間接照明
建築と一体化した光の演出
間接照明は、光源を天井や壁などの建築構造物に隠蔽し、そこから反射した光を利用して空間を照らす手法である。光源が直接視界に入らないため、不快なまぶしさ(グレア)を抑え、柔らかい光のグラデーションを作り出すことで、空間に広がりと落ち着きを与える効果がある。
代表的な手法として、天井面を照らして高さを強調する「コーブ照明」、壁面を照らして奥行きや素材感を強調する「コーニス照明」、壁面の一部を掘り込んで器具を納める「バランス照明」などがあり、空間の用途や強調したい面に合わせて使い分ける。
離隔距離と均斉度の確保
間接照明の成否は、光源と照射面(天井や壁)との距離の確保にかかっている。十分な離隔距離(一般的には150mm以上)がない場合、器具の直上だけが極端に明るくなる「ホットスポット」が発生し、そこから離れるにつれて急激に暗くなるため、美しいグラデーションが描けない。
照射面全体を均一に照らすには、十分な懐寸法を建築設計段階で確保するとともに、狭角配光や広角配光など、設置条件に適した配光特性を持つ器具を選定する必要がある。また、器具同士の連結部に隙間があると、光の途切れ(ダークスポット)が生じるため、シームレスライン照明や連結用コネクタを用いた隙間のない施工が求められる。
カットオフラインと幕板の納まり
光源を隠すために設ける「幕板」や「あご」の高さ設定は、施工図検討における重要ポイントの一つである。幕板が高すぎる、あるいは光源の位置が低すぎると、放射された光が幕板の端部で遮られ、天井や壁にくっきりとした影のライン(カットオフライン)が発生してしまう。
これを防ぐためには、器具の最大発光角度と幕板の高さ関係を作図して検証し、光が遮られない位置に器具を設置するか、あるいは器具の照射方向を壁側へ向けるなどして、影が出ない納まりとする必要がある。
効率とメンテナンス性の課題
間接照明は一度壁面等に反射させた光を利用するため、直接照明と比較して照明効率(固有エネルギー消費効率)は著しく低下する。また、反射面の素材や色(反射率)によって明るさが大きく左右されるため、照度計算においては保守率を低く見積もる必要がある。
さらに、コーブ照明のような上向きの造作は、埃が堆積しやすく、掃除が困難な形状になりがちである。埃の蓄積は反射率の低下や、最悪の場合はトラッキング現象による発火のリスクを伴うため、カバー付きの器具を選定するか、定期的な清掃計画を折り込むことが望ましい。
間接照明の種類や技法については間接照明デザインとテクニックを参照。












