電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 感震ブレーカー
2024.2.19
感震ブレーカーは、地震の揺れを検出してブレーカーを動作させる機能を持つ特殊ブレーカーのひとつである。地震発生後の家財の転倒や、衣類等が電気ストーブ等に接触してしまうなど、通電することで火災につながるおそれがあるため、地震発生そのものをトリガーとしてブレーカーを動作させ、復電時の火災発生防止を図る。特に住宅用分電盤に機能を付与し、地震発生後の住宅からの火災を防止することを主たる目的として開発された。
地震による影響は多岐に渡り、家財が移動したことによりコードが引っぱられて断線・短絡し火災に至ったり、オーブンなどの家電製品が落下した衝撃で、スイッチが入ってしまったという事例もある。電気ストーブやオイルヒーターといった電気暖房を持たない家庭であっても、地震による電気火災の事故は多く、多重化された安全装置の確保は一定の効果があるものとされている。
感震ブレーカーは震度5強の比較的強い地震が発生したことを検出して、回路を遮断するという機能を持つ。大きな地震が発生した場合であっても、耐震が十分に施された建物であれば、建物や家財に被害がなかったとしても、自主的に停電を起こしているとも考えられるが、地震発生後の電気火災から身を守り、財産が火災によって消失するリスクを回避できるものとして受け入れることも一案である。
内線規程にあっては、感震ブレーカーについては有用性があるものとして、「地震自等の電気火災の発生・延焼等の危険解消に取り組むべき地域」の住宅には勧告として設置するよう記載されている。また、都市計画法に基づく「防火地域」「準防火地域」のうち、耐火建築物を除く木造住宅、鉄骨造住宅にも設置が勧告されている。住宅と記載があるが、住宅用分電盤を設置する店舗や事務所も対象となる。
感震ブレーカーは地震という条件で動作するため、その下位に含まれる機器に対して自動ドアやオートロック機器が含まれていると、扉を開けられなかったり、解錠できないという不具合に繋がるおそれがある。常時接続されている天井照明など、地震によって出火する原因となりにくい部分については、感震ブレーカーの保護範囲から外すことも検討すると良い。
なお感震ブレーカーは本体に感震機能を搭載していることから、免震建物など揺れそのものを低減させている建物内においては、震度5強という発表がなされたとしても、地震を検出できないということも考えられる。地震を有効に検知でき、効果を発揮するよう計画しなければならない。