ドアホン
住宅の玄関、商業施設やホテルの出入口や通用口に使用されるインターホン設備のひとつ。ドアホンは、住宅の玄関と室内を繋ぐ通信機器であり、来訪者の確認と応対を可能にする。一般的には「インターホン」という言葉が構内通話装置全般を指すが、その中でも戸建て住宅などの玄関に特化したものを「ドアホン」と呼ぶことが多い。
ドアホン本体のボタンを押すことで、室内の親機を呼び出して通話ができる。通話機能だけでなく、カメラを内蔵することで、誰が来訪したかを判別したり、顔を見ながら会話ができる機種もある。現代では、単なる呼び出しベルの機能を超え、生活の安全性と利便性を飛躍的に向上させるセキュリティデバイスへと進化している。
ドアホン子機からの呼出があると、親機はベルやブザーなどで居住者を呼び出すので、これに応答することで会話ができる。これは「親子式インターホン」と呼ばれる方式である。
インターホン(ドアホン含む)は1970年代にマンション向けシステムとして登場し、当初は音声通話のみであったが、防犯意識の高まりからカメラ付きのテレビドアホンが普及し、現在では日本の住宅の多くに何らかのインターホンが設置されている。
近年はIoTやAI技術の進展を背景に、スマートフォン連携機能を持つ「スマートドアホン」や「IoTインターホン」が生産販売されており、ホームセキュリティシステムの中核設備となっている。大手メーカーとしてはパナソニック、アイホン、リンナイなどが市場を牽引している。
機能と特徴
現在のドアホンの主流はテレビドアホンであり、音声通話に加えて映像で来訪者を確認できる機能が標準となっている。主な機能は以下の通りである。
- 来訪者の顔や様子を屋内のモニターでリアルタイムに確認しながら通話
- 留守中や応対できない時でも、訪問者の映像と音声を自動で記録・保存
- 不審な物音や気配を感じた際、手動で玄関先の様子を映し出す
- 夜間や暗い場所でも、内蔵のLEDライトや赤外線カメラにより鮮明な映像を確認
- インターネット回線と接続し、外出先でもスマートフォンに来訪通知を受け取り、映像確認
インターホンは電話と違い、NTTやKDDIの通信線を使用することはなく、構内だけで通話を行うものとして規定されている。敷地の外まで配線して通話できない。
ドアホンを設置すれば、マンションや戸建住宅であれば玄関ドアを開けずに来訪者と会話できるため、防犯性を高められる。視力の弱い人向けに、ドアホン本体に点字による案内表示を設けた製品など、ラインナップは数多く存在する。
無線式と有線式の違い
ドアホンは設置方法により、主に有線式と無線式に大別される。有線式は機器間の通信をケーブルで行うため、通信が安定しており、信頼性が高い。新築時やリフォーム時に導入されることが多い。対して無線式は配線工事が不要で、既存の住宅にも比較的容易に導入できる。電池駆動のモデルもあり、設置場所の自由度が高いが、通信距離や電波干渉、電池交換の手間などを考慮する必要がある。
ドアホンの基本機能は「音声のみ」の伝送だが、高性能機種では音声のほか、内蔵カメラによって来訪者を撮影して表示したり、照明によって顔を照らし、夜間の応対でも顔をはっきりと映すことが可能となっている。
伝送対象が音声のみであれば、親機とドアホンの距離が200mほどあっても問題なく伝送可能できるが、音声と共に映像を伝送する場合、100m程度の距離しか伝送できない。敷設距離が長い場合、アナログ式ドアホンではなく、IP式ドアホンの採用を検討すると良い。
いわゆる「ピンポンダッシュ」を防止するため、ドアホンに人感センサーを内蔵し、呼び出しボタンを押す前から録画を開始する機能など、防犯性を高めるための工夫が、各メーカーで研究されている。
インターホン設備の特徴と仕組みについては、インターホンの種類を参照。












