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汚染者負担の原則

汚染者負担の原則とは、環境を汚染する行為を行った者が、その汚染によって生じる負の費用となる(環境コスト)を自らの経済活動のコストとして負担すべきである、という考え方である。

この原則は、環境政策における公平性(公正な負担)と効率性(適切な資源配分)を同時に追求するもので、現代の環境法の根幹を成す重要な考え方となっている。

原則の成り立ちと目的

汚染者負担の原則は、1972年にOECD(経済協力開発機構)によって「環境政策の国際的経済側面に関する指導原則」として提唱されたもので、主たる目的は、環境対策に要する費用を誰が負担するかを明確にすることである。

企業活動などの経済主体が環境に与える負荷は「外部コスト」と呼ばれ、これまでは社会全体が負担していた。このコストを汚染者自身の「内部コスト」として認識させ、製品価格などに反映させることを求める。

コスト負担の明確化により、企業は自発的に汚染物質の排出削減や環境負荷の少ない技術開発に取り組む動機付けを得る。これにより、環境資源の効率的な利用が促進される。

各国が異なる環境政策を採用すると、環境対策費用の負担がない国が不当に競争優位に立つ可能性がある。汚染者負担の原則は、全ての国で汚染者が費用を負担するという共通のルールを設けることで、国際貿易上の競争条件の歪みを回避する役割も担っている。

日本における展開と公害対策

日本は高度経済成長期に深刻な公害問題を経験したため、この考え方は重要視されてきた歴史がある。日本の法体系においては単なる公害防止費用に留まらず、被害者救済や損害賠償といったより広範な責任概念として定着している点に特徴がある。

汚染者負担の原則に基づき「公害健康被害の補償等に関する法律」が制定された。これは、特定の地域で発生した公害病患者の医療費や補償費用を、原因企業が負担するという画期的な仕組みであった。公害健康被害補償制度とも呼ばれる。

水俣病やイタイイタイ病などの四大公害裁判では、民法第709条の不法行為責任に基づき汚染企業に多額の損害賠償が命じられた。これも広義には汚染者負担が原則となっている適用例である。

現代的な課題・拡大生産者責任と循環型社会

汚染者負担の原則は、時代の変化と共に進化している。製品の使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで含めたライフサイクル全体での環境負荷が問題となっている。拡大生産者責任とも呼ばれるが、製造事業者がその製品の廃棄後の処理やリサイクルの責任まで負うべきだとする考え方であり、汚染社負担の原則の現代的な拡大適用例である。

家電リサイクル法、容器包装リサイクル法、自動車リサイクル法など、日本国内にも拡大生産者責任に基づく多くの法律が存在する。これにより、消費者はリサイクル費用の一部を負担し、事業者は回収・処理の仕組みを提供している。

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