布巻きコード
意匠性とアンティーク照明への適用
布巻きコードは、絶縁電線の表面をレーヨン、綿、ポリエステルなどの繊維で編み込んだ外装を持つ電線である。特に、2本の電線をより合わせた「ツイストコード(より合わせコード)」は、長期間使い込んだような意匠性を持つ化粧用ツイストコードのひとつで、アンティーク調のペンダントライトやスタンド照明の電源コードとして多用される。
一般的なビニルキャブタイヤケーブル(VCTF)は、機能的ではあるが無機質な外観となるため、真鍮やガラスを用いた意匠性の高い照明器具には不釣り合いとなる場合がある。布巻きコードは、その質感や色彩の豊富さから、コード自体をデザインの一部として「見せる配線」にする場合に適している。ただし、吊り下げ照明に使用する場合は、器具の重量がコードにかかるため、内部に補強糸が入ったものや、十分な許容荷重を持つチェーンを併用するなどの対策を講じることが望ましい。
熱機器用「袋打ちコード」の耐熱構造
電気こたつ、電気アイロン、電気あんかなど、筐体が高温になる電熱器具への電源供給には、特有の強度と耐熱性を持つ「袋打ちコード」が使用される。これは、導体の上にゴム絶縁を施し、その外側を繊維編組で二重に被覆した構造を持つ。
ビニルコードは熱可塑性樹脂であるため、高温のアイロン面に接触すると容易に溶融し、ショートや感電事故を引き起こすリスクがある。対して袋打ちコードは、熱に強いゴム絶縁体と、断熱効果のある綿や化学繊維の編組を組み合わせることで、万が一高温部に触れても即座に溶融しない耐熱性を確保している。また、移動しながら使用されることが多いため、柔軟性と耐屈曲性にも優れている。
内部構造と絶縁材料の特性
本格的な袋打ちコードの内部構造は、導体を紙テープや綿糸で横巻きにして保護し、その上から天然ゴムや合成ゴム混合物で絶縁を施している。さらに、絶縁体の上には「下打編組」が施され、最外層の「外部編組」には防湿コンパウンドを含浸させて仕上げることで、滑らかな手触りと毛羽立ち防止、および防湿性を実現している。
このような多層構造により、機械的な衝撃や摩擦に対する耐久性が高く、人が頻繁に触れる場所や、床を引きずって使用する環境でも絶縁性能を維持しやすい。ただし、ゴム絶縁体は経年変化により硬化し、ひび割れ(クラック)が生じやすいため、定期的な点検が必要である。
端末処理と電気用品安全法(PSE)への適合
布巻きコードを施工する際の難点は、切断時の「ほつれ」である。ニッパーで切断した瞬間に繊維が解けてしまうため、切断箇所にあらかじめビニルテープや熱収縮チューブを巻いて固定してから切断を行うなどの処置が必要となる。
また、海外製のアンティーク照明器具を日本国内で販売・設置する場合、付属している布巻きコードが日本の電気用品安全法(PSE)の技術基準に適合していないケースが散見される。海外規格のコードは、芯線の太さや絶縁性能が国内基準を満たさない場合があるため、国内で流通しているPSEマーク付きの布巻きコードに交換するか、適合性検査を経た製品を使用しなければならない。












