電気設備の知識と技術 サイトロゴ

🏠 電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 増幅器(ブースター)

増幅器(ブースター)

伝送損失の補償と信号品質

増幅器は、テレビ受信アンテナで捉えた放送信号を電気的に増幅し、同軸ケーブルの伝送損失や、分配器・分岐器による挿入損失を補償するための機器である。ブースターとも呼ばれる。

テレビ共聴設備において、アンテナから末端のテレビ端子までの距離が長い場合や、多数の部屋へ分配する場合、信号レベルは物理的特性に従って減衰する。受信レベルが低下すると、地上デジタル放送ではブロックノイズが発生し、最悪の場合は受信不能(ブラックアウト)となる。増幅器は、この減衰分を見込んであらかじめ信号レベルを持ち上げ、システム全体のレベルダイヤグラムを適正に維持するために不可欠な機器である。

S/N比と設置位置の重要性

増幅器の選定と設置において最も重要な概念は「S/N比(信号対雑音比)」である。増幅器は入力された電気信号を忠実に拡大する装置であるが、信号(Signal)だけでなく、同時に混入しているノイズ(Noise)も等しく増幅してしまう特性を持つ。

したがって、C/N比の悪化を起こしている微弱な信号を増幅しても、画質は改善されないどころか、増幅器内部で発生する熱雑音が加わり、品質はさらに悪化する。これを防ぐため、増幅器は可能な限り「アンテナの直下」に設置し、ノイズが混入する前の純度の高い信号を増幅するのが鉄則である。アンテナから離れた場所で減衰した信号を増幅しても、S/N比は回復しない。

定格出力と利得調整

増幅器には、性能を示す指標として「利得(ゲイン)」と「定格出力レベル」がある。利得は入力信号を何dB持ち上げられるかを示す値であり、定格出力レベルは歪みなく出力できる上限値を示す。

「利得が高ければ高いほど良い」ということはなく、出力レベルが定格を超えると、信号波形が歪み、複数のチャンネル同士が干渉する「相互変調」が発生する。デジタルの場合、これは致命的なビット誤り率の増加につながり、画面がフリーズする原因となる。施工時には、レベルチェッカーを用いて入力レベルを測定し、内蔵のアッテネーター(減衰器)や利得調整ボリュームを操作して、定格出力範囲内に収める調整作業が求められる。

周波数帯域と4K・8K対応

増幅器は、増幅対象となる周波数帯域に応じて選定する必要がある。地上デジタル放送(UHF)、BS・110度CS放送、FM放送など、それぞれの周波数帯に対応した機種を用いる。かつてのアナログ放送時代や初期のBSデジタル対応品は、周波数帯域の上限が2150MHzや2600MHzであったが、現在の新4K・8K衛星放送は3224MHzまでの広帯域を使用する。

古い増幅器をそのまま使用すると、この高い周波数帯域がカットされてしまい、一部のチャンネルが受信できないトラブルとなる。改修工事においては、増幅器だけでなく、分配器や壁面テレビ端子も含めて3224MHz対応品(SHマーク付き製品など)へ更新する必要がある。また、この帯域はWi-Fi等の無線LAN電波と干渉しやすいため、シールド性能の高い高シールドタイプの増幅器を選定する。

電源供給と重畳方式

増幅器を動作させるためには電源が必要である。屋内用のラインブースターであればAC100Vコンセントから直接電源を取るものが多いが、屋根上やマストに取り付けるプリアンプ型の場合、電源配線を別途敷設するのは施工上困難である。

そのため、室内に設置した電源部(PS)から、信号線である同軸ケーブルにDC15Vの直流電気を乗せて送る「重畳給電方式」が一般的である。この際、電流通過型ではない分配器やテレビ端子が途中にあると電気が遮断され、増幅器が動作しないため、伝送経路上の機器はすべて電流通過型(通電型)で統一する。

関連ページ

テレビ共聴設備の計画

UHF・BS・CS対応ブースターの選び方|増幅器の種類と最適な活用法

テレビ信号を複数の部屋で使うために必要な分配器の選び方

エアコン室外機
電気の仕組み、発電所から家庭に送られる電気の流れ、直流と交流の違いなどを紹介。
風力発電
新エネルギーとして代表的な太陽光発電、風力発電、燃料電池や、排熱再利用など。
ライティングレールに取り付けられたスポットライト
照明設計の基礎知識、実務における応用、電球の特徴と選定方法などの照明設計。
分電盤の測定写真
電気計算の基礎となる幹線設計やケーブルの選定方法、配線器具の計画、電線管の種類と使い分け。
設備時計
電話、LAN、テレビ共聴、構内通信、電気時計など、弱電設備の設計や計画について。
ボックスに収容されたケーブル
電力ケーブル、通信ケーブル、光ファイバーなど数多く存在するケーブルの特徴を解説。
柱上に取り付けられた変圧器と電線
受変電設備の設計、各種保護装置の選定方法、受変電設備を構成する保護リレーの種類と整定方法など。
誘導標識
非常用照明、誘導灯、自火報、非常用発電機、防災用蓄電池など、災害発生時に使用する防災設備を学ぶ。
机の上に置かれた辞書
電気設備の関連業務を行うにあたり、必要と考えられる各種資格について学ぶ。
自然をイメージした植栽
カーボンニュートラルを達成し、二酸化炭素の排出を削減と吸収の技術について解説。
辞書を見る人
電気設備で使用される機器、材料、技術、指標や単位を解説したオンライン電気設備用語辞典。
計算機を操作する人
電気設備設計で用いられることの多い計算ツールを公開。
プライバシーポリシー
サイトを閲覧するための表示環境、公開情報に対する免責事項、閲覧時のプライバシーポリシーについて。