ラジアスクランプ
ラジアスクランプは、金属管工事において鋼製アウトレットボックスと金属製電線管との間で電気的な連続性を確保し、確実な接地(アース)をとるために使用される専用の接地金具である。電気設備においては、万が一の漏電時に感電や火災といった重大事故を防ぐため、金属製の筐体や管路全体を大地と同電位にする接地工事が法令によって義務付けられている。
金属管工事において、管とアウトレットボックスの接続部がロックナットのみで固定されている場合、振動や経年劣化による緩みなどにより、電気的な接続が不十分になるおそれがある。その間を「ボンド線(接地用の導線)」で物理的に橋渡し接続することで、確実な接地の連続性が担保される。このボンド線を電線管側に強固かつ容易に固定するための重要な部材がラジアスクランプである。
無酸素銅による高い導電性と物理的な構造
ラジアスクランプと金属管は、広い接触面積を持って接続されるため、電気抵抗が低く、品質の高く安定したD種接地工事が可能となる。クランプの本体材質には、電気伝導性を極限まで高めるための「無酸素銅」が採用されているのが一般的である。無酸素銅は酸化物を含まないため経年劣化や腐食に強く、長期間にわたって安定した導通状態を維持できる。
薄い銅板で成形されているため非常に柔軟であり、ウォーターポンププライヤーなどの汎用工具を用いることで、電線管の曲面に合わせて容易に湾曲させることができる。配管の表面塗装を広範囲に剥がすといった手間をかけずとも、クランプを管に巻き付けて適切に締め付けるだけで、強固な電気的接続が完了するという優れた施工性を持っている。
確実な固定のための施工手順と仕組み
ラジアスクランプを用いてボンド線を接続する際は、接触不良や線の抜け落ちを防ぐための標準的な施工手順が存在する。
- 接地線の折り返し:ラジアスクランプの内側に接地線(ボンド線)を挟み込む際、線の端をペンチ等で折り返し、2重または3重にして意図的に厚みを作る。これにより、クランプ内で線が滑って抜け落ちるのを物理的に防ぐ。
- 巻き付けと密着:クランプの中央にある膨らんだ部分にボンド線をあてがい、電線管に巻き付ける。このとき、隙間ができないよう指先や工具を使って管にしっかりと密着させる。
- プライヤーによる本締め:両端を指で寄せて固定した後、噛み合わせた上からウォーターポンププライヤーを用いて、電線管との隙間が完全になくなるように強く挟み込んで圧着する。
固定後のラジアスクランプの端部は、他への干渉を防ぐため電線管に締め付けられる方向に倒して馴染ませると良い。ただし、ハンマーなどで強く叩いて倒すと、その衝撃で圧着した接地線が外れるおそれがあるため、丁寧な取り扱いが求められる。
塗装面への対応と施工タイミング
建築現場において、露出配管の見栄えを良くするために金属管に塗装が施される事例は多い。ラジアスクランプの端部には小さな突起が設けられており、管を締め付ける際にこの突起が被膜を突き破り、金属素地に直接触れて導通する構造となっている。
完全に硬化する前の塗装程度であれば、この突起が容易に貫通して確実な電気的接続を確保できる。しかし、エポキシ樹脂塗料などで厚塗りされ、完全に硬化してしまった強固な塗装面では、突起が素地まで到達できず接触不良を引き起こすことが考えられる。そのため、ラジアスクランプを取り付ける場合は、配管の塗装前、あるいは塗装が完全に硬化する前に施工を完了させるのが良い。
適合する接地線の種類とシールド接地への応用
ラジアスクランプに接続できる電線の範囲は広く、設計要件に応じた柔軟な対応が可能である。一般的に用いられる1.6mmや2.0mmといった単線のほか、より大きな事故電流に対応するための5.5sqから38sqといった太いより線であっても、確実な接続が可能となっている。
また、金属電線管の接地目的だけでなく、計装ケーブルや通信ケーブルのノイズ対策として行われる「シールド接地」に用いることができる製品も存在する。これらは、ケーブルの遮へい層(シールドメッシュや銅テープ)の外径サイズに合わせて接続することが可能であり、対象物の太さに応じて適切なクランプを選定することで、確実なノイズ処理と接地回路の構築が実現できる。












