熱主電従
コージェネレーションシステムの運転方式で、熱負荷を主として発電機の運転制御を行い、発生した電力量を制御せずに利用する方式。コージェネレーションシステム(熱電併給システム)における代表的な運転制御方式の一つである。熱の制御が優先されるため、電力量は熱の利用が多ければ比例して多くなり、熱を必要としなければ発電能力も小さくなる。
システムから発生する「熱」の需要を最優先し、その熱負荷に基づいて発電機の運転を制御する。副次的に得られる「電気」は、熱の発生量に応じて供給される従属的なものとして扱われる。
運転原理と特徴
熱主電従方式では、施設が必要とする給湯、暖房、冷房、あるいは産業用蒸気といった熱エネルギーの量に応じて、ガスタービンやガスエンジンといった原動機の稼働状況が決定される。熱需要が高まれば発電量が比例して増大し、逆に熱需要が減少すれば発電量も絞られる。
例えば「温水プール」や「大浴場」といった多量の温水が必要となる用途においては、熱の利用が主目的となるため、保温や昇温といった熱供給を目的としてコージェネレーションシステムが運転される。発生する電力は熱の副産物となり、電力生成に対しての制御は行われていない。
この運用方法は「熱主電従」として扱われる。対して、電力を優先して制御する発電主体の運用方法は「電主熱従」と呼ばれ、データセンターや商業施設など電気利用が常に大きく支配的な場合に採用される。安定的な電力供給が目的であり、熱利用を主体としない運用として採用される。
温水プールや大浴場といった用途のほか、下記のように多様な用途で、熱主電従の運用が用いられる。
- 空調、給湯、滅菌用の蒸気など、24時間体制で大量の熱を必要とする病院
- 給湯や空調の需要が大きく、安定しているホテル
- 製造プロセスにおいて特定の温度の蒸気や温水を継続的に使用する工場
電主熱従、熱主電従の考え方や、コージェネレーションシステムの仕組みについてはコージェネレーションシステムの仕組みを参照。












