵抗率であるため、接地銅板や接地棒1つでは所定の抵抗値の確保が困難である。

地下水位の変動でも、接地抵抗値は変動する。接地極を地下水位よりも下位に埋設しても、その地下水を多量に汲み上げてしまえば、大地抵抗率が上昇して接地抵抗値が高くなる。埋設期間が長期に渡ると銅板が腐食・劣化していくため、定期的な接地抵抗測定を行い、健全な抵抗値が確保できているか確認する。

自然的な影響だけでなく、人為的にも接地抵抗値が変動する。接地極を埋設している場所の付近を掘削するなど、接地極埋設部の周辺の土量が減ってしまうと、接地抵抗値は高くなる。

地震や地盤沈下、掘削工事の影響で接地極が外れることを防止するため、銀ろう付けやテルミット溶接など、確実に接続される方法で接合しなければならないため、既製品以外の接地極を使用する場合は、管理を十分に行うべきである。

接地抵抗の低減方法

大地抵抗率の高い地域では、単独の接地工事では所定の接地抵抗値が確保できない場合も考えられる。埋設する接地極の接地抵抗値を低くしたい場合、下記の方法が採用される。

  • 接地極を大きくし、大地と接触する面積を増やす
  • 接地極を複数埋設して連結し、大地と接触する面積を増やす
  • 深く埋設し、地下水位以下とする
  • 接地極と大地が密接するよう十分に転圧する
  • 接地抵抗低減材を使用する(要検討)

接地抵抗低減材の効果

地中下部にトンネルや高速道路など大型構造物があったり、埋設場所が建物と隣接しているなど、接地極を埋設しても所定の接地抵抗値が確保できない場合、接地抵抗低減材を使用する。低減材を使用すると、接地抵抗値を30%程度低減できるとされており、山岳地など大地抵抗値の高い地域で効果的である。

接地極の周辺に炭や水、塩を撒くと、一時的に接地抵抗値が低くなる。しかし、これらはすぐに大地に流出・拡散して失われ、接地抵抗値はすぐに元に戻ってしまう。塩に至っては金属の腐食を促し、周辺の植物や金属帯に塩害を引き起こすので使用してはならない。環境負荷の少ない材料をベースに、大地に拡散しないよう固化材を用いて長期間に渡って接地低減効果を与えるのが、接地抵抗低減材の役割である。

接地抵抗低減材は、地中埋設した接地極と一体化することで、大地に接する電極の見かけ表面積を増大して接地抵抗値を高めるという仕組みを利用した化学物質である。接地低減材はセメントと炭素系物質が混合されている。

接地極を敷設した場所に低減材を投入し、水を加えることで化学反応を起こして固化し、低減材の結晶と電極が絡みあって見かけ表面積が大きくなる。水が確保できない地域でも使用できるよう、大地に含まれる水分を利用して固化する製品もある。

従来、接地抵抗低減材で抵抗値を下げる場合、その化学材料による土壌汚染、自然分解による接地抵抗値の上昇、低減材の施工性の悪さなどが問題視されていた。しかし最近では、自然環境で容易に分解せず長期間接地抵抗が維持できるもの、植物など自然環境への汚染が広がらない材料などが、各種メーカーが生産・販売をしている。

接地極は建物が存在する限り必要となる重要設備であり、接地抵抗値を下げられる期間を確認し、異常発生時には接地極を掘り起こして再度埋設できるよう、配線系統や埋設位置を考慮することが望まれる。設計水準や仕様書で「接地抵抗低減材を使用してはならない」と定めている事業主もあるので、安易な使用は避けるべきである。

接地抵抗低減材は「日本地工」「サンコーシャ」「三井化学産資」など多くのメーカーが生産している。

接地端子盤の役割

A種からD種の接地端子を中継し、接地抵抗値の測定を行うための試験用の盤を、接地端子盤と呼ぶ。接地端子盤は電気室内やキュービクル内部など受電設備の付近に設置し、電気設備の点検時に使用する。

接地端子盤には、Ep端子やEc端子を設けることにより、各種端子の接地抵抗値をその場で測定できる。端子はネジ留めされているだけであり、接地の切り離しを伴う試験も簡単に行える。

接地極埋設表示板

接地極が埋設されている場所に配置する表示板で、埋設年月日、接地極位置、接地種別、接地抵抗値を記載する。表面プレートはステンレス、黄銅製があり、意匠性を勘案して選定する。

共用接地と連接接地

共用接地とは、各種接地工事の接地線を共用接地極につなぎ込む方式である。総合接地抵抗値を低く保てれば、A種接地とD種接地を共用できる。低圧機械器具に接続しているC種接地・D種接地も、B種接地と共用できる。

