マクリット表示器
キュービクルや制御盤に用いる表示ランプのひとつで、電磁反転作動方式による回転を利用して、状態表示を行う。表示部分が反転して状態表示を行うため、明るい屋外であっても「直射日光によって状態の判別がしにくい」という問題が解決できる。
LEDを内蔵することで、暗い場所での状態識別も可能となっている。ひとつの表示灯で、入・切・故障といった複数表示ができるため、盤表面スペースの削減が図れ、かつランプ個数を削減できることで消費電力の低減も同時に行える。
残留表示の機能を搭載した表示器を採用すれば、電源を喪失した瞬間に、どのような運転状態となっていたかを確認できるという利点がある。表示器本体は、一般的な表示ランプよりも高価であり、イニシャルコストは高い。
マクリット表示器の概要と原理
マクリット表示器とは、電磁石と永久磁石の磁気作用を利用して、内部の回転子(表示板)を機械的に反転させることで「入・切」などの状態を表示する器具のことである。一般的には「磁気反転表示灯」や「マグサイン」とも呼ばれる。
構造としては、例えば赤と緑、または蛍光色と黒など色の異なる2面の表示板を内蔵しており、コイルに電流を流すことで発生する磁界によって表示板を回転させ、表示色を切り替える仕組みとなっている。電気的な発光だけでなく、物理的な「板の色」で状態を示す点が特徴である。
直射日光下での圧倒的な視認性
マクリット表示器が屋外キュービクルや変電設備で採用される理由として、「ファントム点灯(疑似点灯)」の防止が挙げられる。
一般的なLEDランプや白熱電球の場合、強い直射日光が当たると、レンズ内部での乱反射により、点灯していないのに点灯しているように見えてしまうファントム現象が発生することがある。これは誤操作や誤認の原因となる。
マクリット表示器は物理的な「色のついた板」を表示しているため、周囲が明るければ明るいほど、コントラストがはっきりして見やすくなる。夜間は、補助光源として内蔵されたLEDが点灯することで視認性を確保するハイブリッド構造となっているものが一般的である。
停電時の記憶機能(自己保持特性)
マクリット表示器のもう一つの大きなメリットは、「メモリー機能(自己保持)」を有している点である。永久磁石の磁力によって表示位置を保持する構造のため、一度回転してしまえば、電源が断たれてもその表示状態を維持し続ける。
- 事故解明への寄与:全電源喪失(ブラックアウト)などの重大事故が発生した際、「電源が落ちる直前、遮断器は入っていたのか切れていたのか」という最後のステータスが物理的に残るため、事故原因の究明に役立つ。
- 省エネ効果:表示を切り替える瞬間(パルス電流)のみ電力を消費し、表示中は電力を消費しないため、常時点灯する方式に比べて消費電力を削減できる。
導入におけるコストと注意点
非常に信頼性の高い表示器であるが、導入にあたってはいくつかの留意点がある。一般的なLEDパイロットランプと比較して、可動機構を持つ精密機器であるため、製品単価は数倍から十倍近く高価となる。そのため、全ての表示灯に採用するのではなく、主遮断器(Main VCB)などの重要監視ポイントに限定して採用されることが多い。
また、制御方式が「連続通電」ではなく「パルス指令(ワンショット)」となる場合があるため、シーケンス回路の設計時に、接点構成や通電時間の仕様を十分に確認する必要がある。












