電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 鉛蓄電池
陽極に二酸化鉛(PbO2)、陰極に鉛(Pb)、電解液に希硫酸(H2SO4)を使用した蓄電池で、鉛と硫酸の化学反応によって電気を蓄える。鉛はコストが安く、かつ大電流が取り出せることから、建築用、自動車用など極めて広い普及率を誇っている。
電気設備分野では、防災用蓄電池やUPSなど、非常時の電力供給用として普及している。鉛蓄電池は放電によって硫酸塩が生成されるが、蓄電池に対して電圧を印加すると、逆の反応によって鉛と二酸化鉛に戻るため、充電・放電を繰り返すことが可能となる。
蓄電池の充電は、全容量の1/10程度の電流でゆっくりと充電すると、期待寿命の劣化を最小限に留められる。高電圧を印加して、急速に充電することも原理的には可能だが、ガスの異常発生による膨張により、容器が破損することがあるため、適合した充電器以外での充電は禁止事項となる。
鉛は環境負荷が高く、硫酸は取扱における危険が高いことから、近年では完全密閉型の鉛蓄電池が普及している。従来から使われている鉛蓄電池は、化学反応に応じて水分が失われるために定期的な補水が必要なものがあるが、密閉型の蓄電池であれば保水は必要なく、長期間の使用に耐えるが、開放型よりも高価である。
鉛蓄電池からの発生電圧は、1セルあたり2Vであり、直列に接続することで100Vなど大きな電圧を確保できる。
鉛蓄電池、アルカリ蓄電池など、電気設備分野における蓄電池設備の種類や設計方法については蓄電池設備の設置基準と容量計算を参照。
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