認定キュービクル
消防庁告示基準に適合した防災用設備
認定キュービクルとは、消防庁告示第7号(受変電設備)および第8号(自家発電設備・蓄電池設備)に基づく基準に適合し、指定認定機関(日本電気協会など)による厳格な審査・試験に合格したキュービクル式設備の総称である。正式には「消防庁告示適合認定品」と呼ばれる。
これらの設備は、筐体の耐火性能や内部機器の耐熱性が保証されており、スプリンクラー設備、屋内消火栓、排煙設備といった「防災負荷」へ電源を供給する非常電源専用受変電設備として使用することが認められている。認定品には、その証として「認定銘板(ラベル)」が貼り付けられており、消防検査の簡素化が可能となる。
保有距離の緩和と設置条件
通常のキュービクル(一般品)を屋外に設置する場合、建築物からの火災の延焼を防ぐため、建築物(開口部や可燃性の壁)から「3メートル以上」の保有距離(離隔距離)を確保するか、あるいは不燃材料で作られた専用の区画(不燃室)に収容することが消防法および市町村の火災予防条例により義務付けられている。
しかし、認定キュービクルは筐体自体が高い防火性能(不燃性・遮炎性)を有しているとみなされるため、この「3メートル以上の離隔距離」が緩和される。これにより、敷地に余裕のない都市部のビルや、屋上スペースが限られた建築計画において、壁面に近接して設置することが可能となり、スペース効率の向上に大きく寄与する。
構造要件と耐火性能
認定を受けるためには、一般的なJIS規格(JIS C 4620)に加え、以下のような構造要件を満たす必要がある。一部を紹介する。
- 外箱の材質と厚み:鋼板製とし、屋根や扉を含めて規定以上の厚み(通常2.3mm以上など)を確保する。
- 換気口の防火措置:通気口には、火災時の熱(通常72℃ヒューズ連動)で自動閉鎖する防火ダンパーを設けるか、または金網(メッシュ)による火の粉侵入防止措置を講じる。
- 配線導入部の防火:ケーブル導入部には防火区画貫通処理材(耐火パテ等)を使用し、延焼防止措置を施す。
改造禁止と認定の失効
実務運用上で最も注意を要するのが「改造の制限」である。認定キュービクルは、収納されている遮断器(VCB/LBS)、変圧器、コンデンサ、配線材料、そして外箱の構造に至るまで、全てが「セット」で型式認定を受けている。
したがって、故障時の修理や更新において、認定時と異なるメーカーの機器や、異なる型番の部品へ交換した場合、あるいは内部レイアウトを変更した場合は「認定失効」となる。一度認定が失効すると、それは単なる「一般キュービクル」として扱われることになる。
そのため、前述の「保有距離(3m)」の確保が遡って求められることになり、消防法違反(既存不適格などではない違反状態)を引き起こすリスクがある。部品交換時は必ず同一型式品を選定するか、認定機関への変更申請が可能な範囲内であることを確認しなければならない。












