架橋ポリエチレン電線
架橋ポリエチレンの概要と分子構造
架橋ポリエチレン(Cross-linked Polyethylene:XLPE)とは、一般的なポリエチレンに化学的な処理を施し、分子構造を変化させることで耐熱性や機械的強度を飛躍的に向上させた絶縁材料である。
通常のポリエチレンは、炭素と水素の鎖状分子で構成されており、電気絶縁性に優れる反面、熱に弱く約90度から100度程度で軟化・溶融して変形してしまう性質(熱可塑性)を持つ。これに対し、架橋ポリエチレンは、分子の鎖と鎖の間に橋を架けるような化学結合(架橋反応)を持たせることで、立体的な網目状構造を形成している。
この構造変化により、ポリエチレンは熱で溶けにくい性質(熱硬化性に近い性質)へと変化し、高温環境下でも形状と絶縁性能を維持することが可能となる。
耐熱性能と許容電流の向上
架橋反応による最大のメリットは、最高許容温度の上昇である。一般的なビニル絶縁電線(IV電線)の最高許容温度が60度であるのに対し、架橋ポリエチレン絶縁電線は90度までの常時使用に耐えることができる。
電線の太さ(導体サイズ)を選定する際、流せる電流の上限である許容電流は絶縁体の耐熱温度に依存する。耐熱性が高い架橋ポリエチレンを採用することで、同じ電流値であればより細いケーブルを選定できるため、幹線ケーブルのサイズダウンや、配管・ラックの省スペース化が可能となる。また、短絡時のような瞬時的な温度上昇に対しても、230度程度まで耐えうる高い熱的強度を有している。
CVケーブルとしての普及
この架橋ポリエチレンを絶縁体に、耐候性のあるビニル(PVC)をシース(外装)に使用したケーブルは、一般的にCVケーブル(Cross-linked Polyethylene Insulated Vinyl Sheathed Cable)と呼ばれ、現代の建築・産業設備における電力幹線の主流となっている。
優れた電気的特性と許容電流の大きさ、さらに軽量で扱いやすいという特徴から、低圧屋内配線から特別高圧送電線に至るまで、極めて幅広い電圧階級と用途で使用されている。
架橋ポリエチレン電源を電力ケーブルとして利用している事例についてはCVケーブル・CVTケーブルを参照。












