電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > モーターブレーカー
電動機の保護を目的とした配線用遮断器で、動作特性が電動機の保護に適しており、電動機の始動電流で動作しないようになっている配線用遮断器のひとつ。モーターブレーカーは汎用の配線用遮断器(安全ブレーカー・ノーヒューズブレーカー)と違い、電動機の始動時に発生する大きな電流である「始動電流」でトリップしないよう、ブレーカーの遮断特性を電動機の電流特性に最適化しているという特徴を持つ。
電動機は運転開始時に大きな電流が流れるという特性があるため、汎用の配線用遮断器を使用する場合、定格電流よりも大きな製品を選定し、過電流保護はサーマルリレーと電磁接触器を組み合わせた保護装置で行うのが一般的だが、モーターブレーカーを使用することで、サーマルリレーと電磁接触器を省略し、ブレーカーのみで電動機が保護できるため、コストダウンを図ることができるという利点がある。
モーターブレーカーを選定する場合、ブレーカーの「定格容量」と「定格電流」を保護対象の電動機容量に合わせるという簡易な手法で計画できる。高効率電動機をモーターブレーカーで保護する場合、汎用電動機をモーターブレーカーで保護する場合と電流特性が違うため、同じ選定方法をすると保護できないことがあるため注意を要する。かつ、保護対象の電動機の種類によっても若干の違いがあるため、モーターブレーカーの定格電流が、モーターを保護可能な範囲となっているか十分に検討しなければならない。
本来、始動時の動作特性曲線がモーター熱特性を下回るように選定するのが保護協調の基本であり、単純に電動機容量で選定するのではなく、始動電流や全負荷電流を考慮して、保護協調を計画するのが原則である。モーターブレーカーは電流値の微調整が不可能なので、保護が困難であればモーターブレーカーではなくサーマルリレーを用いた過電流保護を行うのが望ましい。
配線用遮断器の仕様や特性については配線用遮断器・漏電遮断器の機能と選定を参照。
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