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ケーブルハンガー

ケーブルハンガーの概要と力学的役割

ケーブルハンガーは、架空配線や建屋内の天井裏配線において、ケーブルの自重を支持線(メッセンジャーワイヤー)や吊りボルト等の構造材に伝達・分散させるための支持金物である。

電力ケーブルや通信ケーブルは、導体と絶縁被覆で構成されており、長期間にわたり自身の重量を支える引張強度は有していない。ハンガーを用いずに長距離敷設したり、支持間隔を広げすぎたりすると、ケーブル自重による垂れ下がりが進行し、被覆の亀裂や断線、端末接続部への過度な張力集中を招く。ケーブルハンガーは、これら物理的ストレスからケーブルを解放し、電気的性能を維持するために不可欠な部材である。

屋内・屋外における工法の違い

設置環境により、選定すべきハンガーの材質と施工法は明確に異なる。

  • 屋外架空配線:
    メッセンジャーワイヤーに、ステンレス製や樹脂被覆鋼線製のハンガーを等間隔(通常300mm~500mm程度)で固定する。風圧荷重や氷雪荷重に耐える強度と、紫外線や塩害に対する耐候性が要求される。
  • 屋内天井裏配線:
    ケーブルラックを敷設するほどではない小規模な幹線や、多数のVVFケーブルを配線する場合に多用される。全ネジボルトにワンタッチで固定できる製品が主流であり、施工性が高い。ただし、ハンガー1個にケーブルを束ねすぎると、放熱阻害による許容電流低下(電流低減係数の悪化)を招くため、回路ごとの分散支持が設計上のポイントとなる。

支持強度の確保と固定方法の選定

ケーブルハンガーの脱落事故を防ぐため、支持点の許容荷重計算は厳格に行わなければならない。

コンクリートスラブ面への「接着剤による固定」は、施工が容易である反面、経年変化による接着力の低下、温度変化による膨張収縮、可塑剤の移行による剥離リスクが排除できない。したがって、恒久的な電気設備においては、接着固定は避け、インサートやアンカーボルトによる「打ち込み」、またはH形鋼等の構造体からの「金物支持」を選定するのが望ましい。

ラッシングロッドおよび特殊ハンガーの活用

ケーブル外径や用途に応じた特殊な支持材の選定も重要である。

ラッシングロッド(スパイラルハンガー)は、ハンガーが点で支持するのに対し、ラッシングロッドは亜鉛めっき鋼線に軟質塩化ビニルを被覆したスパイラル状の線材であり、ケーブル全体を螺旋状に巻き込んで「線」で保持する。接触面積が広いため、ケーブルへの局部的な圧力を軽減でき、風による振動疲労対策としても有効である。主に通信線や光ファイバーケーブルの架空支持に用いられる。

絶縁ハンガーは、強電線と弱電線を同一ルートで吊架する場合、電磁誘導によるノイズ障害を防ぐため、物理的な離隔距離を確保できる「2段式ハンガー」や、絶縁性能を持った樹脂製ハンガーを採用する。

電線やケーブルの施工方法による許容電流の違いについては電線・ケーブルの許容電流を参照。

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