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漏洩電流

本来流れてはならない、電路以外に流れる電流のこと。絶縁体の内部や表面を通じ、線間や大地間に流出する電流であり、通信機器は半導体機器のノイズの原因となったり、人体を通過すれば感電を引き起こすため、漏洩電流は小さく抑えなければならない。

電路の健全性を保つためには、大地に流れる電流を限りなく小さくすることが求められる。低圧電路においては、常に大地に流れる漏洩電流を「1mA以下」に保つことが電気設備技術基準によって規定されている。漏洩によって発生する火災や感電に対する保護を定めており、電路の絶縁性能が損傷や経年劣化によって低下すれば、漏洩電流はさらに大きくなる。

電路は原則として絶縁されていなければならないが、電路の損傷や経年劣化によって絶縁性能が悪くなり、経年とともに漏電が大きくなっていくことがあるため、絶縁抵抗測定などを定期的に行い、電路の絶縁性能を確認しなければならない。

漏洩電流は、30mAを超過すると危険であり、人体を通過する電流が100mAを超過するようなことがあれば、心室細動など重篤な被害を引き起こすため、人体や家畜などを漏電による感電から保護するために、15~30mAの高速形の漏電遮断器が設けられる。

半導体回路や通信回路においては、大きな漏洩電流が常時発生することがある。通信機器の半導体機器では、ノイズフィルターを設けてノイズを大地に流すことで機器の安定稼働を図る設計が多々行われているが、これによって発生する電流は地絡と違い、安定した動作を目的とする漏洩電流である。接地系統にノイズフィルター等を接続し、微弱な電流を大地に逃がすという措置は、広く一般的に行われており、これは地絡と区別しなければならない。

抵抗成分とコンデンサ成分による漏洩電流の違い

ノイズの発生が多い電路系統では、大地間に対地静電容量による漏洩電流が付加されることになり、事故が発生していなくてもZCTに流れる電流値に差異を生じ、電路保護用の漏電遮断器や漏電警報器を動作させてしまうことがある。

静電容量分が含まれる系統では正確な測定が困難であることから「対地絶縁抵抗分(抵抗成分)」と「対地静電容量分(コンデンサ成分)」を区分し、火災や感電につながる「地絡」に対する対策を行うのが重要となる。最近の絶縁監視装置では、抵抗成分とコンデンサ成分を機器内で判別し、ノイズフィルターなどが多数系統であっても、事故につながる抵抗成分のみを有効に判別できるという特徴を持つ。

抵抗成分とコンデンサ成分を測定する「絶縁監視装置」については絶縁抵抗の基準と絶縁破壊・絶縁監視装置を参照。

 
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