電気設備の知識と技術 サイトロゴ

🏠 電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 基底温度

基底温度

基底温度は、ケーブルが敷設される特定の環境下で、特に電流による発熱がない状態を想定した「基準となる温度」である。電力ケーブルの許容電流を算出する場合に使用する、ケーブルが敷設されている環境の周囲温度であり、周辺温度が高い場合は、ケーブルの温度上昇が加速することにより耐久性を小さく見積もって計算する必要がある。

電力ケーブルに電流が流れると、導体の持つ電気抵抗によりジュール熱が発生し、導体の温度上昇を伴う。所定の温度以上まで発熱すると、発火や発煙による焼損事故につながり、かつ周囲温度が高ければ、ケーブルからの放熱が困難になりケーブル許容温度までの余裕がなくなるため、許容電流を小さく設定して温度上昇を抑えている。

許容電流は周囲温度と密接な関係があり、ケーブルを敷設する環境の温度によって電流値の補正を行わなければならない。地中に直接埋設する場合は、土壌温度を基底温度として採用する。実際の周囲温度が基底温度よりも高い場合、ケーブルは熱を効果的に放熱できず、温度がより早く最高許容温度に達してしまう。そのため、安全のために流せる電流値を低減しなければならない。

例えば、基底温度30℃基準のケーブルや電線を、周囲温度40℃の場所で使用する場合、電流減少係数を乗じて許容電流を計算し直すというように運用する。通常、気中や暗渠では周囲温度40℃、地中埋設では25℃を基準として算出すると良い。

空調が常時運用されているような場所で、温度管理が徹底されており、常に低い温度が保たれる室内であれば、放熱性能が高くなるため、許容電流を大きく設定するといった計画も可能となる。ただし、天井裏などを主体に敷設されている場合は空調の効果を得られないため注意を要する。

なお地中埋設の場合、基底温度(地中温度)だけでなく、土壌の「熱抵抗率」が影響する。土が乾燥していたり、砂利質であったりすると、熱伝導率が悪く熱が逃げにくくなる。

許容電流の計算方法や、基底温度の考え方の詳細については電線・ケーブルの許容電流を参照。

エアコン室外機
電気の仕組み、発電所から家庭に送られる電気の流れ、直流と交流の違いなどを紹介。
風力発電
新エネルギーとして代表的な太陽光発電、風力発電、燃料電池や、排熱再利用など。
ライティングレールに取り付けられたスポットライト
照明設計の基礎知識、実務における応用、電球の特徴と選定方法などの照明設計。
分電盤の測定写真
電気計算の基礎となる幹線設計やケーブルの選定方法、配線器具の計画、電線管の種類と使い分け。
設備時計
電話、LAN、テレビ共聴、構内通信、電気時計など、弱電設備の設計や計画について。
ボックスに収容されたケーブル
電力ケーブル、通信ケーブル、光ファイバーなど数多く存在するケーブルの特徴を解説。
柱上に取り付けられた変圧器と電線
受変電設備の設計、各種保護装置の選定方法、受変電設備を構成する保護リレーの種類と整定方法など。
誘導標識
非常用照明、誘導灯、自火報、非常用発電機、防災用蓄電池など、災害発生時に使用する防災設備を学ぶ。
机の上に置かれた辞書
電気設備の関連業務を行うにあたり、必要と考えられる各種資格について学ぶ。
自然をイメージした植栽
カーボンニュートラルを達成し、二酸化炭素の排出を削減と吸収の技術について解説。
辞書を見る人
電気設備で使用される機器、材料、技術、指標や単位を解説したオンライン電気設備用語辞典。
計算機を操作する人
電気設備設計で用いられることの多い計算ツールを公開。
プライバシーポリシー
サイトを閲覧するための表示環境、公開情報に対する免責事項、閲覧時のプライバシーポリシーについて。