幹線設備
幹線設備の定義と基本構成
幹線設備は、電気室の配電盤やキュービクルから、各階の分電盤、動力盤、蓄電池、非常用発電機などへ電力を供給するための主要な配線経路を指す。配電盤からの電源供給は、大きな電流をまとめて送る計画とし、停電範囲を制限しつつ経済性を確保する。
基本的には分電盤などで中継して個別負荷に供給するが、給水ポンプや昇降機など負荷容量が大きな設備に対しては、配電盤から直接幹線を送る設計が採用される。
配線方式の種類と特徴
幹線方式には複数の種類が存在し、停電範囲の制限、供給信頼性、および設備コストのバランスに基づいて選定される。建築物の用途や重要度に応じて、各方式のメリットとデメリットを比較検討する。
- 単独方式は、配電盤から各分電盤へ個別に配線する方式である。事故時の停電範囲が局所化され信頼性が高い反面、配線量が増加しスペースとコストを要する。
- 枝状方式は、1つの幹線から分岐して複数の分電盤に電力を供給する方式である。経済的で配線スペースを抑えられるが、幹線の上流で事故が発生すると広範囲が停電する。
- ブロック枝状方式は、階層や用途ごとにブロックを分け、ブロックごとに枝状方式を採用することで、経済性と信頼性を両立させる。
- ループ方式は、複数の配線経路を環状に構成し、一箇所が断線しても別経路から送電できるため最も信頼性が高い。
バスダクトとケーブルの使い分け
幹線の配線材料には、主に電力用ケーブルやバスダクトが使用される。ケーブルは柔軟性があり布設が容易であるが、数百アンペアを超える大電流の供給には複数条の敷設が必要となり、占有スペースや放熱の課題が生じる。
数千アンペアの電流を供給する大規模な幹線にはバスダクトが用いられる。バスダクトは、銅やアルミニウムの帯状導体を金属製外箱に収めた構造であり、大容量の電力をコンパクトなスペースで伝送できる。工場や高層ビルの縦幹線として広く採用されるが、重量が大きく経路の変更が困難であるため、設計段階での正確なルート選定が求められる。
保護協調による停電範囲の限定
幹線設備において短絡や地絡などの事故が発生した場合、その影響を最小限に抑えるための保護協調が不可欠である。バスダクトなどを用いて大電流を流す幹線では、事故時のエネルギーが大きいため、配線用遮断器などを段階的に配置する。
末端の分電盤で事故が発生した際、その直近の上位遮断器のみが動作し、さらに上位の幹線を保護する主遮断器が不用意に連動しないように、動作時間や定格電流の差を設ける。これにより、健全な回路への電力供給を継続し、停電範囲を事故発生箇所のみに限定する。
許容電流と電圧降下の設計要件
幹線設備の電線サイズを決定する際は、接続される負荷の合計容量に基づく許容電流と、配線長による電圧降下の両方を満たす必要がある。電線に電流が流れると電気抵抗により発熱するため、絶縁体の耐熱温度を超えない範囲で連続通電できる許容電流以上の断面積を選定する。
同時に、配電盤から末端の負荷に至るまでの電圧降下を規定値内に収める設計を行う。内線規程などの技術基準において、低圧幹線の電圧降下は、供給距離や負荷の種類に応じて特定の割合以内に収めるよう定められている。長距離の配線となる場合は、許容電流の条件を満たしていても、電圧降下を防ぐために電線サイズを太くする措置がとられる。