各種接地工事は共用することがで、A種接地・C種接地は10Ω以下が規定されており、D種接地は100Ω以下が規定されているので、10Ω以下の接地極を敷設できれば、A・C・D種共用接地端子として使用できる。

接地抵抗値が2Ω以下の値を常に保てれば、全ての接地工事を一つの接地極にまとめられる。避雷設備の接地については、極めて大きな電流と電圧が発生するため、小さな接地抵抗値の確保に務める。電気機器用の接地とは別にすることを考慮する。

構造体利用接地の特徴と利点

低い接地抵抗値を確保するためには、建築物の基礎など構造体を利用した接地を行うのが効果的である。山留めのH鋼、シートパイル、杭は、地中深くに鋼材を埋設しているため、これらに鉄筋で接続されている地中構造物は、非常に低い接地抵抗値が確保されている。

コンクリート内には鉄筋がメッシュ状に敷設されており、断面積が非常に大きいため雷電流に十分耐え、鉄筋はアルカリ性のコンクリートに覆われているため腐食に強いという特長がある。鉄筋は接地線として非常に優れた性能を持っている。鉄筋は、電気的な対応を何も行わない場合でも、鋼材同士が接触しているため一定の接地抵抗値が確保されているが、完全な電気的接続ではない。構造体全体が電気的に接続されるように、要所で鉄筋同士を接続していく作業が必要である。

上階が鉄骨造の場合は、地中鉄筋と地上鉄骨が電気的に接続されていないため、ベースプレートやアンカーボルトと鉄筋を電線で接続し、建物全体を電気的に接続する。鉄筋同士を接続する継手が機械式の場合、電気的に接続されていないことになるため、鉄筋相互を電線で結んでいく必要がある。

建築基準法上の避雷設備用として接地を行う場合、構造体を接地極としてみなすためには、JIS-A4201「接地極の省略」に基づいて接地極の省略計算を行わなければならない。

連接接地とは

連接接地は、個別に敷設した接地極同士を接続する方法である。共用接地は、ひとつの接地極に対して接地線を多数接続する方式であるが、連接接地は多数の接地極に対し、接地線を互いに接続させる方式となる。

接地極を連接することで、接地極間の電位が同一化し、雷サージ発生時の電位上昇を抑えられる。接地を共用するためには、2Ω以下の低い抵抗値を常に確保できることが条件となる。

接地共用によるB種接地の扱い

B種接地工事を他接地と共用した場合、接地抵抗値がほぼ0に近い数値となることから、地絡電流が短絡電流と同様な大電流となるため、接地線は短絡電流に耐える電線選定をしなければならない。地絡事故は短絡事故に比べて発生しやすいため、保護協調が困難になるおそれがある。

地絡電流を低く抑えるためには、接地抵抗値を人為的に引き上げることが有効である。B種接地線に一定の抵抗器を設け、地絡事故時に抵抗を経由することで電流を制限する方法が採用される。抵抗の存在により、地絡電流が抑制され、高調波電流も抵抗によって抑制される。電気設備技術基準におけるB種接地工事の最大抵抗値以上まで抵抗を高められないため、地絡電流の抑制には限界がある。

接地を統合した場合、接地抵抗値を常に低く保つことで、落雷等における電位上昇や、高周波障害を防止できるが、B種接地の接地抵抗値が低くなりすぎるため、地絡電流が過大になることが問題点として挙げられる。

等電位接地・等電位ボンディング

等電位接地(等電位ボンディング)は、接地線、建物内に導入される金属製配管、構造体などをすべて接地線で連接することで、金属間の電位差をゼロにし、落雷や開閉サージによる異常電圧発生時には金属部全体の電位を等しく上昇させることで電位の発生を抑え、機器故障や感電事故を防止する技術である。

従来から使用されている個別接地方式は、A種・B種・C種・D種接地を個別に埋設し、それぞれの接地抵抗値によって管理していたので、落雷などで大きな電圧が地表に流れた場合、接地極ごとに抵抗の違いがあると互いの接地極に電位の変動が波及し、異常電圧が還流してしまうことがあった。等電位接地では電位が等しく上昇するため、電位差が発生せず事故を防止できるメリットがある。

しかし、接地極にはそれぞれ役割があり、保安用に用いるA・C・D種、通信用の専用接地、変圧器用のB種接地などを単純に連接すると、接地抵抗値に減少により地絡電流が大きくなり、B種接地については絶縁監視装置の故障など不具合につながる。

これを解消するためには、B種接地に抵抗器を接続したり、ギャップ付SPDと呼ばれる「落雷時異常電圧が発生した瞬間だけ導通する」SPDを設け、通常時は個別接地として機能し、非常時のみ等電位化するという仕組みが一般的である。

金属製の給水管や消火管はSPDを設けずに直接接地できるが、通信線や電力線の充電部を電線で接続できないため、SPDで接続する。ポリエチレンなど合成樹脂を使用している配管であれば、接続の必要がない。

