カットアウト

磁気製のケースに、ヒューズを内蔵した小型開閉装置。配電系統にある柱上変圧器や、小規模変圧器の開閉用・単体保護用として、高圧カットアウトが広く利用されている。

変圧器は300kVAまで、コンデンサは50kvarまでを保護可能である。開閉寿命は比較的短く、約100回の開閉により交換推奨となるため、開閉頻度の高い系統には適していない。

高圧受変電設備の保安および運用管理において不可欠な保護装置である。正式名称は「高圧交流負荷開閉器」に含まれるが、一般的には「高圧カットアウト」や「PCS (Primary Cutout Switch)」といった通称で広く知られている。

主に需要家側の高圧受電設備（キュービクル）の引込口や、電柱上の変圧器の一次側に設置される。電力会社からの高圧電力を、需要家設備へ取り入れたり、遮断したりするための開閉器として機能する。内部には「電力ヒューズ（ヒューズリンク）」が装着されている。

変圧器の内部短絡や、需要家側の回路で過大な短絡電流が発生した場合、このヒューズが瞬時に溶断することで、事故点を速やかに系統から切り離す。これにより、事故の波及を防ぎ、上位の配電系統や他の需要家への影響を最小限に抑える重要な役割を担っている。

屋内だけでなく、屋外でも使用可能な耐候性を持つため、柱上変圧器の保護用として広く使用されている。落雷の多い地域では、ZnO素子付きと呼ばれる雷撃に対する放電耐量の高い製品を選定するのが良い。塩害の発生する地域では塩害対策品を選定する必要がある。

高圧カットアウトの種類と構造

高圧カットアウトには、主に「箱型」と「筒型（円筒型・CF型）」の2種類が存在する。箱型（PF・S型など）は金属製の箱に収められたタイプ。ヒューズや接点部が外部から保護されているため、塩害や粉塵が多い環境に適している。内部点検時には、蓋を開けてヒューズの状態を確認する。

筒型（CF型など）は絶縁筒の中にヒューズが挿入されるシンプルな構造のタイプ。電柱上に設置される変圧器用として広く普及しており、軽量で安価である。ヒューズが溶断すると、バネの力で筒の一部が飛び出すことで、外部から動作状態を確認できる目視確認機能を備えている製品が多い。

いずれのタイプも、操作時には専用の「操作棒」を用いて安全に開閉作業を行うことが義務付けられている。

メンテナンスの重要性

高圧カットアウトは、受変電設備の中でも比較的単純な構造に見えるが、高電圧・大電流を扱うため、経年劣化には注意が必要である。定期点検時には、負荷開閉操作を行う接点部分の摩耗や接触不良を確認し、専用の導電性グリスを塗布して清掃することが推奨される。接点の接触抵抗が増加すると、発熱により本体が損傷する可能性がある。

一般的に、高圧カットアウトの法定耐用年数や推奨更新時期は20年から25年程度とされている場合が多い。長期間使用された製品は、絶縁性能の低下や機械的な動作不良を引き起こすリスクが高まるため、計画的な設備更新が不可欠である。

高圧カットアウトの仕様、選定方法や種類についての詳細は高圧カットアウトを参照。