電磁接触器
電磁接触器は、電気回路において、電磁石の原理を用いて主接点を開閉する制御機器のひとつである。Magnetic Contactor(マグネティックコンタクター)とも呼ばれ、電磁石の吸引力を利用した開閉器としての機能を持つ。電磁接触器の動作原理はシンプルで、繰り返し動作に強いのが特徴である。
配線用遮断器では数百~数千回の開閉頻度で故障に至る物理的な弱さがあるが、電磁接触器は駆動部が電磁石による吸引力を利用しており、構成部品が劣化しにくく数十万回の開閉に耐える。
制御回路から操作コイルに規定の電圧(制御電圧)を印加すると、コイルに電流が流れ、鉄心内に強力な磁束が発生する。磁石となった鉄心は、可動鉄心を固定鉄心へと吸引し、可動鉄心の動きが連結機構を介して主接点に伝わり、主回路の接点が「閉(オン)」となり、負荷へ電力が供給される。
コイルへの通電を停止すると磁力がなくなり、内蔵されたばねの力で可動鉄心が元の位置に戻り、主接点はオフとなる。遠隔信号を用いて動作することを前提にしており、温度や湿度、時間など、外部からの信号を受けて自動でオンオフする回路などで多用されている。
低圧用だけでなく、高圧仕様の電磁開閉器も存在する。力率改善用の進相コンデンサなど、負荷の変動に応じて開閉が必要な回路に用いられ、負荷の変動に応じて開閉が行われる。力率改善用の開閉器は、APFC(自動力率調整装置)からの信号を受けて動作する。
高圧の系統では、受電点に設けたAPFCの信号を高圧電磁接触器に送信し、力率の状況に応じてコンデンサをオンオフする必要があり、高頻度の開閉に電磁接触器が非常に適している。高圧系統の保護には限流ヒューズを設けるが、電磁接触器はLBSと同様に限流ヒューズを搭載でき、短絡保護のために高圧限流ヒューズと組み合わせた「コンビネーションユニット」を使用するのが一般的である。
電磁開閉器、電磁接触器の種類や選定方法については高圧電磁接触器・電磁開閉器を参照。