建築構造体を接地極とする場合の注意点

等電位ボンディングを計画する場合、建築物の鉄骨や鉄筋に接地極を接続し、建物全体を電気的に接合して等電位を図りつつ、接地抵抗値の低減を行うのが一般的である。建物全体が等電位であれば、その建物内部にいる人、電気機器は落雷時でも一様に電位上昇するため、電位差による感電や故障リスクが低減する。

注意しなければならないのは、等電位が図られていないフェンス、柵、周辺建物に対しては大きな電位差を与える。自身の管理する建築物について等電位を図ったとしても、近隣や周辺建物に対して電位差を与えるのは問題である。SPDの避雷器を設けず、等電位が図られていない建築物に対しては被害のおそれがある。

周辺建物を含め、接地線を接続して地域全体を等電位にするという考え方もあるが、地中に埋設されている既存の接地極に対し、あと施工で接地線を接続するのは現実的ではない。

接地線の構造と基準

接地線には、事故の度合いによっては非常に大きな電流が流れる可能性があるため、細すぎる電線を選定していると、事故電流で焼き切れてしまうことがある。電線が細すぎると、大電流が流れた瞬間に対地電圧が上昇してしまい、感電被害の可能性が高まる。

  • A種接地工事:引張強さ1.04kN以上の金属線または直径2.6mm以上の軟鋼線
  • B種接地工事:引張強さ2.46kN以上の金属線または直径4mm以上の軟鋼線
  • C・D種接地工事:引張強さ0.39kN以上の金属線または直径1.6mm以上の軟鋼線

接地線を鉄柱や金属体に沿って敷設しなければならない場合、接地極を地中で金属体から1m以上離隔するか、金属体の底部から30cm以上の深さに埋設する。接地線の地下75cmから地表上2mまでは、厚さ2mm以上の合成樹脂管など、高い絶縁性能がある管路で覆う必要がある。

感電の仕組みと事故例

人体に電流が流れこみ、大地へ抜けるという一連の流れが感電である。若干の刺激を感じる程度、手を離せなくなるもの、心室細動を起こすものなど、程度によって数段階に分けられている。

1秒間感電した場合の比較として、0.5mA以下では電流を検知せず、10mAではしびれを感じ、20mAから筋肉収縮や呼吸困難が現れ、30mAを超えると感電から自ら離脱できなくなるといわれる。

漏電遮断器は、一般型では30mA以上の漏電で動作し、回路を遮断する。これは人が離脱できなくなる30mAを見越して設定した値なので、漏電遮断器があれば致命傷を避けることが可能である。15mAで遮断する高感度の漏電遮断器も普及しており、より安全な仕様となる。

工事現場では、42Vを(死にボルト)と呼んでおり、100Vはもちろんのこと、60V以下であっても感電すれば死亡事故につながるとして、注意を喚起している。感電は身体の内部火傷を起こすため、表面上は損傷していなくても、体内で致命的な損傷を受けていると言うことも考えられる。感電事故を起こした場合、必ず医療機関で治療を受けることが必要である。

漏電の疑いがある電気機器やケーブルに触れる場合(通電済みのケーブルを手で触る場合など)、手の甲でケーブル表面に触れる。手のひらでケーブルを触った場合、もし漏電がケーブル表面に到達していたとき、感電のショックで無意識にケーブルを握ってしまい、離れれない。手の甲で触れば、もし漏電していてもすぐに外せる。

心室細動とAEDによる救出

感電に人体に電流が流れると、心臓が清浄に拍動できなくなり、いわゆる「心停止」の状態を引き起こす。心停止状態では、体内に血液を送れないため、すぐに回復させなければ死亡につながる。脳への血液が不足した状態が3分継続すると、脳が回復せず重い後遺症を残すといわれる。

心室細動による心停止が始まった瞬間から、救命率は1分ごとに10%ごと低下していくとされている。救急車は通常、消防署に通報しても10分程度の時間を必要とするので、心停止した人を放置した状態では脳へのダメージが深刻となり、生存率が極めて低く、生存したとしても後遺症が残る可能性が高くなる。

心停止状態からの早期回復を図るため、早期に心臓に対して外部からAED(自動体外式除細動器)により電気ショックを与えて、心臓を正常な拍動に戻すのが不可欠である。近年では病院や福祉施設だけでなく、駅や空港といった公共施設や、商業施設など不特定多数の人が使用する建物にAEDが常備されている。

AEDの使用には、資格や専門技術が必要なものではなく、誰でも使用可能である。

人体感電の電流計算

人体の抵抗値は、完全に乾燥した状態であれば2,000Ωから5,000Ω程度を維持している。しかし水で濡れた状態になると、大きく抵抗値が減少し500Ω程度の数値を示す。

