免震構造
免震構造のメカニズムと特徴
免震構造とは、建物と地盤(基礎)の間に積層ゴムやスライディング支承といった「免震装置(アイソレータ)」を介在させ、物理的に絶縁することで、地震エネルギーが建物へ直接伝わるのを防ぐ建築構造である。
耐震構造が「建物を硬く丈夫にして地震に耐える」のに対し、免震構造は「揺れを逃がして衝撃を緩和する」点に特徴がある。これにより、建物自体の損傷を防ぐだけでなく、室内の家具転倒や設備機器の破損リスクを劇的に低減できるため、病院、データセンター、防災拠点などで積極的に採用されている。また、建物や家財のリスクが低いと評価されるため、地震保険料の割引適用を受けられるメリットもある。
電気設備における「変位追従」の重要性
免震建物は、地震発生時に地盤に対して水平方向に数十センチメートル、ゆっくりと移動することで揺れを吸収する。そのため、地球側から建物側(免震対象建物)へと引き込まれる電気配線や配管には、この相対変位に追従できる柔軟性を持たせなければならない。
もし対策を行わずに配線すると、地震時にケーブルが引っ張られて断線し、電力供給が途絶える重大な事故につながる。これを防ぐため、免震層を渡る部分では以下のような施工を行う。
- 余長確保(ループ):ケーブルラック上でケーブルをS字やU字に余長を持たせて敷設し、建物が動いた際にケーブルが伸びきるのを防ぐ。
- 可とう管の使用:金属管や硬質ビニル管ではなく、柔軟性のある可とう電線管や、専用の免震継手を使用する。
機器免震とBCP対策
建物全体を免震化するコストがかけられない場合や、既存建物内の特定の資産を守りたい場合には、対象機器のみを免震化する手法が採られる。
企業の事業継続計画(BCP)の観点から、サーバーラック、精密検査装置、高価な生産ライン、美術品などを対象に、架台の下に小型の免震装置を設置する「床免震」や「機器免震」システムの導入事例が多い。これにより、建物自体が激しく揺れても、重要な機器だけは水平を保ち、転倒や機能不全による経済的損失を回避することが可能となる。












