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電圧変動率

負荷電流の変化によって電圧が変動する現象。電気機器を「定格電圧」「定格力率」「定格速度(回転機械の場合)」という条件で、かつ「定格電流が流れる状態」として、界磁電流や回転速度を変えずに、定格負荷から無負荷に移行したときの電圧変動の割合を表したもの。「無負荷電圧と定格負荷電圧の差を無負荷電圧で割った値」であり、どれだけ安定して電力を供給できるかを示す、重要な性能指標となる。

同期発電機を定格運転状態として、負荷の状態が変化した際にどれだけ出力電圧が変化するか、という意味で考えると理解しやすい。電圧変動が小さいほど安定した運転が可能となるため、望ましいとされている。この変動率は通常、無負荷時と定格負荷時の電圧の差を百分率(パーセンテージ)で表す。

理想的な電源は、負荷の増減に関わらず一定の電圧を保つものであるが、実際の機器では内部インピーダンス(抵抗やリアクタンス)や、電源から機器までのケーブル長によるインピーダンスの大小により、必ず電圧降下が生じるため、変動は避けられない。これを機器が安定して動作するように発電機や変圧器を大型のものにしたり、ケーブルサイズを大きくするなどして電圧変動率を小さく抑える。

電力会社は下記の電圧範囲で電源供給を行っており、電力会社から供給される電圧についても一定の変動が発生している。

標準電圧 維持すべき値
100V 101Vの上下6Vを超えない値(95V~107V)
200V 202Vの上下20Vを超えない値(182V~222V)

電圧変動率の重要性

電力品質の維持において、電圧の安定性は極めて重要である。特にファンやポンプのモーター、エレベーター等の昇降機など、多くの動力機器は定められた電圧範囲内で動作するように設計されている。供給電圧がこの範囲を逸脱すると、機器の誤動作や性能低下、故障原因となる。

不適切な電圧供給は、モーターの効率低下やフリッカ、所要トルクが発生しない、異常発熱による寿命短縮などを引き起こす。必要な電力に対して、電圧が低下した場合電流が大きくなり電力を維持しようとするため、電流増加による発熱の増大につながる。

変圧器の電圧変動率は、主に内部インピーダンス(巻線抵抗と漏れリアクタンス)によって決まる。特に、負荷の力率が電圧変動に大きな影響を与える。誘導性負荷が多く遅れ力率の場合、電圧降下が大きくなる傾向がある。コンデンサ負荷が多く進み力率の場合、負荷電流によって電圧が上昇する傾向がある。

発電機にあっては、短絡比が大きい(鉄機械)ほど、電圧変動率が小さいため安定するという特徴がある。対して、短絡比が小さい(銅機械)ほど、電圧変動率が大きく安定しないが、自動電圧調整器(AVR)による補償制御を行うことで電圧が一定に保たれ、高品質な運転が可能となる。

例えば、非常用発電機の動作試験では、定格状態で運転している発電機の負荷を急激にゼロとして、どれだけ電圧が変動するかという電圧変動率試験も存在する。電圧の変動は、力率が低いほど大きくなるという特性があるため、力率改善も電圧変動率の低減に有利となる。

電圧降下と電圧変動の違いについては電圧降下計算と電圧変動を参照。

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