機械警備

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機械警備

建物の防犯設備として、センサーを主体とした警備機器を用いることで、警備を無人化したシステムの総称である。警備員を常時配置するのではなく、各種センサーを要所に配置し、そのセンサーが検知した内容を信号として警備センターなどに移報し、所定の時間以内に警備員が駆けつけたり、警察機関に通報したりという機能を持つ。110番通報装置といったものも存在する。

なお、電気設備分野においては、カードリーダーを用いた入退室管理や、監視カメラによる録画、自動火災報知設備による火災検出は、機械警備に含まないのが一般的である。

設置するセンサーには、磁石の接触状態を監視して窓や扉の開閉を検出する「マグネットセンサー」や、ガラスの破壊音を検出する「ガラス破壊センサー」、人体の赤外線を検出する「熱線センサー」などを用いて、必要場所の警戒を行う。警戒の対象に適合したセンサーを駆使して、防犯上重要な場所を監視する。

機械警備システムは、異常事態が発生したことを検出する「受け身の設備」であり、犯罪抑止のための威嚇や抑止効果を狙う性質のものではない。監視されていることを知らしめるために、わかりやすい位置にカメラを設けるといった心理的な面も考慮しつつ、防犯設備を計画することが望まれる。

建物への侵入や外装・ガラス等の破壊被害を受けた後に、その被害拡大を抑えるという目的に使用されるのが原則なので、早急に人の手で確認を行う必要がある。センサーが検出した異常警報は、常時人がいる施設であれば施設内の防災センターや守衛室、管理室といった場所に表示していち早く常駐の施設管理員に通報するほか、警備業務を外部委託しているのであれば、委託先の警備システムにも同時に伝送して、委託先の警備員を発報場所に派遣するといった管理も行われている。

これらセンサーの発報時、誰がそのセンサーを作動させたかを記録するために、ITVカメラを併用しておくことが望ましい。ITVカメラにより、24時間連続録画で、7日以上の録画を繰り返す設定にしておくと、事件発生時に警察機関に監視画像を提出するといった対応も可能となる。

都心部であれば、25分以内に警備員が派遣されるのが一般的であり、高い防犯性能を維持している。

誤検出を防ぐ配置計画

機械警備は、誤検出が発生しないよう綿密な計画が必要である。日常的に開け閉めが行われ、警備セットを行うタイミングがない扉にマグネットセンサーを設けても効果がない。大型トラックやトレーラーなどの重車両が頻繁に通る場所に振動センサーを設けてしまうと、誤検出が多くなり本来の機能を発揮できない。光軸センサーは、新聞紙や落ち葉などで光軸が途切れた場合でも発報すること考えられる。

異常警報はを警備会社に自動的に移報し、警備員を派遣する契約をしている場合、派遣1回あたりのコストが発生することもある。誤検出が多いと、警備費に多額のコストが発生することも考えられる。誤検出が発生しないような配置計画を行う必要がある。

各種センサー類の警備をセット状態にして、忘れ物を取りに中に入ったといったような人為的なミスでも、警報が発報すれば警備員の駆け付けとなるため、誤報を繰り返すような場合は機械警備計画そのものを見直さなければならないこともある。

入退室管理設備など、総合的なセキュリティ設備の設計手法や詳細についてはセキュリティ・入退室管理・防犯設備の基礎知識を参照。

 
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