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スリーブ

構造体を貫通するための「さや管」

スリーブは、給排水管、電気配線、空調冷媒管、ガス管などの設備配管が、建築物の壁・床・梁といった構造体を貫通する際に、あらかじめコンクリート打設前や鉄骨製作時に確保しておくための「開口用さや管」である。

電気・機械設備工事において、配管ルートを確保するための初期段階の工程であり、重要な工事項目である。構造体が完成した後に配管を通そうとしても、コンクリートの壁や鉄骨の梁が立ちふさがるため、物理的に不可能となる。したがって、建築工事のコンクリート打設や鉄骨加工に合わせて、設備図面に基づいた正確な位置・サイズのスリーブ情報を伝達・施工しなければならない。

RC造におけるボイド管と補強筋

鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄板コンクリート造(SRC造)の場合、コンクリートを流し込む型枠の中に、紙製(ボイド管)や樹脂製、あるいは鋼管製のスリーブ材をあらかじめ固定しておく。コンクリートが硬化した後にこのスリーブ材内部の空間を利用して配管を通す仕組みである。

構造体に穴を開ける行為は、その部分のコンクリート断面積を欠損させ、強度低下を招く。そのため、構造計算によって許容される範囲内の位置として梁の中央付近などに設けるとともに、開口周辺には「補強筋(ダイヤ筋、あばら筋など)」を密に配置して、応力集中によるひび割れや耐力低下を防ぐ措置を行う。また、スリーブと鉄筋の間隔(かぶり厚さ)が不足すると、コンクリートが充填されずジャンカ(豆板)などの施工不良につながるため、品質管理上のチェックが求められる。

鉄筋に固定された紙ボイドスリーブ

鉄骨造における工場加工とウェブ貫通

鉄骨造(S造)においては、梁(H形鋼)のウェブ部分(垂直の板状部分)にスリーブを設けるのが一般的である。これは、現場で穴を開けるのではなく、鉄骨製作工場での加工段階で開口を行う必要がある。鉄骨梁の上下フランジは曲げモーメントを負担する主要部分であるため原則として穴を開けることはできず、せん断力を負担するウェブ部分に、補強リング(スリーブ補強)を溶接した上で開口を設ける。

したがって、鉄骨が現場に搬入される数ヶ月前の「施工図承認」の段階で、全ての配管ルートとスリーブ位置を確定させなければならない。搬入後に「穴が足りない」と判明しても、現場でのガス溶断による穴あけは、熱による母材の変質や応力集中を招くため、構造設計上、原則として禁止されている。結果として、梁を貫通できないことにより梁下に設備配管類を施工することになり、意匠上「天井を下げないと配管が納まらない」という事態を招くことになる。

コア抜きの判断と構造的リスク

スリーブの入れ忘れ(施工漏れ)や位置間違いが発生した場合や、改修工事などですでに壁や床が施工されている状態では、硬化した状態の床や壁コンクリートをダイヤモンドドリルで円筒状に削孔する「コア抜き」を検討することになる。適切な補強を伴わないコア抜きは、建物の寿命を縮める危険な行為であるため、構造強度を著しく低下させない構造検証が求められる。

無計画なコア抜きは、コンクリート内部の主筋(メインの鉄筋)や配力筋を切断してしまうリスクが極めて高い。鉄筋が切断されると、その部材の引張強度が失われるだけでなく、錆の発生源となり耐久性が著しく低下する。

やむを得ず後施工アンカーや小径の貫通を行う場合は、レントゲン探査(X線)や電磁波レーダー探査を行い、鉄筋の位置を特定して干渉を避ける処置を行わなければならない。しかし、構造耐力壁や大梁へのコア抜きは、たとえ鉄筋を避けたとしても耐力低下が懸念されるため、行わないよう事前のスリーブ計画を徹底すべきである。

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