一般家庭に供給されている100Vの電圧で、接地していない機器に乾燥した人体が感電した場合、I = V/R = 100/5000 = 0.02A → 20[mA]の電流が流れる。しびれを感じる程度の感電である。

人体が濡れた状態で感電した場合、I = V/R = 100/500 = 0.2 A → 200[mA]の電流が流れる。30mAを6倍以上も上回る電流のため、手を離すこともできず、致命傷になる。

家庭用の電気機器で漏電のおそれがある部分に設置する場合、D種接地を電気機器に取付ける。D種接地の場合100Ω以下の接地抵抗値を確保することになっており、これは濡れた人体の500Ωと比較しても1/5以下の数値である。電流は並行回路において分流するので、接地線側に5倍の電流が流れるため人体側は1/5の電流で済む。

20mAの漏電電流であれば、約16mAの電流が接地線に流れ人体への漏電電流は4mAで済む。接地線は人体の安全を確保する上で、非常に重要な役割を持っているのである。

作業用短絡接地

高圧の電気設備を点検する際には、作業用短絡接地を行う。停電作業中の安全確保として一般的に行う措置に、回路を開いた高圧電路の二次側に対し、三相を全て短絡させ、接地線に接続する作業用短絡接地がある。

作業用接地を行うことで、作業中誤って高圧を通電してしまった際、作業中の人が高圧電路に接触して人身事故にならないよう、大地と電路を全て接続することで、三相短絡電流がながれても人ではなく大地に電流が流れるようにし、過電流継電器や地絡継電器、限流ヒューズなどで電路を解放させ、人に対して感電や火傷被害を及ぼさない安全対策である。

一般に、高圧電路の点検においては作業区画の施錠や通電禁止表示、テープ張り、監視人の配置などを行って停電作業時の安全対策とするが、重ねて三相短絡接地を行えば、ヒューマンエラーによる誤投入時の高圧感電事故を未然に防げる。

作業用接地線には、誤った操作によって発生する短絡電流を、安全に大地に流す事ができ、継電器動作やヒューズ溶断に至るまでの時間、支障なく短絡電流を流せる電線サイズや、機械的強度が求められる。

接地は常に接続

作業用接地は、常に接地された状態を維持しなければならない。作業用の短絡接地を行う場合は接地側を先に接続して、高圧電路への取付を行う。取り外す際も、接地側を接続したままにして高圧電路から外する。常に接地側を接続してあるので、万が一の事故時に接地線へ電流を流せる。

接地の一般的言語として「接地を取る」という言い方をするが、高圧作業時は使用してはならない。接地を「取る」という言葉には「取り付ける」と「外す」の意味が混在するので、誤操作によって万が一の事故を発生させるおそれがある。

接触状態による区分

漏電した機器に接触し、人体に印加される電圧を接触電圧といい、下記のように区分分けされている。

第1種接触状態

人体の大部分が水中にある状態で、プールや浴槽内電路を敷設している環境である。接触電圧を2.5V以下とする。

第2種接触状態

人体が著しく濡れた状態になる環境、金属製電気機器に常時触れなければならない環境である。接触電圧を25V以下とする。

第3種接触状態

第1種、第2種以外の環境で、人が触れるおそれがある電路が敷設されていれば第3種接触状態となる。接触電圧を50V以下とする。

第4種接触状態

人が触れるおそれがない場所である。人への危険がないことから、接触電圧の制限はない。

家庭用機器における接地の役割

C種・D種接地工事は、低圧の漏電遮断器を確実に動作させるため重要である。漏電遮断器は入る電流と戻る電流の違いを検出して動作するように作られている。100Aの電流を流したのに99Aしか戻らなかった場合、1Aがどこかで漏電したことを検知して動作する、と考えればわかりやすいと考えられる。

感電事故が多いといわれている家庭用洗濯機を例に挙げる。洗濯機の内部機器が損傷し洗濯機表面が漏電状態になった場合、接地線が洗濯機に取付けられていれぱ、漏電した電流は接地線を伝わって地面に流れる。すると、漏電遮断器は入の電流はあるのに戻りの電流がないことを検知してブレーカーを落とす。こうすれば人が感電することはない。

もし接地線が取付けられていなければ、洗濯機に漏電電流が発生したままになり、人が洗濯機に接触した時点で漏電電流は人体を経由して地面に流れる。この場合でも漏電遮断器があれば遮断できるが、感電による衝撃を受ける。もし漏電遮断器を取付せずに洗濯機を使用していたりすれば、死亡事故にもなりかねない。

冷蔵庫や電子レンジにも、接地するための端子や電線が付属している。冷蔵庫や電子レンジがシンクの水回りと近いなど、水気が多い場所にこれらの機器を配置する場合は、感電防止のため接地線を取付ける。

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