残置灯
防犯と保安を担う夜間照明
残置灯は、百貨店、オフィスビル、店舗などの営業時間終了後、または夜間無人となる時間帯において、防犯・保安・避難の安全確保を目的として点灯させ続ける照明設備のことである。一般的には「常夜灯」とも呼ばれる。
真っ暗な状態では不審者の侵入や破壊行為を誘発するリスクが高まるほか、火災発生時の発見が遅れる原因ともなる。そのため、建物内部を見通せる程度の最低限の照度(数ルクス〜数十ルクス)を確保し、外部からの視認性を維持することで犯罪抑止効果を高める役割を担う。
また、ショーウィンドウ内の照明を残置灯として活用することで、夜間の広告効果と街路の明るさ確保(防犯)を兼ねる手法も一般的である。
自動点滅器とタイムスイッチによる制御
残置灯の制御には、人の手による操作を不要とする自動制御が採用される。基本的には、周囲の明るさを検知して点灯・消灯を行う自動点滅器(EEスイッチ)を用いるか、設定した時刻に合わせてオンオフするタイムスイッチを使用する。あるいは、これらを組み合わせて「暗くなったら点灯し、深夜0時に消灯する」といったAND/OR制御回路を組むこともある。
分電盤の設計においては、一般照明回路とは明確に区分し、主幹ブレーカーを落としても残置灯回路だけは活きるように「残置回路」として別系統にするか、あるいは管理用ブレーカーのみを独立させる設計が必要である。これにより、清掃業者や警備員が一括スイッチを操作しても、保安上の明かりが消えないよう配慮されている。
LED化によるランニングコストの低減
かつては水銀灯や蛍光灯が用いられていたが、近年では消費電力が少なく長寿命なLED照明が主流となっている。残置灯は年間点灯時間が約4,000時間(1日11時間点灯として)にも及ぶため、LED化による電気代削減効果は極めて大きい。
また、LEDは紫外線放射が少ないため、夜間の点灯でも虫が寄り付きにくく、器具の汚れや清掃頻度を低減できるメリットもある。さらに、調光機能を備えたLED器具を採用することで、深夜帯は照度を落として省エネを図るといった柔軟な運用も可能である。
電力契約における「公衆街路灯」の適用区分
残置灯の電気料金契約には注意が必要である。敷地内の私的な防犯灯であれば、通常の「従量電灯」や「動力」契約の一部として扱われるが、その照明が「公衆のために供される」ものである場合、電力会社との協議により「公衆街路灯契約(定額制)」や、それに準ずる低廉なメニューを適用できる場合がある。
ただし、単なる看板照明や広告灯は対象外である。適用される条件としては、「不特定多数の通行がある私道や通路を照らしていること」「防犯・交通安全上の公益性があること」などが求められる。公衆街路灯A(定額)契約が認められれば、メーターを通さず、器具の容量に応じた一定料金となるため、特に長時間点灯させる残置灯においては大幅なコストメリットを享受できる可能性がある。
防犯灯の設置基準の詳細については防犯灯の設置基準を参照。












